ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪

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ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪

解説

20世紀を代表するアートコレクションをたった1人で築き上げ、芸術家たちとの華やかな恋愛遍歴とともに数々の伝説を残した女性ペギー・グッゲンハイムの人生を追ったドキュメンタリー。水の都ベネチアで、個人のものとしては質・量ともに世界最大級のコレクションを有する美術館「ペギー・グッゲンハイム・コレクション」。ニューヨークの裕福な家に生まれたペギーは、伝統と格式だらけの世界から逃れるべく第1次世界大戦後のパリへ渡り、当時まだ価値を認められていなかったシュルレアリスムや抽象絵画などの革命的な表現に出会う。自由を謳歌する反骨的な芸術はペギーの肌になじみ、彼女は世間知らずの令嬢から現代美術のコレクター、そして伝説のパトロネスへと転身を遂げていく。ペギーの生前に収録されたインタビューを中心に、ガゴシアンやアブラモビッチといった現代アート界の大物も続々と登場。伝説となった女性の華麗なる人生を、芸術家たちとの愛の遍歴とともに描き出す。

2015年製作/96分/アメリカ
原題:Peggy Guggenheim: Art Addict
配給:S・D・P
劇場公開日:2018年9月8日

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(C)Roloff Beny / Courtesy of National Archives of Canada

映画レビュー

5.0欲求不満でなければ人間は前進出来ないものです

2023年3月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ニューヨークで、この美術館の前に立ったとき、「ああ、やっとここに来れた ー」という感慨に満たされた。

「グッゲンハイム美術館」の名を僕が初めて知ったのは、40年まえ。目黒の旧朝香宮邸=東京都庭園美術館でのことだった。

カンディンスキーのコレクションが大量に展示されていたその目黒での「回顧展」。
抽象画のカンディンスキーのすっかりとりこになってしまった僕は、複製の一枚を買いながら、(⇒ベッドの上に貼った)、それらの作品を大量に収蔵しているらしいドイツ語の「グッゲンハイム美術館」とやらに何時かはきっと行ってみたいものだと思った。それが40年まえのことだ。

夢が思いがけずに叶ったのはそれからかなり経ってから。
就職はしたもののかなり無理をして燃え尽きてしまった僕は、すべてを投げ出してアメリカ〜ヨーロッパへ放浪の旅に。
そこでNYCのメトロポリタンの斜め前に丸く鎮座していたグッゲンハイムを発見できた訳だ。

ロイドの設計による「巨大なカタツムリ」のような上昇螺旋 (見学ルートとしては下降螺旋)の建物は、ここかしこに踊り場のような小部屋も隠しており、ようやく再会が叶った懐かしいカンディンスキーが嬉しかった。
僕の訪問時には、あの大きな吹き抜けの中空をグランドピアノが蓋をパッカンパッカンと云わせながら飛び回っており、他の来館者とともに指をさして笑ったものだ。

ここは異次元。

「色占い」で、「一番好きな色は黄色」と答えたら「欲求不満の色だ」と笑われたことが 僕はあったけれど、欲求不満がなければ冒険のスタートも失われるではないか。
この映画の中で絶えず自分存在を探し続け、欲求不満と自信の無さに生きたペギーという人は、そのコンプレックスこそが彼女の向上心の原動力。ペギーのアート・コレクションの野心と蒐集のイグニッションキーだったのだ。

本作品はペギー・グッゲンハイムのインタビューと、彼女を知る人々の証言から成る貴重なドキュメンタリー。
ペギーは、背中を押し 作品の良さを耳打ちしてくれるアーティストたちの人脈にも本当に恵まれていたと言うべき。
思想家や芸術家たちとサロンで知り合い、彼らから美術史や絵画の見方を指南されながら自分なりの審美眼を養い、作家たちのベッドに押しかけては彼らの作品を買い集める。

そうやって自分の「殻」を、そして「鎧」を築いて行ったわけだ。

・・・・・・・・・・・・・

「アニー」で少女アニーがウィル・スミスの前で歌ったのは当美術館のホール。
「5時から7時の恋人カンケイ」でアントン・イェルチンがかつての恋人と寂しくもすれ違うのがこの美術館のエントランス。
空撮でその愉快な外観がチラリと映るのは
「オーシャンズ8」。
その他いくつもの映画でこの美術館は舞台となっている。

まずはエレベーターで最上階へ登り、螺旋状の大きな渦巻きをくだりながら作品に親しむ。
床がずっと傾斜しているユニークな建物ゆえ、落ち着かないという批判もあるようだが、設計のロイド・ライトはコンテンポラリーな収蔵品とグッゲンハイム一族の”不安定さ“を、見事この意匠で包括したものだと思う。

成功者であったのか、それとも人生に失敗したひとりの人間の足取りであったのか、どこかもろくて、男どもにそそのかされて金づるにされてもいた彼女のポートレイト。悲しげな表情が胸に残る。
厄介者と呼ばれ、放浪者だったペギー・グッゲンハイムへの僕の思いも、この映画でさらに深まった。

世から理解されない絵に、ペギーは寄り添ったのだと思う。



きりんことわたくし、
今ではおじさんになってしまい、絵を観るときは平坦な床で安心して、そして疲れたら「ソファーはいずこ?」と探してしまう僕だけれど、壊れている僕自身の、旅の人生の、ランドマークにもなってくれた美術館。それがこの渦巻きの躯体、グッゲンハイム美術館だ。

叔父のソロモン・グッゲンハイムの財団に吸収されてしまった格好だが、一族から離れてペギーだけの砦だったベネツィアの彼女の私邸 =「ペギー・グッゲンハイム・コレクション」にも、いつか是非にと思う。

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きりん

2.5鑑賞動機:近くで上映したから5割、何でデ・ニーロ?5割

2022年5月23日
iPhoneアプリから投稿

企画上映にて。
美術館も含め全く知らなかったのだが、そんな私でも名前を聞いたことがあるような現代アートの大物と関わっていた方とのこと。
一応大まかに時系列順になっているけれど、特に中盤は個人との関係ごとに何度も年代を戻る構成になっている。色々なことがちかい年代で起こっているようなのに、そう見えない作りで、彼女の人物像をもひどく平板に感じてしまった。

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なお

3.0現代アートを育てた女性

2022年4月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

有名なモダンアートの巨匠やその作品が豊富に出てきて見応えがあった。
子育てには向いていなかったけれど、一方でたくさんのアーティストを育てた女性。
その人生と現代アートのプロデュース過程がよく分かる作品だった。

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SpicaM

4.0自分の道を自分で切り開いたかっこいい女性

2018年11月17日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

元々お嬢様だったけど、アートの世界に足を踏み入れてコレクターとしてたくさんの有名な芸術家を発掘した人。
.
私生活もたくさんの男性と関係を持って自分の人生を謳歌。その自由さに当時は大バッシングされたらしいけど、まぁそれはペギーが女だからっていう差別。
.
ペギーと関係持ってた男どもの方がよっぽど派手な女性関係あったんじゃないですか。男は、浮気は男の本能っていう言葉で済まされちゃうんだから。
.
それにしてもペギーって美人なわけじゃないのに、いろんな人と関係持ってさらにめちゃくちゃイケメンとも結婚して夢があるよな(笑).

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せつこん
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