ビューティフル・ボーイのレビュー・感想・評価
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向き合うことの大切さと難しさ
薬物依存の息子をもつ父親と、その家族の物語。
依存とは自分の中の穴を埋めるための作業なのかなと思った。ただその穴を埋めるために別の穴を開け続けなければいけない。そのループが依存症。
そんな息子と向き合い続ける父親の強さと優しさが胸を打った。
息子の気持ちを分かろうとしたのか、自分もドラッグに手を出すシーンが印象的だった。
"救えない"と言ったときの父親はどんな心境だったのだろう。思わず自然と涙が出た。
向き合い続けてきた彼だから、それこそ世界にある言葉では言い尽くせない程の感情だっただろう。
綺麗なモノだけを見たい、触れたい、そんなことは誰もが思う。
でも現実はそんなに綺麗なモノだけで溢れてはいない。
ただ現実の中にも時々素晴らしく綺麗なモノがある。
そんなことを感じた。
社会的な問題はおいといて・
The 3C’s
" everything " 2人が何度となく交わしたこの言葉が ...
父と息子、薬物に負けぬ
『君の名前で僕を呼んで』で彗星の如く現れ、ハリウッド若手実力派の期待の星となったティモシー・シャラメ。
そんな彼の実力と魅力がまたまた発揮。
それぞれの視点で綴られた2冊の回顧録が原作による、父と息子の物語。
ニックは成績優秀、スポーツ万能。
父デヴィッドにとって最愛の自慢の息子。
父は再婚しているが、義母や義兄弟からも、“いい息子”“いい兄”。
一見、何の問題も無い幸せな家族。
が、ニックには深刻な問題が。
薬物に手を出してしまい、依存症に…。
何故、自慢の息子が薬物を…?
“自慢の息子”だからである。
周囲の期待。そのストレス…。
まだ年端もいかない子供にそんなストレスを背負わせた大人たちを批判したいし、当の本人の気苦労は察する。
だからと言って、許される事ではない。寧ろそれは、己の弱さだ。
ニックが薬物に手を出したのは、一回二回だけじゃない。
さらに、様々な種類の薬物に手を出し…。
依存、中毒。溺れ、堕ちていく…。
勿論ニックも、このままじゃいけないと分かっている。
更正施設へ。
家族の助け。
出会った恋人の存在。
しっかりリハビリを受けている…と思いきや、
家族に嘘をつき、再び薬物に手を出す。
施設を抜け出す。
音信不通に。
それでも、薬物を克服しようとするニック。一心で支える父。
が、その度に裏切り、裏切られ、時には激しく衝突。
薬物に手を出してしまった自業自得とは言え、胸が痛い。
そして遂には、命の危険に…。
薬物依存の青年を演じる為、実際に更正施設で生活し、減量したシャラメ。
その役作りもさることながら、何処か儚く脆く、そして繊細でピュアな佇まいは、“今”でしか表せない。
息子を信じ、無償の愛情を注ぐ父親役のスティーヴ・カレルも素晴らしい。もうすっかり、シリアス名優だ。
世間に出回る話では、薬物を克服した人の話をよく聞く。
努力と苦しみを乗り越えた方々は大勢居るだろうが、同じくらい今も苦しんでいる人たちも…。
劇中でも描かれていたが、今度こそ本当に抜け出そうとしても、そう簡単に薬物地獄からは抜けられない。
それほど恐ろしい。たった一度でも、手を出してしまったら、堕ちてしまったら…。
何故、そうなってしまったのか。
本作のラストシーン。
でも、救いはある。薬物に負けようとしない強い心と、信じ支えてくれる愛情があれば…。
何事も経験?
名役者同士が繊細に父子を描く
それでも息子を信じる
ティモシーシャラメ目的で観てみたが、
スティーブ・カレルがとても良かった。
人生に疲れたおじさんをやらせると
ピカイチな気がする。
薬物を摂取したって幸せな時もあった。
みたいな甘い話ではなく、
一度薬物を摂取したら、
後はまたやるんじゃないか?
