「“行間”ではなく“音間”を読む。」THE GUILTY ギルティ(2018) 財団DXさんの映画レビュー(感想・評価)
“行間”ではなく“音間”を読む。
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EMCにかかってきた一本の電話。『誘拐された』と助けを求める女性を救うべく主人公・アスガーは通話音声から情報を得ようとするが…。
冒頭の数分でアスガーの仕事ぶりや性格、かつての過ちなどを手際よく描き出す。サスペンスと思っていた本作は、中盤からは完全にホラーへと豹変。終盤には自分を蝕む先入観と視野の狭さをまざまざと思い知らされる。画面はアスガーの職場だけで進行するが、観客は最初から最後まで緊張の糸を切らさずのめり込んでしまう。音質・音の大小・聞こえる方角・沈黙の長さなどありとあらゆる音響演出がなされており、舌を巻いてしまった。
また、筆者愛聴のラジオ『アフター6ジャンクション』の特集によれば、本作の電話の音は通常の受話器から聞こえる音とはまた違った加工がなされているらしい。アスガーの脳内補正や主観が入り混じった演出だという。
とにかく見ている間中、『次はこうなるのでは?いやこっちか?』と考えれば考えるほど逆にミスリードされて作り手の手玉に取られ、最後は自分の中にある罪とその元凶を見つめ直していく。なるほど!タイトルの『GUILTY ギルティ』とはそういう意味か!!
『search/サーチ』に続く革新的な一本。ぜひ、あなたも濃密な音の世界に没入してほしい。
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