凪待ちのレビュー・感想・評価
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しみじみといい映画だった
自ら風をおこそう
時間帯や季節、場所や地形によるもの…
日本ほど【風】を表現するために
用いる言葉が多い国はないと言います。
風は色々な面を持っている。
ときに優しくて、温かい慈愛に満ちていたり
ときに荒れ狂い、冷たく抗うことのできない
暴力に変わったりもする…
人生においての
風当たりの強さ・ベクトルの妙、数奇を
本作『凪待ち』を鑑賞してわたしは感じました。
“ 凪 ” とは海辺付近での【無風状態】、と同時に
性質が変わる一種の転換点なのだそうです。
主人公・郁男は様々な風に吹き当たる…
でもそれは自らが吹き入れた風でもあるが
他者から吹きかけられた風でもある…
ひとつひとつは小さな風だったとしても
重なり集束すれば人生、歩くのも
立っているのも難しくなる。そうなったら
ただ嵐の通りすぎるのを待つしかないのか…
ヒトが生きる歩みの道程で
追い風のときもあれば向かい風もある
風に翻弄される状況から脱するには…
他者が差し伸べてくれた好意であったり
自分が他者に差し伸べた好意だったり
そんな小さなことの積み重ねが
“ しけ ” から抜け出す、ひとつの手段なのかもしれない…
必ずしも〈凪〉が続けば人生が
好転しているとは思えないし
必ずしも〈しけ〉が人生に
悪影響だけを与えるとは思えない
肝要なのは風を
どう読み、どう受け、どういなすか
…ってことなのかな?
香取慎吾さんの新境地な快演に加え
白石作品の常連、吉澤健さん、音尾琢真さん
そしてリリー・フランキーさんたちの存在感が
作品を引き締めていました!
西田尚美さん、恒松祐里さんたち女優陣も好演!
でもわたし的には「宮崎吐夢さん」が
いちばんのお気に入りだったりします!
~わたしの白石 和彌 監督 作品番付~
1 止められるか、俺たちを
2 彼女がその名を知らない鳥たち
3 孤狼の血
4 凶悪
5 凪待ち
6 麻雀放浪記2020
7 サニー 32
その他の作品は未鑑賞につき失礼します
凪待ち
凪は来たか?!
東大に受かるのも大変だと思いますけど
2 3日でギャンブルに300万使うのも それはそれでなかなか出来ることじゃないと思います
ましてや 恩人からもらったお金となると 普通の人にはまず出来ない
そう言えば 大学生の時に仕送りを使いきって特別に送ってもらった10万円をその日にパチンコでキレイにスッテから パチンコは一切やっとない
なので わたくしには 凪は来た!ていうことかな
もちろん一生をかけて凪を待ち続けていた人もいっぱいいると思いますけど
もう一度言いますけど それはそれでなかなか出来ることじゃないと思います 別に偉くはないけど
香取は しゃべらなければ ギリ合格
少し甘いかな?
観た人にその先を委ねられる映画
この映画がポスターのコピーから想起させるようにただの犯人探しで終わっていたら昨今多く消費されるような平凡なミステリー作品に終わっていただろう。
しかしこの映画は犯人探しの物語ではなく、観た人それぞれに物語のこの先を想像する余白を持たせる。それは描かれてる範囲だけでは決して物足りないとかではなく、想像したくなるくらい描かれてる世界に魅了されるからだ。
観終わってスッキリしてさあ次!と消費されるだけの作品が多いなか、こうしてしばらく映画の世界のことを考えてみたくなる作品のほうが良き映画に巡り会えたと実感させられる。
鑑賞者に委ねてくれる、いわば鑑賞者を信頼して作られた作品だと思う。
自分はギャンブル依存にはならないと思っていても、震災の被害者には誰もがなりうる可能性がある。
最後のエンドロールを観た時に単なる絵空事だと切り捨てることはおそらくできないだろう。
石巻という土地の説得力
地震と津波の被害があった石巻、そこに映画のストーリーが重なり、何とも悲しく優しさ溢れる作品。
石巻で撮影しただけに有無をいわせぬ説得力。白石監督はこの作品を通して被災した人々のことを少しでも伝えたかったのでは。それを説明くさくなく淡々と観せてくれる。
震災で生き残った人々を思うと「誰が殺したのか?」というポスターに書かれたフレーズもテーマの一部なんじゃないかと思える。
エンドロールまで観て石巻を感じてほしい。
凪はくるのか
先入観なしに見てほしい
主人公は自分と向き合えないいつも自分に甘い男
ギャンブル依存症であり、ちゃんと生活できてない自分にいらだちや後ろめたさもある。すぐバレル嘘をついて誤魔化してしまう
