僕はイエス様が嫌い
劇場公開日 2019年5月31日
解説
大竹しのぶ主演の短編「Tokyo 2001/10/21 22:32-22:41」がショートショートフィルムフェスティバルのコンペティション部門に出品されるなど、注目を集める弱冠22歳の若手監督・奥山大史が、脚本、撮影、編集も担当して手がけた、初の長編作品。祖母と一緒に暮らすため、東京から雪深い地方の小学校へ転校してきたユラは、同級生たちとおこなう礼拝に戸惑いを感じていた。礼拝の習慣や友だちとも慣れていったある日、お祈りをするユラの目の前にとても小さなイエス様が現れる。ユラは願いを必ずかなえてくれるイエス様が持つ不思議な力を次第に信じるようになっていく。
2019年製作/78分/G/日本
配給:ショウゲート
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2022年3月21日
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鑑賞方法:TV地上波
冬の柔らかい光や、冷んやりした空気、雪景色と子どもたちの組み合わせが、とても清らか。淡々と進む物語がどう展開するかと思ったら、悲しい終わり方だった。でも、薄い笑いと悲しみと、皮肉っぽいところをミックスしたような感じで、78分と短い作品ながら、よくできていると感じた。弱冠22歳という若い監督が、この先どんな映画を撮るのか、とても楽しみ。
フジテレビの放送を録画で。
2021年12月11日
iPhoneアプリから投稿
私もミッション系のスクールに通っていたので、この少年の不思議さや、とまどいは何となくわかります。
神様を、みんなそこにあるかの様に、時に愛し、時に憎み、話しかけてみたり、無視してみたり。
こちらの都合で、そこに無いのにそこにある様な関わりを持ってしまう不可思議なものです。
ただ、とても理不尽で非情だと思える時もあるのに、とても寛大でどこにも行き場のない感情も引き受けてくれる時があることも事実です。
エンドロールで感想が、チャド・マーレンだったんだぁになったのが、なんか良かった。
2021年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波
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ありきたりの日常にさほど有名でもない俳優たちが織り成す前半はどこにでもある日常で淡々と過ぎ去る中で唯一の違和感は小さな町でのカソリック信仰とそれを体現した小さなキリストの出現である。しかしその異質な現実も子供たちの日常の中においてはさほど大きなことではなく、おとぎ話なのか夢なのか分らぬ狭間の少年の心象にすぎに日常を見せられているようで見ている方ははっきり言って退屈な物語信仰のように感じる。その緩やかな時間の流れがあるときのこれまた日常で起こりうる一瞬のインパクトで見る側は一気にこの映画に引き込まれる。主人公の大の親友、唯一の親友が一瞬の交通事故で命を失う。その受け入れがたい現実の中でも宗教的信仰でその事実を消化しようとする大人たちとその大人たちに押し付けられたことによる信仰の体現なのであろうか、その気まぐれに現れたり気まぐれに少年の願いをかなえたりする小さなイエスの出現を怒りに満ちて聖書の中に叩き戻す少年の現実への直視と言う第二のインパクトがこの映画を極めて濃厚で意味の深い作品へと昇華する。名作である。
2021年3月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
何とも罰当たりなタイトル。
でも、主人公のユラくんにしてみれば。
見終わってみれば、ユーモアと皮肉の効いたタイトル。
東京から父母と共に地方の雪深い祖母の家に越してきたユラ。
ミッション系のスクールの習慣やなかなか友達も出来ず、馴染めないでいたある日、ユラの前に現れたのは、
自分にしか見えない小さなイエス様…!
少年とイエスの秘密の交流は『汚れなき悪戯』を彷彿。
少年と小さなイエスの構図は大林宣彦監督の『水の旅人 侍KIDS』を彷彿。
オマージュとオリジナリティー、奥山大史監督の体験談が込められているとか。
このイエス様、身体は小さくても願いを叶えてくれる。
願いの定番、お金が欲しい。ま、さすがにこれは微々たるものだったが…。
友達が欲しい。
初めての友達が出来た。カズマ。
サッカーしたり雪の日も遊んだり、クリスマスをカズマの家にお呼ばれしたりと、学校や日々の生活が楽しくなる。
しかし、古今東西。願いに付き物なのは…。
ある日、悲劇が…。
事故だったのかもしれない。
イエス的に言えば“受難”かもしれない。
願いと受難。
イエス様からの教訓。人生、苦楽あり。
でも、こんな事になるなんて…!
じゃあ僕は、イエス様なんて嫌いだ!
先述通り、ユラの胸中をユーモアと皮肉で表したラストシーン。
邦画では珍しい“宗教映画”の類い。
なかなか取っ付き難いジャンルを子供目線で、ファンタスティックな児童映画として描き、宗教映画の中では見易い方だった。
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