ビューティフル・ボーイのレビュー・感想・評価
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こんな映画が観たかった
映像がストーリーを物語っている。
そんな風に感じた。
役者の演技力に頼り切らない、
セリフに頼らない、
それぞれのシーンの、本当の空気を撮った映画。
家族と相容れなくなるあの瞬間の空気、
木々のざわめく音、木漏れ日、
夜の暗くなった部屋。
人間が感じる空気を映像化し、
観る者に、ストーリーを感じとらせる。
演技とは、誇張することで分かりやすくなり
伝わりやすくなると思っていたが、
この映画は、
しゃべりすぎない、展開が激しすぎない。
あまりに自然に、人間の光と闇を描ききっている。
テーマの重さが少し精神的に思いが、
何度も観て、この映画の魅力を分析したい。
ドラッグの恐怖
向き合うことの大切さと難しさ
薬物依存の息子をもつ父親と、その家族の物語。
依存とは自分の中の穴を埋めるための作業なのかなと思った。ただその穴を埋めるために別の穴を開け続けなければいけない。そのループが依存症。
そんな息子と向き合い続ける父親の強さと優しさが胸を打った。
息子の気持ちを分かろうとしたのか、自分もドラッグに手を出すシーンが印象的だった。
"救えない"と言ったときの父親はどんな心境だったのだろう。思わず自然と涙が出た。
向き合い続けてきた彼だから、それこそ世界にある言葉では言い尽くせない程の感情だっただろう。
綺麗なモノだけを見たい、触れたい、そんなことは誰もが思う。
でも現実はそんなに綺麗なモノだけで溢れてはいない。
ただ現実の中にも時々素晴らしく綺麗なモノがある。
そんなことを感じた。
社会的な問題はおいといて・
The 3C’s
" everything " 2人が何度となく交わしたこの言葉が ...
父と息子、薬物に負けぬ
『君の名前で僕を呼んで』で彗星の如く現れ、ハリウッド若手実力派の期待の星となったティモシー・シャラメ。
そんな彼の実力と魅力がまたまた発揮。
それぞれの視点で綴られた2冊の回顧録が原作による、父と息子の物語。
ニックは成績優秀、スポーツ万能。
父デヴィッドにとって最愛の自慢の息子。
父は再婚しているが、義母や義兄弟からも、“いい息子”“いい兄”。
一見、何の問題も無い幸せな家族。
が、ニックには深刻な問題が。
薬物に手を出してしまい、依存症に…。
何故、自慢の息子が薬物を…?
“自慢の息子”だからである。
周囲の期待。そのストレス…。
まだ年端もいかない子供にそんなストレスを背負わせた大人たちを批判したいし、当の本人の気苦労は察する。
だからと言って、許される事ではない。寧ろそれは、己の弱さだ。
ニックが薬物に手を出したのは、一回二回だけじゃない。
さらに、様々な種類の薬物に手を出し…。
依存、中毒。溺れ、堕ちていく…。
勿論ニックも、このままじゃいけないと分かっている。
更正施設へ。
家族の助け。
出会った恋人の存在。
しっかりリハビリを受けている…と思いきや、
家族に嘘をつき、再び薬物に手を出す。
施設を抜け出す。
音信不通に。
それでも、薬物を克服しようとするニック。一心で支える父。
が、その度に裏切り、裏切られ、時には激しく衝突。
薬物に手を出してしまった自業自得とは言え、胸が痛い。
そして遂には、命の危険に…。
薬物依存の青年を演じる為、実際に更正施設で生活し、減量したシャラメ。
その役作りもさることながら、何処か儚く脆く、そして繊細でピュアな佇まいは、“今”でしか表せない。
息子を信じ、無償の愛情を注ぐ父親役のスティーヴ・カレルも素晴らしい。もうすっかり、シリアス名優だ。
世間に出回る話では、薬物を克服した人の話をよく聞く。
努力と苦しみを乗り越えた方々は大勢居るだろうが、同じくらい今も苦しんでいる人たちも…。
劇中でも描かれていたが、今度こそ本当に抜け出そうとしても、そう簡単に薬物地獄からは抜けられない。
それほど恐ろしい。たった一度でも、手を出してしまったら、堕ちてしまったら…。
何故、そうなってしまったのか。
本作のラストシーン。
でも、救いはある。薬物に負けようとしない強い心と、信じ支えてくれる愛情があれば…。
何事も経験?
