凪待ちのレビュー・感想・評価
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白石監督作品は初めてだったが、バイオレンス控え目サスペンス要素控え...
白石監督作品は初めてだったが、バイオレンス控え目サスペンス要素控え目完全にヒューマンに重きを置いた作品だった。
主人公はろくでなしとは言うものの根は優しく正義感もある。ただただギャンブルから離れられず不幸を招く。
脇のちょっとした配役までも隙間無く演技達者で飽きないし、とりわけ状況劇場からの出演陣の存在感たるや圧倒的。
主演香取慎吾は意外や役にハマっていたし、終始悲しそうではあるのに手を差し伸べてあげたくなるような佇まいに説得力があった。
ほとんど描かれない登場人物たちの背景も、ああ過去にこんな事があったのだな、だから事件は起きたのだなと推察できる演出も説明的にならずに良かったと思う。
震災の傷跡がまだまだ残る石巻で、あまりにも大きな犠牲を払ってなお生きていかねばならない人々の、悲しみと希望を描いた傑作。
凪待ち試写を観て
弱さからどんどん堕ちていく主人公を香取慎吾が好演。彼が持つ多面性を巧く役に落とし込んだ演技は物語に説得力をもたらす。周りを固める俳優陣も素晴らしく、監督さんの役者の実を引き出す力をまざまざ見せられました。凪待ちのタイトルに込められた被災地への深い想いもしっかりと。
多くの人に観てほしい映画
今いちばん勢いの有る白石和彌監督の作品ということで、期待して観に行きました。
期待以上でした。凄い作品を観たというのが、いちばんの感想でした。
主人公が傷つき自暴自棄になり、ギャンブルでどんどん堕ちていく描写は容赦なく、観ていて胸が苦しくなります。しかし、彼に差し伸べられた救いの手、まだやり直せるという希望は、見終わった後も、心に小さな光が灯されたようです。
主人公の哀しみ、苦しみを全身で演じ切った、香取慎吾の演技力にも感嘆しました。
映画好きな人に観てほしい、おすすめの映画です。
嫌いになれないろくでなしの男
良い意味で裏切られた。
見終わった後、涙が止まらなかった。
香取慎吾さん演じる主人公の郁男は半人前でもないろくでなしのいい年した男。
見た目は小汚く、やることなすことろくでなし。
だが、途中途中に垣間見られる彼の優しさは人の心を惹きつけ、そして、手を差し伸べたくなる。
しかし、たまに見せる彼の狂気に満ちた笑顔に恐怖も感じる。
とにかくこの映画はすべての俳優さんたちの表情一つ一つが大きな意味を持つ映画だと感じた。一瞬たりとも見逃せない、そしてまた見返したくなる映画であった。
破壊と再生
先行上映会で観ました。
被災地石巻の破壊と再生を背景に、主人公郁男の破壊と再生を描く映画。
震災からの復興が着実に進んでいる一方でどこかではまだまだな部分があるように、郁男の再生は遅々として進まない。むしろより壊れていき、観ている者をイライラさせる。
そんな郁男を、明るく元気なイメージの強かった香取慎吾さんが演じている。きっと、これほど壊れてはいないとしても、暗いダメな面も、彼は元々持ち合わせているのだろうと思う。
私が一番印象的だったのは、船の上で亜弓の父親が郁男に言った、津波に関する言葉。
そしてそれがエンディングの映像に重なって、胸にズシンと来る。
確かに、たくさんのものが壊れ、失われた。でも新しいものがもたらされもした。
被災地も人間も、それぞれ速度は違いこそすれ、確実に進化していくのだと信じさせてくれる映画でした。
試写会で凪待ちを観ました。
レビュー本文
登場人物それぞれに善も悪もあり、人間って完璧じゃないんだと。郁男がとことん堕ちていくのが切なくて、でもすくい上げてくれたのが意外にもあの人で…。
リリー・フランキーさん、音尾琢真さん、吉澤健さん、他の皆様も素晴らしい!
