ビューティフル・ボーイ(ネタバレ)のレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ

劇場公開日 2019年4月12日
15件を表示 映画レビューを書く

人を支えるって途方もない。 ネタバレ

字幕翻訳・松浦美奈
バイスを見てから間髪いれずに本作ビューティフルボーイを見た。
スティーブカレルとPLAN Bの2連続となったわけです、図らずも。

ドラッグ異存に苦しむ息子と、その息子とどうかかわればよいかに苦しむ父親のお話。

ニックがドラッグにはまったきっかけは非常に些細な事のようだった。
将来を嘱望される有能な少年が、引っかかった罠は、だれにでもありうることのように思えた。
父デヴィッドもマリファナもコカインもやったけどそんなにはまらなかったみたいなことを言っていたと思う。
つまりアメリカではちょっととんがってる頃には一通りドラッグをしていてるってのも珍しくないってことよね。
そういう一種の通過儀礼的な悪ふざけ?が、シャレにならなくなってしまったニックなのかな。

そういう認識で見進めました。

とにかくお父さん大変ね、ほんとごくろうさまやで…とずっと思ってました。
お父さんの再婚相手の人もいい感じの方で、彼女の立場にいて自分の産んだ子供への影響を心配してニックを遠ざけることを良しとしなかった点は、すばらしいです。そんなことなかなかできないもの。

一度や二度、というレベルではないのよね。
またか、またか!と周囲の努力が無になってゆき、協力しようとする気持ちがどんどん薄くなっていく。ま、普通の付き合いだと一度、二度当たりでフェードアウトしていくと思う。親兄弟でもそのように見放されることもある。
見放すほうを私は責められないと思ってしまうけれども。

見放さない、何度裏切られても見守る。
出来る事は本当にそれだけ、何度が5回でも10回でも、もっとでも。
その途方もなさに、私のようなものはやる前から諦めてしまうのですが、
恐らくそこを耐えて寄り添える人のうちにあるものが、愛と呼ばれるものなんだろうと思います。ここでいう愛は、持ち得る人を限定させてしまうものですが。

重いというか、大きいというか、強いというか、稀なる愛を注げる父なんだなあと思って、もうデヴィッドに手を合わせたくなりました。

私が持ち得る愛があるとすれば、もっと軽くて、小さくて、弱いなでしょうね。
それが悪いとも思いませんが。

ニックにたいしては、周囲の期待に応えすぎたのが、無自覚にしんどかったのかなとは思いましたがね。実話でありニックにあたる人が更生しているっぽいのが、救いではあります。

ニックを悪くゆって、遠ざける事は問題の解決には全くならないので、そうしたくないですが、そういう感情がないといえばうそになります。
そんなよくいる感じに薄情な自分を自覚しつつ、お父さん頑張れ!と思い続ける厳しい鑑賞時間でした。

映像なんかはとてもよかったです。みずみずしさのあふれる子供時代のシーンとか大好きです。

妹ちゃんのお小遣いを盗んだっぽい場面では、ニックを刺したくなりました。

だいず
だいずさん / 2019年5月17日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
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この父親バカなの? ネタバレ

これって、実話なんですね。
ドラッグに興味もないから、息子の行動は、理解できないし、共感できない。
ドラッグ依存症になったきっかけって、結局、寂しかったからなのかな。ラストあたりで、息子が、父親への電話で、施設に入りたくない、お父さんたちと一緒にいたいっていうセリフと、その後の行動をみて、そう思った。言われてみると、この父親って、施設に入れて、他人に更生させることしかしてないもんね。プロに任せたいって気持ちは分かるけど、あの場面で、助けを求めた息子へ、一緒に暮らせないって言ったとき、私は、息を飲んだよね。息子は彼だけじゃない、小さな弟たちへの影響とか考えると、暮らせないって思うのも分かるけど…。でも、息子は、小さな弟たちだけじゃないでしょう?と言いたくなった。自殺するんだろうなぁ…って思ったけど、思い出ある場所で死なせてあげたいとも思っちゃった。あの父親、愛情を持ってないとは言わないけど、その愛し方、表現の仕方、間違ってるよと言いたい。

らぶにゃん
らぶにゃんさん / 2019年5月11日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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親なんかなんもできない ネタバレ

ドラックにはまる彼に、親が思うできる限りのことを一生懸命やるけど、息子が求めているものとはズレがあって、価値観のズレっていうのか、もうどうにもならなくて。
プチ反抗期の我が子に対峙する日常と重ねてしまって、泣けて泣けて。