名役者同士が繊細に父子を描く
それでも息子を信じる
ティモシーシャラメ目的で観てみたが、
スティーブ・カレルがとても良かった。
人生に疲れたおじさんをやらせると
ピカイチな気がする。
薬物を摂取したって幸せな時もあった。
みたいな甘い話ではなく、
一度薬物を摂取したら、
後はまたやるんじゃないか?
今シラフなのか?
と疑いの目でしかいられなくなるし、
信じしても信じてても裏切られる父親の姿が切ない。
息子も父親や家族に愛はあるが、
薬物に溺れて逃れられない、
根は良いやつなはずなのに堕ちて行く姿は
自分の息子だと思うと見ていられない。
裏切られても割と息子を自由にさせる父親の姿に
信じ過ぎだろ!と思ったけど、
それが父親ってものなんだろうか?
薬物をやる度に
小さい頃の息子とのエピソードを挟んで来るのは
ズルい演出だった。
子を持つ親としてはグッと来てしまう。
たまたまこの息子は生きてるだけで、
全てを壊し失いかねないのが薬物だと、
救いようのない物語なのが良かった。
映画自体はとても美しい映像で
堕ちていく話とのギャップも良かった。
つらかった
息子がヤク中映画今年2本目。『ベン・イズ・バック』が母親目線だったのに対して、こちらはお父さんが主人公。お父さんがロック系か何かのライターで、継母がヤク中の幻覚みたいな巨大な絵を描いているアーティストで、その環境でドラッグに関心を抱くなというのに無理がある。せめて大麻かお酒にしてくれればいいのにシャブやヘロインにはまってしまったので大変だ。変に頭とセンスがいいのが悪い方に作用するし、日本と違って刑務所に入れてもらえないから全然やめられない。シャブは気持ちいいのは最初だけで、あとは地獄しかないときちんと教えてあげなければならない。
ドラッグは怖い❗
「私はもう何年も喪に服していた」
先日観た『ベン イズ バック』の辛口バージョンといった内容である。まるでギリシャ神話から抜け出たような絵に描いた美少年のティモシー・シャラメのビジュアル一発で持ってゆく、彼の或る意味プロモーション作品といっても良い位の作りである。確かに日本に於いてはこれ位の役回りをジャニーズ系のアイドルが出来る訳もなく、そういう意味では役者としての覚悟みたいなモノは強く感じさせられた。俳優という立場では柳楽優弥や菅田将暉ではもうこれ位はできるポジションだろうから、これからの邦画界を背負う注目株がここまで演じられれば嬉しいけどね。
今作品の特徴の一つであり、これがキモなのだろうが、とにかく“しつこい”程、何度も何度も麻薬中毒からの脱却失敗を繰り返す構成なのである。発覚して施設に入り、治ったかなと思いきや又元の木阿弥というシークエンスを幾度となくウンザリするほど繰り返す展開である。勿論映画なので実際の時系列ではないから、本来ならばもっとその繰り返しが4~5年のスパンだから物語中の登場人物達の想いみたいなものはもっと深いと推察するが、しかし鑑賞している身分とすると、まるで二、三日置きに起きている出来事のように勘違いしてしまうので益々共感性が薄れていってしまい、どんどん気持が離れてしまうのだ。多分それが今作品の風味であり、意図なのであろう。ヤサグレ感と従順感をまるでカメレオンのように演じ分ける様は時間がされているだけにより顕著に大袈裟に誇張されているのも狙いなのだと感じる。