白石作品は、俳優さんのイメージが一新されたり、どんでん返しに驚かされたり。凪待ちも期待を裏切らないと思います。
地上波の香取慎吾しか知らない方に、ぜひ観ていただきたいです。
舞台は震災後の石巻。エンドロールも胸に詰まり予想以上に泣きました。
色々な立場で観れる秀作です。
白石和彌監督映画を初めて観ました
西田尚美さん演じる亜弓の死後 ギャンブルにハマり闇に堕ちていく 香取慎吾さん演じる郁男ですが、どうしようもないろくでなしでも 救いの手を差し伸べてしまうのは、香取慎吾さんだからこそ成立するのではないでしょうか。大きな体で背中を丸め優しい声で話す郁男は、違和感なくこの人は根はいい人なんだと感じさせてくれます。
物語り後半は再生への微かな希望。
郁男の窮地を何度も救う 吉澤健さん演じる勝美の凪のような佇まいと優しさは胸が熱くなります。もしかしたら郁男と同じく、深い悲しみの中を生きている勝美だからこそ、そっと寄り添い手を差し伸べることが出来るのかもしれません。
今度こそ郁男が立ち直り 新しい家族が再生出来ますようにと願わずにはいられないラストでした。
キャスト全員が素晴らしく今度はもっと深く考察しながら観てみたいと思う いつまでも余韻を引きずる映画でした。
邦画好きは観たほうがいい!
名古屋先行上映会にて観させていただきました。
邦画好きの方は観たほうがいいと思います。
白石監督の作品の中ではバイオレンスなシーンは少なかったと思いますが、やはりゾクっとするような、白石監督にしか出せない味が滲み出ていました。
香取さん始め、脇を固める役者さんたちの演技がとにかく良かった。香取さん演じる郁男は文字通りどうしようもないろくでなしで、
ギャンブル依存者、さらに酒に溺れる姿に目を覆いたくなる一方、普段見るアイドル香取慎吾の奥底をのぞいている気分で、妙にドキドキしました。
震災をテーマにしている映画ではないですが、そこに住む人々の覚悟や葛藤が描かれていて、日本に住む多くの人に観てもらいたいです。エンドロールまでしっかり。
それでも生きていく
最後まで見た感想はそれでも人は生きていかなければ、生きねばと心から思えました。
香取慎吾さん演じる主人公の瞳がとても切なく、苦しむもがく姿に、舞台でもある石巻市の姿が重なり、心から応援と共感がしたくなります。他の俳優もとても演技が素晴らしく、何度も見たい気持ちになりました。
抑えていた怒りを爆発させていい作品(いい意味で)
試写会で観ました。冒頭から理不尽な出来事が起き腹の底から怒りがこみ上げ涙を必死でこらえて気持ちを鎮め
穏やかなシーンに切り替わったと思いきや
またまた許せないクソったれな奴らの登場
久々に役者そのものを憎ったらしくぶん殴ってやりたい衝動にかられ
もう無理だ,大好きな慎吾くんごめんねというやりきれない思いに体ごとスクリーンに背けてしまった
しかしなんとか慎吾くんの鋭い眼光に宿る郁男の真実を見出さなければと観続けた
やっぱり苦しくても目をそらさず観てよかった
エンドロールまで観てほしい。きっと光が見えるから
こんなに気持ちがぐらぐら揺さぶられ翻弄される邦画は平成中に出会えなかった
大袈裟だけど白石監督あっぱれと感じた
そして上映前のフォトセッションで
慎吾くん,きゃーなどと騒いでいた単純なわが身をかなり小っ恥ずかしいと変な汗が噴き出したまま名古屋を後にした,最高の試写会でした
完成披露試写会に行ってまいりました。未だかつて見たことがないろくで...
