ヘレディタリー 継承のレビュー・感想・評価
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最高のホラー映画でしたわ!
無茶苦茶楽しめました。
1番怖いな〜と感じたのが、家族のシバリ。
歪だけど家族で、
家族を信じたいけどやっぱりどこか壊れてて、
家族を何とかしてあげたいけどできなくて、
で、「もう、こらアカンわ〜!助けてもらおう」ってなった時には手遅れで…
もう、どれだけ観てる観客を苦しめたら気がすむんだよ!
正統的ホラーに狂信的な宗教色を絶妙に絡ませた映画スタジオA24の凄さを嫌という程認識した作品
冒頭から、不穏な雰囲気が画面から漂い出る。A24作品の色が濃厚に出ている。
とにかく怖かった。
ネタバレにならない範囲で
1.チャーリー・グラハムを演じる、ミリー・シャビロという子役の表情が怖い(舞台やお姉さんと数多くのCDを出している 又、イジメ撲滅運動もしている立派な少女だそうだが、貴女の口にするクリック音が怖すぎて、映画の貴女の存在自体が観客に対するイジメです・・(すいません・・。凄く褒めてます。))
2.アレックス・ウォルフを演じるミリーのお兄さんピーター・グラハムがどんどん精神的に追い詰められていく姿(「パトリオット・デイ」や「ジュマンジ」の姿とは別人のような苛められ方
3.ミリーを乗せた車と彼女の行く末・・・・
4.微妙に怖いアン・ダウド
5.お願いだから、勘弁してくださいレベルのトニ・コレットの怪演ぶり
そして、亡き祖母が仕掛けた術に嵌っていく家族・・。
<監督・脚本のアリ・アスターを知り、鑑賞後直ぐに書棚のベイモンを始めとする1700年代以降のヨーロッパ悪魔伝承本をほんの一部読み返して、直ぐに戻した・・>
<2018年11月30日 劇場にて鑑賞>
怖かった
長男がお父さんにもお母さんにも似ていなくて、何か秘密があるのかと思ったら特に何もなかった。妹の死が怖い。あそこで、長男も妹を助けようとする一心での行動があんなことになるなんて、つらい。バックミラーをチラ見するだけで帰宅してそのままベッドに入るのがリアルだし、表現がすごい。
霊をコックリさんで召喚して、妹の霊が怒っているのが怖かったのだが、妹じゃなくて魔王だったと知ったらあんまり怖くなくなった。魔王なのに、低所得層みたいな連中がひれ伏しているだけで残念な感じだった。
怖かったけど。
娘チャーリーの不気味さ、母親と息子が徐々に取り憑かれたようになっていく怖さ。ストーリーも音楽も恐怖一色なのに、ラストでえっ?この展開?エンドロールの音楽も妙に明るくて😒
ただ、あの舌を鳴らす音、誰かがやっていたらしばらくはこの映画を思い出すんだろうな。間違いなく。
怖いけど笑える
悪夢のようなシーンが沢山ですが、どこか笑える。母親がどんどん追い込まれてパニクって行く感じがリアルというか、ヨガとかスピリチュアルに救いを求める、ヒッピー趣味なこがねもちの奥さん、良く外国にいるなーという感じがして、苦笑いです。
息子のリアクションもとても笑えますし、自分の否を認めない図々しさは、いかにもアメリカの若者達という感じです。
上手に隠している
隔世遺伝だとおもう。
まだまだ心の病気への偏見は世界中にあるってこと。
幻聴など、賢い人に起こる病気も市民権を得て欲しい。
本当に酷い事をするのは千分の一。
恐怖は自分が変じゃないかという疑惑にすぎない。
うわぁ……感満載
霊的な。不穏感。うつつや現実がぐちゃぐちゃ。
ママの悲壮感が、逆にこちら側を現実にいざなってしまい、病院に行きなぁ。って思いつつ。
パパがすこぶるまともに見え、息子はハッパやり続けよるし。
やっぱ、怖いのは人間かぁ……なんて思いつつ見てると、しまいにゃ宗教臭さまで。
じわじわ、ゆっくりいたぶる怖さが好きなら良いかと思いますが。
合う、合わんで言うと後者ですワタクシ。
うわぁ……あかんやん……っていう気持ちがいっぱいでした。
吽。
二度見
劇場で衝撃をうけてあまりの気持ちの悪さに二度とみるか!なんて思いながらレンタルで再び鑑賞。
初回時にはよくわからなかったことも見返してみると色々な事に気づく。
いろんなことが最初から仕組まれていたようで、カルト教団の不気味さ、超常現象は?な部分だがホラーと言うジャンルなので許されるのかな?