今作品に於いての薬物依存の明確なきっかけは示されていない。実際の現場でも多分そうであろう。遠因は沢山示される。そもそもが退廃的且つ狂気に憧れる思想。思考能力が高度ならばそういうダークファンタジーに憧れを抱くのも無理はない。裕福な家庭、理解力のある父親、しかし親は離婚し別の女性と再婚という複雑な環境。しかしその総ては明確にトリガーを示していない。導き出される想像は、“成功体験”成長期特有の心の穴を埋めるものがたまたま薬物であり、体質が偶然にも親和性を持ち得ていた不幸。そして薬物が脳の意志決定に多大な影響を及ぼし始め、依存度を高めてしまう。理性を司る部位を弱らせ、立派な中毒患者が出来上がる。そしてその麻薬の“A代表”が覚醒剤と言う訳だ。日本では“ヒロポン”という名前で知れ渡っている“メタンフェタミン”は世界中に“aka”を冠しながら蝕み進んでいる。劇中でも示されているとおり、蔓延の原因は近しい人からの誘惑。元々“類友”なのだからあっという間に感染だ。そのどうしようもない負の連鎖を執拗に今作品は描いている。もう誰が悪くて誰が間違っているかは分らなくなり、結局は今作品にはカタルシスは一切描かれない。あくまでも現時点では留まっているという“過程”でしかなく、死期が一寸だけ先送りしたとも取れるラストだ。幸か不幸か体質が麻薬に殺される手前で“生きる”方に棒が倒れる偶然性。そして諦めた筈の父親はしかし又息子を救う、どうにも未来を感じられない事実。物語の名を借りたノンフィクションがそこには垣間見える、現実を真っ正面に直視した激辛の作品であった。この悪魔を創り出した人間こそ“サタン”そのものであることを考えざるを得ない暗澹が支配してしまう“感傷”であった。
簡単に手に入る薬物
終始淡々と物語は進んでいく。
2番目の奥さんが、家に勝手に入って逃げていく若い2人を車で追いかけるシーンはちょっとグッときた。
幼い異母兄弟もかわいそうだった。
みんなが苦しんで不幸になるのだな、と。
全くハッピーエンドではないが、とりあえず命があることが現状維持ということで、ハッピーなのかな。
薬物のこと知らない。けど、軽い?ドラッグはいい(良くはないんだろうけど)けど、依存症になるくらいのものダメっていう線引きがよくわからない。
タバコを吸うみたいに経験するのが割と普通という国だから、依存者が多いのも当然でしょう。
その辺はなんとかしないの?トランプさん。
人を支えるって途方もない。
字幕翻訳・松浦美奈
バイスを見てから間髪いれずに本作ビューティフルボーイを見た。
スティーブカレルとPLAN Bの2連続となったわけです、図らずも。
ドラッグ異存に苦しむ息子と、その息子とどうかかわればよいかに苦しむ父親のお話。
ニックがドラッグにはまったきっかけは非常に些細な事のようだった。
将来を嘱望される有能な少年が、引っかかった罠は、だれにでもありうることのように思えた。
父デヴィッドもマリファナもコカインもやったけどそんなにはまらなかったみたいなことを言っていたと思う。
つまりアメリカではちょっととんがってる頃には一通りドラッグをしていてるってのも珍しくないってことよね。
そういう一種の通過儀礼的な悪ふざけ?が、シャレにならなくなってしまったニックなのかな。
そういう認識で見進めました。
とにかくお父さん大変ね、ほんとごくろうさまやで…とずっと思ってました。
お父さんの再婚相手の人もいい感じの方で、彼女の立場にいて自分の産んだ子供への影響を心配してニックを遠ざけることを良しとしなかった点は、すばらしいです。そんなことなかなかできないもの。
一度や二度、というレベルではないのよね。
またか、またか!と周囲の努力が無になってゆき、協力しようとする気持ちがどんどん薄くなっていく。ま、普通の付き合いだと一度、二度当たりでフェードアウトしていくと思う。親兄弟でもそのように見放されることもある。
見放すほうを私は責められないと思ってしまうけれども。
見放さない、何度裏切られても見守る。
出来る事は本当にそれだけ、何度が5回でも10回でも、もっとでも。
