劇場公開日 2019年8月16日

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「痛快自分探しムービー」ダンスウィズミー 森のエテコウさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5痛快自分探しムービー

2019年8月31日
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鑑賞方法:映画館

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都会の一流オフィスに勤めるOLが、姪を遊びに連れていった遊園地の怪しい催眠術ブースで、「ミュージカルが上手になりますように」という姪の願いに付き合い自分が催眠にかかってしまう。

それからは、音楽が聞こえると、体が勝手に動き出し、口から勝手に歌が飛び出す。
せっかく掴みかけた恋も仕事も滅茶苦茶に。
元に戻してもらうために、催眠術ブースに駆け戻ると、そこはもぬけの殻になり、借金取りがうろついていた。

かくて、自分に催眠をかけた落ちぶれた催眠術マジシャンを追って、新潟→秋田→札幌の珍道中が展開される。

なぜ、OLは姪を差し置いて催眠にかかってしまったのか。
実は、少女時代の体験が元で『後催眠』というものにかかってしまったらしい。
旅の途中で『自然体の自分でいればいい』という人の言葉に自らを顧み、旅の終わりにやっと催眠が解けた時、OLは自分の過去を受け入れ、新たな人生を歩み始める。
今度は、自分の気持ちに正直に、そして自信と納得を持って。

最初のミュージカル場面から、久しぶりに感動の鳥肌を味わった。
見ごたえあるダンスシーンが、テクニカルなカメラワークで切り取られていく。

夢のような場面の後に現実の惨状が映され、そのギャップに苦笑する。夢と現実の見事なマリアージュだ。

そして、耳覚えのある懐メロ?!に畳み掛けられれば、主人公のダンスに誘われるように「人生の喜怒哀楽も捨てたもんじゃないな」と心が開放されていく。
そして、彼女の新しい人生に、自分の人生を重ね合わせ応援したくなる。

土曜の午後、若い人を中心に満席の観客。ハートウォーミングなストーリーと懐かしのJポップの数々を共有し、久しぶりに『ワクワク』と『ドキドキ』を体験できた。

この映画は、自分探しの途中にいる全ての人を応援する、痛快ハッピーミュージカルムービーだ♪

〔追記2019/9/24〕
新幹線で新函館北斗駅に到着し改札を出ると、この映画のポスターが貼られていた。映画では広々と見えた見送りデッキが、それほどの広さではなかった。
映画のマジック。
それにしても、沢山の人が往来する新幹線の駅で、どの時間帯にあのロケはなされたのだろうか。数分間の映像を撮る為に、幾人の人がどれ程の時間関わり、働いているのか。それを想うと、改めて一本の映画の重さを感じる。

森のエテコウ