少し心配性なパパは自分と重なる。
「お前を信じてるけど、証拠が欲しいんだ。」
「それって矛盾してない?」
ほんと矛盾してる。

わたしもこどもになにか「してあげられる」と思ってんの?おおきなお世話だよね と再確認させられた。

問題に対応しながらパパのあたまに浮かぶのは、舌ったらずでピュアな幼少期の息子の姿。
年の離れた弟の純真無垢との対比もキツイ。

わたしはずっと泣いていた。

音楽もよかった〜
90年代オルタナ

チギタ
チギタさん / 2019年5月8日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
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ためになります。 ネタバレ

薬物依存の恐ろしさや本質、もどかしさが
程よく散りばめられ、まとまりを感じました。

家族とは言え、脳科学的な理解もいるし、
家族だからこそ、離れなければならない対応
も必要である等、色々と教えてくれました。

予後が悪いとは聞くけども、主人公はその後
うまく回復したんだろうか?と余計な心配
ばかりでした。背景には、もっと予後が
悪い人が亡くなっているわけであり、そこを
想像させる演出もあったように思います。

社会はどうすれば良いのであろうか?
この映画も貢献して欲しいと願います。

mahasatearan
mahasatearanさん / 2019年5月6日 / PCから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  怖い 知的
  • 鑑賞方法:-
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ガチでリアルなドラッグ映画 ネタバレ

面白い音楽のチョイス、どうしてこの曲を入れたのか気になる.

演技はみんな素晴らしい。

Transition が音声だけが前にシーンに重なって流れてくるし、次にどんなことが起きるのかを予想しやすいので、そこまで長く感じさせない作りになってる。

日常的な描写だとしても。

ドラッグを通して日常的に繰り返される一般的に言われる悪いことを描いている映画です。

前に進むこと、何かを止めることは助けがあっても難しい時がある。

ジャンクフードを食べすぎてしまう人だって同じだと思う。それを自分の中で正当化さえしてしまう。

一度も体験したことがない人はそれを行うことの嫌悪感とそれに対する飛躍した固定観念で逃げているだけだとも言える。

でも、その嫌悪感を打ち砕く悲しい現実がそこにあった時、本当に自分は踏みとどまることができるのだろうか。

動画でもまとめてみました

https://youtu.be/GhK1CXrZNDQ

hero survey
hero surveyさん / 2019年5月6日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  泣ける 悲しい 怖い
  • 鑑賞方法:-
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終わりのない物語 ネタバレ

終わりのないループをひたすら全員が諦めずに歩いてく物語。

1曲1曲は素晴らしく美しい音楽ばかりなのに、添えられるシーンのせいで不穏しか感じなかった。父の歌うビューティフル・ボーイなんて地獄の子守唄かと思ったよ…。

彼らの歩みが長く止まり、より長い休息を取ることができますようにとただ心から祈るのみ。本当にそれだけ。それが全て。

そういえば、元薬物依存のミュージシャンが薬物依存について寄稿していたのを読んだことがあるけれど、骨折に処方された痛み止め、歯の治療で処方された痛み止め、そんなものでも知らずに摂取してしまえばすぐに再発してしまうんだそうだ。
そして街に出て5000円くらい出せば、またあの快楽を手にできると。戻るのは簡単で断ち続けるのは地獄の苦しみだと。

痛み止めなんかに関しては、お医者さんも気をつけて処方してくれるとありがたいと言ったようなことも書いていたなあ。

一度手を出してしまえば、もう自分でコントロールすることなんて難しいんだ、ということをしつこいくらいリアルに知ることが出来るだけでもいい映画だと思った。

k
kさん / 2019年5月2日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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これでいいのだろうか ネタバレ

映画としては面白い。音楽、フラッシュバック的演出、そして主人公の美しさ。それらが相まって物語から目が離せない。が、これでいいのかという思いが残る。

極めて依存性の高い薬物を、短期間断っただけで、これだけ回復するのだろうか?
過剰摂取で心肺停止に陥った彼女を、携帯片手に心肺甦生できるのだろうか?
致死量を越えて薬物を摂取して、命をとりとめる事がありえるのだろうか?