その途方もなさに、私のようなものはやる前から諦めてしまうのですが、
恐らくそこを耐えて寄り添える人のうちにあるものが、愛と呼ばれるものなんだろうと思います。ここでいう愛は、持ち得る人を限定させてしまうものですが。
重いというか、大きいというか、強いというか、稀なる愛を注げる父なんだなあと思って、もうデヴィッドに手を合わせたくなりました。
私が持ち得る愛があるとすれば、もっと軽くて、小さくて、弱いものなんでしょうね。
それが悪いとも思いませんが。
ニックにたいしては、周囲の期待に応えすぎたのが、無自覚にしんどかったのかなとは思いましたがね。実話でありニックにあたる人が更生しているっぽいのが、救いではあります。
ニックを悪くゆって、遠ざける事は問題の解決には全くならないので、そうしたくないですが、そういう感情がないといえばうそになります。
そんなよくいる感じに薄情な自分を自覚しつつ、お父さん頑張れ!と思い続ける厳しい鑑賞時間でした。
映像なんかはとてもよかったです。みずみずしさのあふれる子供時代のシーンとか大好きです。
妹ちゃんのお小遣いを盗んだっぽい場面では、ニックを刺したくなりました。
この父親バカなの?
これって、実話なんですね。
ドラッグに興味もないから、息子の行動は、理解できないし、共感できない。
ドラッグ依存症になったきっかけって、結局、寂しかったからなのかな。ラストあたりで、息子が、父親への電話で、施設に入りたくない、お父さんたちと一緒にいたいっていうセリフと、その後の行動をみて、そう思った。言われてみると、この父親って、施設に入れて、他人に更生させることしかしてないもんね。プロに任せたいって気持ちは分かるけど、あの場面で、助けを求めた息子へ、一緒に暮らせないって言ったとき、私は、息を飲んだよね。息子は彼だけじゃない、小さな弟たちへの影響とか考えると、暮らせないって思うのも分かるけど…。でも、息子は、小さな弟たちだけじゃないでしょう?と言いたくなった。自殺するんだろうなぁ…って思ったけど、思い出ある場所で死なせてあげたいとも思っちゃった。あの父親、愛情を持ってないとは言わないけど、その愛し方、表現の仕方、間違ってるよと言いたい。
親なんかなんもできない
ドラックにはまる彼に、親が思うできる限りのことを一生懸命やるけど、息子が求めているものとはズレがあって、価値観のズレっていうのか、もうどうにもならなくて。
プチ反抗期の我が子に対峙する日常と重ねてしまって、泣けて泣けて。
少し心配性なパパは自分と重なる。
「お前を信じてるけど、証拠が欲しいんだ。」
「それって矛盾してない?」
ほんと矛盾してる。
わたしもこどもになにか「してあげられる」と思ってんの?おおきなお世話だよね と再確認させられた。
問題に対応しながらパパのあたまに浮かぶのは、舌ったらずでピュアな幼少期の息子の姿。
年の離れた弟の純真無垢との対比もキツイ。
わたしはずっと泣いていた。
音楽もよかった〜
90年代オルタナ
そして彼は今、生きてる
ためになります。
薬物依存の恐ろしさや本質、もどかしさが
程よく散りばめられ、まとまりを感じました。
家族とは言え、脳科学的な理解もいるし、
家族だからこそ、離れなければならない対応
も必要である等、色々と教えてくれました。
予後が悪いとは聞くけども、主人公はその後
うまく回復したんだろうか?と余計な心配
ばかりでした。背景には、もっと予後が
悪い人が亡くなっているわけであり、そこを
想像させる演出もあったように思います。
社会はどうすれば良いのであろうか?
この映画も貢献して欲しいと願います。
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