「径子を通じて思うこと」この世界の(さらにいくつもの)片隅に ホシ☆ケンさんの映画レビュー(感想・評価)
径子を通じて思うこと
クリックして本文を読む
「この世界の片隅に」はDVDで観ました。そしてこの作品は劇場で。映画はやはり劇場が一番ですね。世界観にどっぷり浸かれます。
おっとりとした性格のすずを通して、その対極にあると言っていい戦争の存在が強烈に胸を痛くします。「戦争はダメです」‥このことを語り継ぐために必要な作品。そう思いました。
どんな時代にあっても、その中で繰り広げられるそれぞれの人生。時代のせいにすることもできる、人のせいにもできる。しかし、僕はこの過酷な状況で語られた径子の言葉が強く残りました。
「自分が選んだ道の果て」
恋をして、結婚をして、戦争が起きて、疎開して、離縁して息子を手放し、かけがえのない晴美を失っても「自分が選んだ道の果て」と言える彼女の強さに打たれました。そして、それだけに日本の敗戦を知った時に人知れず晴美の名を呼んで泣いていた姿が愛おしくさえ思えたのでした。
僕らは彼女に学ばなければならないと思います。「自分の選んだ道の果て」と言えるように。時代がどうであろうとも自分の人生を生きることの大切さを教えてくれたように思います。
径子の存在もまたすずの性格と反対側にあるものだと思いますが、戦争を通じてお互いの痛みを知りながら歩み寄っていく光景もまた印象的でした。
戦争が終わり、新しい家族が増えた北条家の幸せを祈らずにはいられませんでした。
コメントする