最終的に8年間シラフでいるという事実は実話に基づくものだろうが、エンドロール後半の主人公の詩の朗読を含め、描かれ方がきれい過ぎる。
この映画を観て、薬物に憧れを抱く若者がいてもおかしくない仕上がりに、どうしても評価をためらってしまう。

二人の母親の間で、心の暗い穴を埋めるために薬物に手を出し、依存症に苦しむ裏表を演じた主人公の演技は繊細で素晴らしい。
これは現代における奇跡の夢物語である。
だから映画になるのかもしれないが、薬物の依存性は年齢が若いほど強く残り、人生を破滅させる。
薬物が人と家族、社会を崩壊させる恐ろしさは、こんなものではないということを心に刻み付け、若者が興味本意で手を出すことだけは絶対にやめてほしいと祈るばかりだ。

エピローグで綴られた「米国の50歳以下の成人男性の死因の第一位は、薬物の過剰摂取である」ということが事実ならば、内戦よりも由々しき事態だろう。そこにフォーカスして社会に問題提起するドキュメンタリー寄りの作品の登場を願いたい。

森のエテコウ
森のエテコウさん / 2019年5月1日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 2.5
  • 印象:  -
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とても良い映画 ネタバレ

ドラッグ依存症とたたかう父子の物語。

観ている側は、嘘をつくニック(主人公)に出あうたびに、感動なんて言葉は隅に追いやられ、その深刻さを思い知らされます。

ラスト場面、ベンチで寄り添う2人があまりにもつらすぎる…。

stoneage
stoneageさん / 2019年4月26日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
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テイストがちぐはぐなのが惜しい ネタバレ

薬物依存に関してほぼ知識の全くないまま鑑賞。
日本ではあまりこのような作品を見たことがなく、アメリカでの認識や社会の中でのサポート体制の違いにびっくり。

ただエンドロールを見るまで、こう言った社会的な情報発信や啓蒙みたいなメッセージ性を軸に据えたかったのかな?とは感じられなくて、
なぜこんなに唐突に何度も父親の回想場面が挟み込まれるんだ?と思ってしまった。
もちろん、ずっと成長を見守ってきた息子が変わり果ててしまうのはとても辛いと思うし、昔の姿と重ねて見てしまうのは当たり前だとは思う。
それでも、父が救いきれず突き放して葛藤するまでの過程と、その過去の回想がうまく混ざり合ってないというか、どこか説得力が感じられなかった。理由はよくわからなかったので申し訳ないのだけど。

義母が車で追いかけていくシーンで、途中で追いきれず車を止めて泣いてしまうところが、実は一番感情を揺さぶられた静かな名シーンだったように思う。

ありきたりな女
ありきたりな女さん / 2019年4月24日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 2.5
  • 印象:  -
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少年と父親のヒリヒリ・ピリピリ感 ネタバレ

2000年代の米国。
フリーランスのライター、デヴィッド(スティーヴ・カレル)が脳科学者にインタビューしている。
公式なものではなくプライベートなもの。
18歳の息子ニック(ティモシー・シャラメ)が薬物依存で、父親として出来ることは何かないか、と藁にもすがる思いであった・・・

というところからはじまる物語で、その後、映画はその1年前、デヴィッドがニックの薬物依存を発見するところから描かれていきます。

文才もあり、優等生であった息子が・・・どうして・・・と父親も思うわけですが、その原因は直截的には描かれません。

現在の描写のなかに、少しずつ、過去の映像が挟み込まれます。
ニックに弟が生まれるシーン、父親の再婚の結婚式、父親とのサーフィン、離れて暮らす母親のもとへひとり飛行機で旅立つ空港での父親との別れのシーンなどなど。
こういったあたりに、薬物に手を出した契機がありそうです。

映画は、過度にならないよう配慮しつつも、薬物から逃れられない依存症の姿を描いていきますが、最終的には8年間、クリーンな状態を続けている・・・と字幕で説明されます。

薬物依存症患者への救済・支援を訴える映画といえば映画ですが、スティーヴ・カレルとティモシー・シャラメが、やはり上手いです。
本人と父親とのヒリヒリ・ピリピリ感が伝わってきます。

以下、本編とは直接関係はないのですが、薬物依存の恐怖では『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000年)が、十代の若者の薬物依存では『クリスチーネ・F』(1981年)が記憶に残っています。

りゃんひさ
りゃんひささん / 2019年4月24日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
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メッセージは何だろう ネタバレ

スティーブ・カレルが良い。
ドラッグにハマるティモシー・シャラメも素晴らしいとは思ったけど、他の作品ではどこかトボけた役の多いスティーブ・カレルが、息子を必死に支えようとする父親役が、こんなにハマるとは。甲高い声で無理難題ふっかけたり、場を白けさせたりというイメージだが、本作では全身全霊で、仲の良い息子をドラッグの地獄から救おうとする優しい父を見事に演じた。
軽い気持ちから始めた葉っぱのうちは、息子から告げられても父親としても大目に見ていた。だが、息子はクスリのせいで、やがて自制が効かなくなり、信頼していた父へも嘘をついて、より深みに落ちていく。手を尽くして、クスリを辞めさせようとするが、常に裏切られる。それでも、激情に駆られることなく、いつも穏やかに話をしようとする愛情深い父親は、アメリカの親父とは少し違ったタフガイ像だ。
特に、元妻からなんとかしたいので「助けて」という電話で、もう出来ることはないと苦しく語る姿、息子から「助けて」とかかってきた電話に「私では助けられないんだ」と、突き放さなければならない姿は、辛すぎる。

