「抱かれる心地良さ」海獣の子供 ねぎぬきさんの映画レビュー(感想・評価)
抱かれる心地良さ
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総評:正直なところ、ピンと来なかった。明確に何かを得た、という感覚はない。原作は読んでいないが、原作がそういう掴み所のないテイストなのであれば、忠実な映画化と言えるだろうし、多少「楽しめる人を選ぶ」作品なのだと思う。
映像:美しく、ダイナミック。冒頭の、琉花を中心にした長尺の3Dスクロール(?)はSTUDIO4℃の真骨頂と思えるし、「祭」シーンの壮大な「流れ」に圧倒された。印象に「寝られる」を付けているのは悪い意味ではなく、雄大な何かに抱かれた「心地良さ」を感じて眠くなったという意味。
音楽:特に印象に残っている曲は無いが、印象に残らないということは、逆に、自然でシーンに溶け込んでいるということかもしれない。エンディングの米津玄師さんの曲は好きな方。
物語:少女が"家族特権"を行使して不思議な兄弟と出会い、実は本人も、近日発生する大イベントのキーパーソンで…というどこかで見たような気がするお話ではある。各人が「宇宙と人間の繋がり」っぽい思わせぶりな科白を吐くが、結局それがどういう意味なのかは観客に委ねられる。こういうタイプの話は好き嫌いが分かれるだろうとは思う。自分は苦手な方。
演出:魚の輪の中に浮かぶ"海"を、机の輪の中に寝そべった琉花が思い浮かべる、というような「対比」の演出が印象的だった。
配役:主役の芦田愛菜さんは流石に上手い。年齢的にも自然な演技だと思う。他は、上手い人もいるが如何にも棒読みの人もいて、実力差が凸凹な感じ。
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