「代償は大きすぎる、それをどう評価するか?」アルキメデスの大戦 Bluetom2020さんの映画レビュー(感想・評価)
代償は大きすぎる、それをどう評価するか?
のっけから戦艦の被災シーン、地名と状況から大和とわかる。この冒頭シーンの迫力と悲惨さ。特撮技術を駆使した映像はすばらしく、これで本編に入りやすい。
さて本編は、次期主力艦をめぐる天才数学者の活躍なんだけど、主演の菅田さんよりも戦艦建造を進めたい中将役の田中泯さんの存在感が冴える。分かっていても、戦艦建造に向け持論を展開するシーンがこの作品のすべてだったかな。
しかし、「日本国民は開戦に傾く、開戦しても勝てない、日本人は負け方を知らない」ロジック。「象徴たる戦艦が倒れて初めて現実を思い知るはず」的なせりふの裏腹で、それに費やす費用と貧窮の国民生活、大和とともに沈む将兵たち、その代償はあまりにも大きすぎる。
それを上層部は誰もが分かっていて、なぜ開戦を回避できなかったのか?
美しく壮大な戦艦大和に乗船し涙を流す主人公の姿に、悲しい違和感があった。
近代戦では、敗者の美学なんて、それだけでは絶対すまないんだよな。
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