完成披露試写会に行ってまいりました。未だかつて見たことがないろくでなしの香取慎吾というフレコミではありましたが、香取慎吾云々だけではなく、稀にみるどーしよーもないろくでなしの男の話し。香取慎吾出なければ途中で見続けるのも脱落したくなるよーなろくでなしな郁男。それでも郁男がなぜ他人である家族に見捨てられなかったのか。それは義娘との美波との関係性をみるになんとなく感じるものがある。我が子ではない義理の関係の思春期ど真ん中の美波。父親面するわけでもなくかといって距離があるわけでもなく、尊敬されるようなことはなにもできないまま軽蔑されるわけでもなく美波の心地のいい距離でふわりふわりとそばにいる。これが亜弓が郁男に惹かれ続けた魅力なのであろう。そしてどうしようもない男なのに最後まで観客も見捨てることはできない。みたことがない香取慎吾ではなくどうしようもないろくでなしを見捨てられずに、おいここだろ!がんばるとこは!と拳を握りたくなる、背中を叩きたくなる、そんな感情を味わいに映画館にいってほしい。
香取慎吾の演技が凄い
香取慎吾がアイドルオーラを封印してギャンブル依存症の主人公を熱演。
ギャンブル止めようと恋人の故郷の石巻で新しい生活を始めるが、ギャンブルの誘惑に負けてしまう。
追い打ちをかけるように恋人に悲劇が。
どん底まで堕ちていく主人公にそれでも手を差し伸べる人々の優しさが沁みる。
子供のように泣きじゃくる主人公に思わず貰い泣き。
白石作品の常連達も適材適所で良い仕事をしている。
白石作品にしてはバイオレンスは控えめで優しいヒューマンドラマに仕上がっている。
喪失と再生がテーマの本作、まだまだ復興半ばの石巻と救いのあるラストシーンの主人公の人生が重なる。
石巻の復興と主人公の心の凪が訪れる事を願わずにはいられない。
映画好き、白石和彌監督作品ファンは必見
これまで観てきた白石和彌監督作品は小説の原作化が多かったが、凪待ちはオリジナル脚本作品です。殊に監督ファンは必見。大震災で大きな被害を被った石巻を舞台にした喪失と再生の人間ドラマ。寡黙で大きな体の郁男は「逃げる」男として描かれているがアルコールとギャンブルからは逃れられない。それが原因で全てを失ったように見えるが、実は彼を愛し理解している人たちがいた。
大きな体を活かして、不器用に生きる寡黙な主人公を香取慎吾が見事に演じていて、郁男の哀しみ優しさがスクリーンから溢れ出ていました。脇の吉澤健がまた素晴らしいです。
白石和彌が描く「家族」とは
Filmarksの監督ティーチイン付き試写会にて鑑賞。
白石和彌監督が長年あたためてきた「家族」「喪失と再生」がテーマ。これまで加害者側を描くことが多かった監督が、今作では初めて被害者側に視点を移し、どこまでも転がり落ちていく男・郁男(香取慎吾)と血のつながらない「家族」を通して、苦しみから這い上がった先にある一筋の希望を浮かび上がらせる。
ストーリーは、公開されているあらすじでほぼ語られてしまっている。
もちろん「事件」の犯人は明かされていないが、それすら作品内では重要な位置を占めていないと感じる。これは、とにかく郁男の転落っぷりを見せる映画だと言える。
サスペンス風を謳ったキャッチコピー、ポスターは明らかなミスリードで、そうした内容を期待した観客は不完全燃焼になるだろう。
しかしだからこそ、主演の香取の演技が際立ってくる。特に後半は圧巻で、いつのまにか両手を握りしめ、息を詰めて見ていたほど引き込まれた。
白石監督が惚れ込んだその大きな体躯。
多くのヒーローやキャラクターを演じてきた彼の身体が、今作では自暴自棄な暴力装置、悲しみや空虚感を抱えた器として存分に用いられる。
そこに、郁男が香取慎吾じゃなければならない必然を見た。
登場人物は皆何かしらの傷を抱えており、その背後に3.11も透けて見える。監督は彼らの過去をあえて作品内で扱わないが、監督曰く「人間力」豊かな演者たちが、こちらにそれを窺わせる。
優しさも暴力も己の傷を隠しごまかすため、という意味では同じだと思える中、一人真っすぐな瞳で立つ美波(恒松祐里)が、この映画の希望の象徴として光を放っている。
目は口ほどに物を言う、多くを語らない破壊と再生の物語
ここ最近、『彼女がその名を知らない鳥たち』『日本で一番悪い奴ら』と立て続けに観ている白石和彌監督作品。(『孤狼の血』をまだ観ていない僕が言うのもおこがましいが…)白石監督の作風がつかめないでいたが、毎回どうしようもないダメ男を通して、その内にある優しさや強さ、人間味を描く天才だと感じた。
ただ、この映画は期待しすぎていたためか少しもの足りなかった。というのも、どこか物静かでスクリーンから迫るものが感じにくかった。でもそれは自分の感受性にも問題がある。
