「王道的な良作」アップグレード ハットさんの映画レビュー(感想・評価)
王道的な良作
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コミカルなアクションも随所にあり、どこかジャッキー・チェンの『タキシード』を彷彿とさせる
効果音も適切に使われていて、ヒット音やAIに肉体優先権を預けた時の独特の音なども分かりやすい
アクション時の独特なカメラワークは目を引くが、やや一辺倒でしつこく感じる部分もある
しかしカーチェイスや近接戦闘など、現代アクション映画のツボはきっちり押さえている
世界観はサイバーパンクの王道
上層階級がテクノロジーを支配し、下層の人々は反テクノロジー主義者や、VRの中に逃避する現実離れした存在として暗に描かれている
その中で、ローテクな主人公がハイテクの世界に巻き込まれていく導入は非常に自然で、観る者を違和感なく物語に引き込む
オープニングに流れるハウリン・ウルフのブルースも、ローテクな主人公像を印象づける効果的な選曲
物語の中心は、ローテク人間×AI頭脳というバディ構成
王道ながらテンポがよく、AIが肉体を得ようとする過程で明らかになる「実は黒幕だった」という展開も筋が通っており納得感がある
さらに、幻肢痛の描写を通して「肉体と意識」「現実と仮想」というテーマをしっかり掘り下げている点は高評価
ラストで主人公がAIに抗う姿を見せることで、単なるバッドエンドではなく、
“覚めない夢から自力で目を覚ます可能性”
を感じさせる余韻が残る
サイバーパンク×バディ×肉体と意識
この3要素をしっかりまとめ上げた良作
派手なアクションに加え、哲学的な問いを残す構成は見応えがある
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