ほんとに実際にいたら、何だよこの男はといらだつし、お知り合いになりたくないと避けると思う
サスペンスなんだけど、いつのまにか、ダメな主人公の目線で映画の進行を見てしまって、途中で苦しくて逃げたくなったりもした
犯人探しより、主人公が、映画の進行する中で、その時のシチュエーションで彼がどう感じているかを共有する時間になっていてとても、不思議な感覚だった
香取慎吾さんの演技は煩くて、好きではないドラマなどが多かったけれど、これは本当に落ち着いていて、別人だった。
中年の油ぎって、体型も中年のだらしなさがにじみ出ていて、目元に締りがなく、いかにも情けない風貌で、みごとな演技だった。
ぜひ、先入観なくみてもらいたい映画。
自分にだらしなく、甘く、そんな自分に愛想つかしながら、変われなくて、情けなくて、どんどん落ちていく主人公が、なんとか再生していく希望が最後の最後にちらっとみえる物語の余韻で終わる
作り手の魂が感じられる作品
主軸はその弱さ不器用さ故に人生につまづきまくる主人公が、ギャンブルに溺れ転落してもがく様を描く人間ドラマ。
同時に舞台を石巻に据え、真正面から震災に向き合い、震災を真摯にストーリーに取り入れたある意味「東日本大震災」ものでもある。
主人公に訪れる厄災とその後の転落・再生を震災に重ね合わせる展開に加え、いわゆる「無敵の人」や「一人で死ね」問題につながる都会の孤独、ギャンブル依存症、田舎の人情と美しい風景、それと背中合わせの狭い世界と淀んだ人間関係。
今の日本の社会をきっちりと切り取りつつ、「説明不足」を恐れずにばっさりと捨てるべきところは捨て、絶妙のバランスで主人公郁男とそれを取り巻く人間を描き切った脚本・監督はブラボーとしか言いようがない。
香取慎吾は演技のうまい下手を超え、実際にこの世界を生きて怒り苦しみ悲しみをすさまじい迫力でこちらにぶん投げてくるので、
自分の中にクズな部分を見出してる人間ほど主人公にシンクロして怒り苦しみ絶望しボロボロにされるはず。(実際ボロボロになった。)
それでも最後にほんのり差す光は見えるし、エンドロールが終わる頃には「生きていくしかない」と覚悟を決める力が沸く。
作り手の魂が感じられる作品。必見。
久しぶりに背中で感情を表現する役者さんを観た。
沸騰した湯は摂氏100度。
それを言葉にして、アツアツの湯とか、
グラグラの湯とか言っても、
伝わる温度は、せいぜい36度以下くらいのヌルい湯として伝わってしまいます。
映像で表現すると、70度くらいは可能でしょうか。
「ぼくはどうしようもないろくでなしです」
アツアツのいや、グラグラの?ろくでなし、
その温度の伝え方、伝わり方、
こういう人を伝導師というのかもしれません。
久しぶりに背中で感情を表現する役者さんを
見たような気がします。
🎶カッコ悪い毎日をがんばりましょう♪
遥か彼方の平成のトップスターからのメッセージでした。
そして令和、この地上に降りてきて、
トップスターからトップランナーとして進化、血と汗のメッセージとして、カッコ悪い毎日をがんばりましょうをアップグレードさせたような『凪待ち』。
香取慎吾は背中でもお芝居をしてました。
背中でも感情を表現するのを観たのは寅さん以来でしょうか。
凪待ち
エンドロールのおもい
香取君が素晴らしい
それほどでも。
救われる・・☆
香取慎吾演じる郁男。半ばまで とことんなダメ人間で
どんどん転落していく。
本当にウンザリするくらいに。
それに絡む人間もほとんどの人が行き詰まり感満載で
救いようのないエピソードが溢れて暗いため、途中までは
失敗したかな・と思うのだが 後半から目が離せないほどに
引き込まれ、最後はあぁ、救われたと思える。
どんなにダメでも誰か許してくれる人、信じてくれる人、もしくは
優しくしてくれる人が居れば良いのに。
それは、夢物語かもしれないけど。
リリーフランキー、大好きな役者さんですが 今回は途中から
何だか中途半端で この役は彼でなくても良かったのでは⁈と
思ってしまった。
香取慎吾は 頑張ってるなぁ・・っ感じ。
「半世界」の稲垣吾郎もそうだけど、SMAPのイメージを
抜け出そうといているのだろう。
吉澤健さん、申し訳ないけど初めて注目しました。
素晴らしかった。
彼の存在そのものが、物語の救いになった。
こういう映画は、受けないかもしれないけど、香取くんを
見るためではなくて、「映画」を見にいって欲しい。
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