「ふつうに隣り合わせの依存症(アディクション)」ビューティフル・ボーイ Naguyさんの映画レビュー(ネタバレ)

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ビューティフル・ボーイ

劇場公開日 2019年4月12日
全59件中、39件目を表示
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ふつうに隣り合わせの依存症(アディクション) ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

人は快楽を求める生き物である。

しかし何ごともやり過ぎは厳禁で、度を超えると"依存症(アディクション)"と呼ばれるようになる。なにも周囲や社会に迷惑をかけるものだけではない。趣味や食事、仕事にも依存はある。仕事はワーカホリックとなる。

本作は、薬物依存症から抜け出せない大学生ニックを救うため、悪戦苦闘する父親を主人公にした親子のドラマである。

父親目線なので、それなりの世代以上ならば、自我を持った青年を指導する難しさは容易に想像できる。またこの父親は再婚しており、離れて暮らす息子のために、自らの新しい家族を犠牲にしながらも、愛情を注ぎつづける。

タイトルにもなっている劇中歌「Beautiful Boy」はジョン・レノンの1980年発表曲。当時5歳だった息子ショーン・レノンのことを歌った、愛情溢れるバラードだ。

タバコや酒を止めようと思っても、なかなか思うようにいかない。大抵、本人はいつでも止められると信じているが、事実、止めていないのだから、これを依存症という。

冗談半分だが、かなり真理を突いている(と思う)。

なので"薬物"に置き換えても同じである。本人は、"自分は大丈夫"とか、"シラフのときの自分はちゃんとしている"といった程度の認識である。そして酒・タバコ以上の常習性から抜け出せなくなっていく。

ニックの場合も、ひと筋縄ではいかない。入院治療の成功からの再発、より強い薬物への依存。2年止めることができ、公の場で"薬物セミナー"の講演に立ってからの再々発も描く。嫌になるほど止められない・・・これが現実だ。

アカデミー賞脚色賞を受賞した「君の名前で僕を呼んで」(2018)のティモシー・シャラメがニックを演じ、その堕落のさまが凄まじい。

さて話は逸れるが、「アリー / スター誕生」(2018)など、ハリウッド映画にはふつうにアルコール依存や薬物依存の主人公がに出てくる。年に何本も観る。日本のメジャー映画ではめったに見られない。

米国のほうが依存症患者の人口比率が多いというわけではない。米国のほうが社会のサポート態勢、リハビリ施設の数が充実している。日本に比べて一般的な疾病としての認識が進んでいるからだ。

薬物依存症は単なる病気なのだが、日本では病人ではなく、ことさら罪人に仕立てられる。同程度の刑罰の他の犯罪と比較しても、社会的制裁が半端ない。

ハリウッド俳優(アイアンマンのロバート・ダウニー・Jrとか)やミュージシャン(挙げればキリがない)、スポーツ選手(タイガー・ウッズとか)の薬物摂取は、一般のニュースであり、治せばいいので特別ではない。それが日米の認識の違いだ。

よーく考えてみると、薬物摂取で、出演作品の停止や損害賠償なんてナンセンスである(契約書にあれば別だが)。

ひるがえって本作も、薬物依存の姿を自然に描いている。そのよくある親子関係や家族問題に隣り合わせの現実が、依存症である。その上で、その症状の恐ろしさを知ればいい。

ちなみに本作は、ブラッド・ピット率いる製作会社"プランBエンターテインメント"が企画・製作している。近年の"プランB"は、社会問題をテーマにしたメッセージ性の高い作品を世に送り出す。

いずれもアカデミー賞作品賞を受賞した「ムーンライト」(2017)、「それでも夜は明ける」(2013)も"プランBエンターテインメント"作品である。現在公開中の「バイス」もそうだ。

ブラピは、俳優よりもプロデューサーとして多くの賞を獲得している。たまには俳優のブラピに会いたい。

(2019/4/14/TOHOシネマズシャンテ/ビスタ/字幕:松浦美奈)

Naguy
さん / 2019年4月16日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  悲しい 怖い
  • 鑑賞方法:映画館
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