これは、実話だということだが、この映画で語りたかったことは何だろう。ドラッグの怖さの啓蒙としては、一定の役割を果たしているとは思う。家族で抱えていても無理な事柄なんだという事を知らしめることなのか。
ドキュメンタリーなら良いが、映画として伝えるメッセージが弱いのか、日本慣れした私の感覚が鈍いのか、せっかく良い舞台と役者が揃ったので、もうひとつパンチを効かせて欲しかった。

aMaclean
aMacleanさん / 2019年4月16日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  悲しい
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良い映画でした。 ネタバレ

久しぶりに映画館で観たい!と思い、会社を休んで見に行きました。

大変に心を揺さぶられる映画でした。
ニック役のティモシー・シャラメの儚い美しさとドラッグ中毒者の演技にも惹かれました。
当たり前の感想ですが、本当にドラッグは怖いですね。

事前の宣伝では、父子の愛と再生の感動の物語、のような表現が目立ちましたが、その表現はこの映画とは少し合わないような気がします。
もちろん父デヴィットの深い愛情には随所で胸にこみ上がるものがありました。幼いニックとの幸せな日々がフラッシュバックしますが、これには思わず涙が出ました、、、
だからこそ、そんな深い愛を前提として、父子が更生と再発を繰り返し、もがき、傷つく姿は感動の再生の物語という表現では、軽い印象を覚えます。
じゃあどういう言い方ならいいのか、と言われると困ってしますのですが・・・

終盤、デヴィットにもういいよ、よくやったから自分の人生を生きなさいよ、と思っていましたが、ラスト、ニックの隣にデヴィットの姿があったこと、そして、モノローグでニックが8年シラフでいることが語られて救われた思いでがしました。我ながら勝手なものです。
いい映画でした。

ジュン
ジュンさん / 2019年4月16日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  泣ける 悲しい 怖い
  • 鑑賞方法:映画館
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ふつうに隣り合わせの依存症(アディクション) ネタバレ

人は快楽を求める生き物である。

しかし何ごともやり過ぎは厳禁で、度を超えると"依存症(アディクション)"と呼ばれるようになる。なにも周囲や社会に迷惑をかけるものだけではない。趣味や食事、仕事にも依存はある。仕事はワーカホリックとなる。

本作は、薬物依存症から抜け出せない大学生ニックを救うため、悪戦苦闘する父親を主人公にした親子のドラマである。

父親目線なので、それなりの世代以上ならば、自我を持った青年を指導する難しさは容易に想像できる。またこの父親は再婚しており、離れて暮らす息子のために、自らの新しい家族を犠牲にしながらも、愛情を注ぎつづける。

タイトルにもなっている劇中歌「Beautiful Boy」はジョン・レノンの1980年発表曲。当時5歳だった息子ショーン・レノンのことを歌った、愛情溢れるバラードだ。

タバコや酒を止めようと思っても、なかなか思うようにいかない。大抵、本人はいつでも止められると信じているが、事実、止めていないのだから、これを依存症という。

冗談半分だが、かなり真理を突いている(と思う)。

なので"薬物"に置き換えても同じである。本人は、"自分は大丈夫"とか、"シラフのときの自分はちゃんとしている"といった程度の認識である。そして酒・タバコ以上の常習性から抜け出せなくなっていく。

ニックの場合も、ひと筋縄ではいかない。入院治療の成功からの再発、より強い薬物への依存。2年止めることができ、公の場で"薬物セミナー"の講演に立ってからの再々発も描く。嫌になるほど止められない・・・これが現実だ。

アカデミー賞脚色賞を受賞した「君の名前で僕を呼んで」(2018)のティモシー・シャラメがニックを演じ、その堕落のさまが凄まじい。

さて話は逸れるが、「アリー / スター誕生」(2018)など、ハリウッド映画にはふつうにアルコール依存や薬物依存の主人公がに出てくる。年に何本も観る。日本のメジャー映画ではめったに見られない。

米国のほうが依存症患者の人口比率が多いというわけではない。米国のほうが社会のサポート態勢、リハビリ施設の数が充実している。日本に比べて一般的な疾病としての認識が進んでいるからだ。