今シラフなのか?
と疑いの目でしかいられなくなるし、
信じしても信じてても裏切られる父親の姿が切ない。
息子も父親や家族に愛はあるが、
薬物に溺れて逃れられない、
根は良いやつなはずなのに堕ちて行く姿は
自分の息子だと思うと見ていられない。
裏切られても割と息子を自由にさせる父親の姿に
信じ過ぎだろ!と思ったけど、
それが父親ってものなんだろうか?
薬物をやる度に
小さい頃の息子とのエピソードを挟んで来るのは
ズルい演出だった。
子を持つ親としてはグッと来てしまう。
たまたまこの息子は生きてるだけで、
全てを壊し失いかねないのが薬物だと、
救いようのない物語なのが良かった。
映画自体はとても美しい映像で
堕ちていく話とのギャップも良かった。
ドラッグは怖い❗
そして彼は今、生きてる
depressing reality
人を救うことはできない
胸を締め付けられる
ドラッグ依存者とその家族の苦しみ
ドラッグの恐ろしさが生々しくひしひし伝わってくる作品。献身的に息子を支え救おうとするお父さんの姿に胸が苦しくなった。
10対0で息子が悪いと思ってしまうのが正直な感想だけど、そうではないのだろうか…。少なくとも、お父さんは何か後悔や負い目を感じているようで、それもまた苦しい。
ドラッグ依存者を家族に持つ人が集まる家族会のシーンで、娘を亡くしたお母さんの「生きてる人を、生きてる時に失ったことを悲しむより、死んでしまった人を悲しむ方が少しは楽。生きてる時も既に娘はいなかった」という台詞が印象に残りました。気持ちがとても分かる。
楽しい作品ではないけれど、丁寧な描き方で伝わる実際にあった家族の物語が胸に響きました。
すべて。
私には痛いほど伝わった
新聞の映画紹介で知り、是非と思ったが、レビューのコメントの評価が余りに低く、どっち?と思いつつやはり観に来ました。観てよかった。
息子の気持ち、わかるよ。この父のダメ親ぶりも。深い所でいつも噛み合わない。でもいつも息子が合わせてる、父に。優しくて繊細な息子、疲れてる、父に。父、息子を愛していると思ってる、但し条件付きで。トロフィー・ワイフという言葉がありますが、トロフィー・サンですね。息子、気が付いてる、でも無意識で。段々と理性と心と身体が一致しなくなる。壊れそう。現実逃避せざるを得ない。父、言語化して、説明して、という。ライターだから、言葉で理解したい。世間も気になる。息子だって、自分の気持ちを言葉で言えたら、どんなに楽だろうか。できないから苦しい。生きてるだけでなぜだか寂しくて、死ぬほど苦しい。わかって欲しい。愛して欲しい、無条件で。時々出てくるお母さん、生みのママと、父のパートナーとしての女性。二人共良い人だ。愛のある人たち。でも距離がある、物理的にも、心の距離も。無防備で飛び込むにはちょっとだけ遠すぎて。何とか辛うじて、絶望と死との境界をフラフラ歩く。最後、やっとパパに無防備にすがった。やっと言えた「助けて」。父、トンチンカンだから「もう助けられないよ」。最後の頼みの綱、だったのに。でも父、アタマで考えてるから、もう悩みすぎて、息子がオオカミ少年のように思えて、ほんとにわけわからん状態。新しい妻、小さい子供達のパパでもあるから。ビューティフル・ボーイだった息子は愛せてもジャンキーの息子は...切り捨ててしまいたい、父の心も壊れそう。可哀想に。でもひょっとして、1ミリだけこの時、自分の中の欺瞞に気付いたかもしれませんね。わかりません。生みのママがこの元夫に「アナタ頑張ったよね。わかる。でも私あきらめない。」って。よかった、ここに命綱がありました。みんな総力戦で、やっと。
どこまでもどこまでもすれ違う。そしてまだ現在進行形。実話。こういう家族はたくさんいる。親に「なる」のは簡単じゃないよ。自戒を込めて。
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