「少年と父親のヒリヒリ・ピリピリ感」ビューティフル・ボーイ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
少年と父親のヒリヒリ・ピリピリ感
2000年代の米国。
フリーランスのライター、デヴィッド(スティーヴ・カレル)が脳科学者にインタビューしている。
公式なものではなくプライベートなもの。
18歳の息子ニック(ティモシー・シャラメ)が薬物依存で、父親として出来ることは何かないか、と藁にもすがる思いであった・・・
というところからはじまる物語で、その後、映画はその1年前、デヴィッドがニックの薬物依存を発見するところから描かれていきます。
文才もあり、優等生であった息子が・・・どうして・・・と父親も思うわけですが、その原因は直截的には描かれません。
現在の描写のなかに、少しずつ、過去の映像が挟み込まれます。
ニックに弟が生まれるシーン、父親の再婚の結婚式、父親とのサーフィン、離れて暮らす母親のもとへひとり飛行機で旅立つ空港での父親との別れのシーンなどなど。
こういったあたりに、薬物に手を出した契機がありそうです。
映画は、過度にならないよう配慮しつつも、薬物から逃れられない依存症の姿を描いていきますが、最終的には8年間、クリーンな状態を続けている・・・と字幕で説明されます。
薬物依存症患者への救済・支援を訴える映画といえば映画ですが、スティーヴ・カレルとティモシー・シャラメが、やはり上手いです。
本人と父親とのヒリヒリ・ピリピリ感が伝わってきます。
以下、本編とは直接関係はないのですが、薬物依存の恐怖では『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000年)が、十代の若者の薬物依存では『クリスチーネ・F』(1981年)が記憶に残っています。