薬物依存症は単なる病気なのだが、日本では病人ではなく、ことさら罪人に仕立てられる。同程度の刑罰の他の犯罪と比較しても、社会的制裁が半端ない。

ハリウッド俳優(アイアンマンのロバート・ダウニー・Jrとか)やミュージシャン(挙げればキリがない)、スポーツ選手(タイガー・ウッズとか)の薬物摂取は、一般のニュースであり、治せばいいので特別ではない。それが日米の認識の違いだ。

よーく考えてみると、薬物摂取で、出演作品の停止や損害賠償なんてナンセンスである(契約書にあれば別だが)。

ひるがえって本作も、薬物依存の姿を自然に描いている。そのよくある親子関係や家族問題に隣り合わせの現実が、依存症である。その上で、その症状の恐ろしさを知ればいい。

ちなみに本作は、ブラッド・ピット率いる製作会社"プランBエンターテインメント"が企画・製作している。近年の"プランB"は、社会問題をテーマにしたメッセージ性の高い作品を世に送り出す。

いずれもアカデミー賞作品賞を受賞した「ムーンライト」(2017)、「それでも夜は明ける」(2013)も"プランBエンターテインメント"作品である。現在公開中の「バイス」もそうだ。

ブラピは、俳優よりもプロデューサーとして多くの賞を獲得している。たまには俳優のブラピに会いたい。

(2019/4/14/TOHOシネマズシャンテ/ビスタ/字幕:松浦美奈)

Naguy
Naguyさん / 2019年4月16日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  悲しい 怖い
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予想以上だった ネタバレ

予告編では、よくある親子の感動ストーリーかと思ったけど、ありきたりの映画ではなかった。
道を踏み外した息子と、やめさせようとする父親という構図はよくあるものだが、見せ方がかわっていて、息子がどうやってドラックにはまっていったのかはそれほど描かれない。知らないうちに中毒になっていて、施設に入ってもいつのまにか再発している。時々帰ってくる息子は素直でおとうとたちとも仲良く遊んでいる。この、今は普通と変わらない、でも知らないうちにどんどんドラックに蝕まれていくところに真の恐怖があると思った。
今のところ今年いちばん揺さぶられた作品。

ぽこぺん
ぽこぺんさん / 2019年4月16日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  -
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ルーティーンのような単調な構成がドラマ性を奪う ネタバレ

ギリシャ彫刻のように端正なティモシー・シャラメの出演映画で「ビューティフル・ボーイ」と言われれば、麗しい美少年の物語かと思ってしまいそうだけれど、このタイトルはジョン・レノンの「ビューティフル・ボーイ」が元。父が愛するわが子を歌った愛の歌だ。映画も「ドラッグ依存」というテーマを持ちつつも、より強く描かれたのはその題の通り父子の愛ないし父から息子への愛なのだなと感じた。

そのためか、いかにしてドラッグを絶ったかや、ドラッグといかに闘ったか、あるいは家族が彼とどう向き合ったかという点においては、実は非常に曖昧だと感じた。逆にそこを下手に詳細に描きすぎると「ドラッグ依存者更生プログラムビデオ」みたいなことにもなりかねないので、ある意味では安堵する一方、ドラッグ依存となった息子とその家族の葛藤や闘いが、この映画で十分描かれたか?というと不十分な感は否めず、では父と息子の愛の物語や家族の愛の物語としてはどうかと考えても、そこにはやっぱり物足りなさが残った。

エンディングの最後に、ドラッグに関するメッセージ性のある文章が表示され「ふむふむなるほど」と思った直後にふと気づいた。本来はそこに書かれたメッセージを作品に組み込み、この作品を観た人が自ずとそのメッセージに気づかされる、そんな映画にするべきだったのではないか。内容に物足りなさがあったため、最後のメッセージも取ってつけたように感じられてしまった。

映画の構成としても、依存→更生→再発→少年時代の回想・・・という繰り返しが崩れることなくループされるので、展開がどんどん単調になっていくのを感じた。結局最後の最後までその構成が宛らルーティーンの如く乱れることがなく、物語としては大変な出来事が数々起きているはずなのに、そこに映画的な起伏や躍動が感じにくい映画だったなというのが正直な感想だった。

演者はスティーヴ・カレルはじめ、だれもが本当に素晴らしくて役者でだいぶ内容がカヴァーされていたようにも思えたのだけれど、それにしても相変わらずティモシー・シャラメの持つあの妖しさというか色気は何なんでしょうね。演技の良さに加えて観ている人を惑わせるような存在感。ただ美しいだけじゃない悩ましさがあって映画の最中ずっと釘付けだった。彼に免じて☆0.5追加してます。

天秤座ルネッサンス
天秤座ルネッサンスさん / 2019年4月15日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
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