ザ・ハント ナチスに狙われた男のレビュー・感想・評価
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オーロラに導かれし家路 同胞たちが紡いだ命
ナチスのノルウェー要塞攻略作戦に選ばれた12人の男たち。しかし情報が洩れて作戦は失敗、11人が捕まり一人逃れたヤンは追われる身となる。彼を追うのはナチス親衛隊の精鋭カート。彼の手にかかれば逃亡は不可能とまで言われる執念深い男。
極寒とナチスの容赦ない追跡の中、ヤンは捕まった11人のためにもそして彼を援助してくれる同胞たちのためにもスウェーデンを目指す。
彼の行くところ試練が待ち受ける、その度に同胞たちの厚い支援で何とか目的地までたどり着こうとするが。
極寒の中のサバイバルを描いた作品では「レヴェナント」とや「残された者」など、どれも容赦ない展開で鑑賞後の疲労感たるやとんでもないが、本作はそれらを超えてきた。
何よりも見ていてきつかったのは壊疽した足の指を自ら小さなナイフでそぎ落とすシーン。今まで散々残酷描写を見慣れてきた自分にとってこれはさすがにきつかつた。思わず目をそむけたくなるほど。
クライマックスにかけてこれでもかと主人公に押し寄せる試練の数々はちょっとくどすぎる感じもしないでもないがほぼ実話だということで。あの主人公を支援した兄妹が処刑されなかったことにも驚いた。
全編ロケーションで撮影された本作は、美しさと残酷さを兼ね備えた厳しい自然環境をあますことなく描いた。まさに人間の極限状態を見事に描いた作品。
唯一の欠点は邦題、これじゃあB級映画だ。
ハラハラもしたけど、
タイトルなし
身も心も冷え込む映画
生きていることに意味がある!
実話を基にした作品。作戦は失敗に終わり、爆薬を積んだ船を機密書類とともに燃やしてしまう訓練された兵士たち。12人のうち、たった一人ヤン・ボールスルド中尉が生き残り逃亡を図るストーリー。
凍てつくフィヨルドの海を渡り、なんとか漁師の家で助けてもらうヤン。それでも執拗にナチスは彼を探し追いかける。残りの11人は捕えられ、拷問を受けながら一人足りない事実を隠し通そうとするのだ。久しぶりに見た凄まじい拷問のシーン。爪の隙間から針を刺すところは痛々しくて息苦しくなるほどだ。そして、右足の親指を銃撃により失いながら、氷点下の海を渡ることが出来るのか?と人体実験を決行するナチスの将校。「もっと体力のある奴はいないのか?」と叫びながら自らも入水する狂気もすごい。
中立国であるスウェーデンへの越境を目指すヤン。民家の娘マーガレットが地理好きなために彼に地図を与えたり、国境近くの民家ではマリウスという男が親身になって匿ってくれる。さらに越境までにはスウェーデン人の力も必要となり、雪深い山の岩の下に10数日も置いてけぼりにされたりもする。
人間の生命力の強さがひしひしと伝わってくる。小屋に匿われたときには足の怪我から壊疽が起こり、自ら切り落とすという痛々しいシーンもある。もう、見てられないくらい!クライマックスではトナカイが大活躍するし、結果はわかっているのにハラハラさせられる。機密書類なんていっても失敗してるわけだから、そんなに価値のあるものじゃない。ただ、生き抜いて事実を伝えるという運命を背負い、生かされている意味を見出すのだ。男の生の執念を感じる大作だった。
自然界に国境はない。そんな壮大なシーンは必見です。
ナチ占領下のノルウェーで、ナチスに追われ逃亡するレジスタンスの物語。
最近良く鑑賞する北欧発の戦争物です。実話を基にした映画のようです。
迫力・緊迫感・説得力があり、事実の過酷さと人間の強さを感じられる映画です。
過酷な逃亡生活を辿る本人はもとより、ナチスの描き方も良いです。偏執的で、冷徹で、それでいて過度に残虐でない。映画としては理想的な追跡者として描かれたように思えます。
ラスト。この逃亡方法は史実なのでしょうか?たとえ、史実ではなかったとしても、とても良い描き方をしたように思えます。生と死を分ける線。人が勝手にひいた線。でも自然界はそんなものはまったく関係ありません。人間の小ささを実感できるシーンでした。
ただ、残念なことに長い。もう少し短くならなかったのでしょうか?
リアルであるが故に、映画としてはやや単調に感じられ、2時間を大きく超える時間は、正直厳しく感じられました。
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