「【普通であること、普通を守ること】」ザ・ファブル ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【普通であること、普通を守ること】
「天才的な絵を描くサヴァン症候群の女の子に、親が根気よく言葉を教えたら、絵が下手になった」
殺しの天才と比較するには、無理矢理感のある逸話だと思ったけど、現在の僕達の住む世の中を考えたら、僕は決して悪いことだとは思わない。
絵を描くだけだったら、絵を売って一儲けしようとする輩が寄って集(たか)ってきて、ものすごい数の作品を描かされて、そいつらが中抜きして、搾取されるだけだからだ。
今は、アールブリュット(生(き)の芸術)と言って、障害のある人達の、教育や伝統、流行りなどに影響されない、ありのまま(=「生(き)の」)作品を搾取することなく届け、作家の収入を可能な限り最大化する試みなどあるが、障害などない若手の作家たちは、特にニューヨークのアートシーンなどでは、アートディーラーの搾取にあうことは多い気がする。お金を出すのもアートとは縁遠い人達だったりするし。
だから、言葉を勉強して、自立して生きることができるようになるのは悪いことではないと思うのだ。
さて、ファブルだって大差ない。
実際に人を手にかけるより、頼んだ方がメリットも儲けも大きいに違いないのだ。
搾取と同じだ。
殺し屋なんて昔から、そんな文脈で語られることが多い気がする。
リスクの割に、リターンは少ないのだ。
ゴルゴ13は、歳をとらないから、少し違うかもしれないけど、ゴミ焼却場で何十人もの銃撃を潜り抜けるのは大変だ。
ボスは、あれこれ言うが、普通の生活の中で、殺しのテクが衰えたってしょうがない気がする。
或いは、普通を守るために、強くあるのは必要なことだというメッセージなのだろうか。
それだと、結構、納得する。
ただ、この作品、存在感でいったら、小島こと柳楽優弥さんの独り勝ちのように思う。
次点は、個人的な好みで、木村文乃さん。グッとくる。
さて、次回は、平手友梨奈さんの独り勝ちか?笑笑