劇場公開日 2019年1月11日

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「迷作を補完する名作の誕生」クリード 炎の宿敵 オレさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0迷作を補完する名作の誕生

2019年10月23日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

ロッキーの指導の下、世界ヘビー級チャンピオンへと上り詰めたアドニスクリード。
愛しのビアンカと結婚し、娘を授かったアドニスの前に立ちはだかるは、かつて父アポロをリング上で絶命させたイワンドラゴの息子、ヴィクタードラコ。
父と息子、世代を超えた激闘を描いたクリードシリーズ第2作目。

迷作「ロッキー4 炎の友情」から33年。
シリーズ最大の悲劇とされるアポロクリードvsイワンドラゴ戦をまさかの息子同士で戦わせる最高のアイデアと33年の月日をリアルタイムに生きてきたロッキーはもちろん、ドラゴを再登場させるキャスティングで話題を呼んだ今作。

当時の4では焦点を当てられなかったドラゴの感情的な面を描く演出が多く、復讐者というポジションではあるものの、かつてのドラゴより好意的に観ることができたのが大きな点だと思う。
当時のドラゴのプレッシャーやロッキーに敗退したのちの暮らしぶりなど一言で悪役と片付けるにはあまりにも悲観的に思えて、マシンと称された彼も葛藤を抱えながら戦っていたのだと感じた。

かつて完璧なイワンドラゴ式ボクシングに打ちのめされたアポロクリード式ボクシングがロッキーとさらにはかつてアポロとロッキーのセコンドを務めたデュークの息子の支えを得たアドニスクリード式となって生まれ変わり、激戦を繰り広げたラストのファイトシーンは感涙モノであった。

メインテーマとして親子に焦点を当てたこともあり、ロッキーを含めさまざまな親子像を描いていたが、ラストの試合でイワンドラゴが投げたタオルの意味深さと敗戦帰国後のヴィクターにイワンが父として寄り添い、トレーニングを再開したシーンがすばらしく、完全に主役陣を食ってかかる素晴らしい演技だったと思う。

オレ