今回試写会で上映後監督のティーチインが行われたが、そこで白石監督は「最近は、過去に何があったかで語る映画が多い。だから、いまそこに何があるかで描く作品を創りたかった。刺激的な映像やセリフではなく、芝居や表情で伝わるものを大切にしたかった」というようなことを話していた。まさに、目は口ほどに物を言う。
その多くを語らない映画から何を感じとるか、それがこの作品の楽しみ方ではないだろうか。
また堕落した男が周りの優しさに触れ再生していく姿と、津波で破壊されたまちが復興していく社会をリンクさせているが、そのナイーブな震災というテーマも厚かましくなく、さらりと溶け込ませる。
ただこれを観ると、誰もがまだ皆が思っている以上に傷跡が残り元通りになっていない被災地の現状に想いを馳せるだろう。
一番刺さった言葉は、「津波ですべてダメになったんじゃない。津波が新しい海を作ってくれた」。人間が及ばない自然の包容力、そして過ちを犯した人にもより強く変わってやり直すことができることを物語っている。
ただ本作は、香取慎吾キャスティングありきの作品で、震災は後付けで重ね合わせたということを聞いて、ちょっと業界のリアルを見たようで残念だった。
個人的には、恒松祐里の目力と、吉澤健の佇まいが好きだった。
そして白石監督は、役者の能力というより、本人がどう役を超えていくかを楽しむ演出手法のようだ。
震災で壊れたまちと、ギャンブルで壊れた男の、凪待ちのものがたり。
単純なサスペンス映画ではない
Filmarks試写会にて。
「俺はどうしようもないろくでなしです」
と香取慎吾演じる郁男は言う。確かに彼はろくでなしだ。しかし「どうしようもない」ところに主眼がある。立ち直りたい、真っ当に生きたいのにどうしてもうまくいかないギャンブル依存症の性。競輪を前に、画面は傾き、謎の風が吹き、香取慎吾の昏い目が光る。どうやっても抜け出せない沼。
彼が恋人とその娘と、震災の爪痕が未だ残る石巻に移住して話は展開していく。病気、震災、被災者へのいじめ、狭い地方都市、ヤクザ、ノミ行為。物語はひたすら救いのない方向に転がってゆくが、登場人物皆、どうしようもないながらも愛が、情がある。どれだけ主人公が自暴自棄になろうと、どうにかして救おうと手を差し伸べる人物がおり、そしてそれに、どうしようもなさを抱えながらも応えようとする主人公が居る。どれだけの救いかは分からないが、この展開には涙が止まらなかった。
監督本人も話していたけれど、サスペンス要素は濃くない。犯人探し気分の映画だと思うと肩透かしを食らうし、背景の謎解きもない。基本的に説明は少ない映画なのだ。けれど、人の業を、衝動を、救いを描き切っていると感じた。
多分日本一型にはまりやすい役ばかり与えられてきた香取慎吾だけれど(孫悟空とかハットリくんとか両津勘吉とか...)抑制の効いた「どうしようもないろくでなし」の演技は素晴らしかった。助演も皆素晴らしい。白石組と言っていいリリー・フランキーに音尾琢真、身体中で物語る吉澤健、恒松祐里の鋭さと儚さ、西田尚美の現実感。皆役が立っていた。これは良い映画。
先入観無く是非観て貰いたい映画
初の白石監督映画。ギャンブル依存 借金 暴力 色々な人生の裏側と共に、宮城県石巻を舞台に、震災が引き起こした様々な悲しみや喪失。香取慎吾演じる郁男とその周りの人々の少しずつの綻びが上手く描かれている。話が進むにつれ、郁男を演じる香取慎吾の眼や背中から醸し出すボロボロ感、悲しみ ギャンブル依存の狂いや高揚感が高まる。特に乱闘シーンでの眼が良い。脇を固める俳優陣の演技もたまらない。キャスト全員誰も悪目立ちせず、人や人生の裏と震災を綺麗事に書かれてない素晴らしい映画。是非沢山の人に観て貰いたい。
「怒り」以来 久々に良い日本映画
試写にて拝見。
ギャンブル依存症の主人公が物語を破滅に進めていくが、
競輪をただのギャンブルとしては見てない
一種のロマンと愛情が主人公から垣間見えるのがくすぐられた。
男あるあるな感覚だろう。
物語の構成がよくできていたので
とても頭のいいひとが作った映画とおもわれる。
男と東北の被災者の苦しみ様が時折リンクするが
あまり「震災・復興」のテーマにもたれかかった作品じゃなかったので抵抗なく見やすかった。
けれど、映画を見終えた観客は
誰もが被災地に思いをはせるだろう。
物語が進むほど、香取慎吾の存在感が凄みを増し
腕から背中から全身から悲哀や怒りを感じ取ることができた。
せっかくの白石監督だが、映画の規模は少々小さいようだ。
個人的には「怒り」以来のマイヒット作なので
多くの方がみることをお勧めする。
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