できれば人間離れした超常現象的なものは控えて人間的な部分のみでのホラーにして欲しかったけど。
気持ち悪さや不気味さが鑑賞後しばらく残るのは作品としては素晴らしいのかな
なによりあの女の子が不気味、顔と口を鳴らす仕草が映画鑑賞後も耳に残る、トラウマになりそうな程。
トイストーリー4の予告と同じ曲がエンディングに流れるせいでしばらくトイストーリー4を不気味に感じてしまった。
今までにない新しい怖さ
ヘレデタリーはビックリさせる方式の怖さでは無くじっとり嫌な感じで絡みつく怖さがあります、
終始その空気が漂っていて恐怖心を煽ってきます。
ホラー映画好きなら是非見てほしい作品です。
期待しすぎた。(ホラー初心者)
すごく怖い、寝れなくなる、トラウマになる、泣く。とても話題になっていたので、そんなに怖いのかと、家族が寝静まった夜中に、覚悟して見た。
(私はホラーを見たことが無い人です。初ホラーでした。)
結論はそんなに怖くなかった。期待しすぎたかもしれない。
血のシーン、虫のシーンはある。
怖いというよりは、うん、気持ち悪い。
後半、理解がおいつかず、何で???って何回か思ってしまった。
後で公式の完全解析ページを見て、ああ、そういうことなのか。
と思うものの、う〜〜〜ん??わかんなかったよ〜。もやもや。
頭の回転が速い人なら1回でわかるのかな。
ただ漠然と見ている人には難しい。
全てを理解した上で、もう1度見ようと思う。
いっそネタバレを見て、全て知った上で見たほうが、もやもやといったよけいな感情なしに恐怖を感じられるかもしれない。
驚かせにくる!という印象は無い。ただ、静かに、ずっと不気味な雰囲気が続く。これが現代のホラーなのかな。音楽も静かなので、家で見る時は音響環境良くしてみると良いと思う。
和製では産まれない
思い付いたことをツラツラと
オチ的には、悪魔思想由来の日本人には馴染みがないのペイモン?とかよく分からない処で上手く誤魔化されてると言えばそれまでだし、、、首切り、焼身辺りからてっきりキリスト教辺りの戒めに落とし込まれると思ってたので
「セブン」の七つの大罪的な、大納得があったらさらに良
ホラーは苦手なんだけど、そんなに中後半までは飛ばしてないのでサスペンス気分で楽しめた
後半までは新人監督とは思えない重厚な作りで、ありがちな目まぐるしいカット割ではなくワンカットが長く音も効果的に使われていて良かったのだが
ただラストはバタバタし過ぎた感は否めない
後半サムネになりそうなカットが多数あり、ホラー好きには堪らないのかもしれないし、自分的には良い意味で興醒めしたので怖過ぎず良かったかなと
怖すぎて笑う
公開時、超気になったけどあえてスルーしてDVDで鑑賞。
ビビリなので、とても映画館(の逃げ場のない大画面で)観るのは無理! って思ったからだけど、DVDで観て、その予感が当たっていた事を確信した。
「オーメン」「エクソシスト」から連なる正統派オカルト映画の系譜にある作品で、ワッ! と脅かす系ではないけど、その分、やたらと不穏でよく分からないけど何か嫌な映像描写で画面が満たされてるし、ショック描写を実に効果的かつ悪意たっぷりに見せてくる。
同時に、気づいた時には全てが終わっている「悪の法則」的手法もとられている。
観終わったあと「え、コレはいつから始まっていたの!?」となって、もう一回観返すと、さらなる絶望感に苛まれると思う。
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随分と内外の評価が高いので観てみた。どっしりとした落ち着いたカメラワークに焦らずじっくりと日常が描かれる内、微かな綻びが出始め、終盤に集約される。『ローズマリーの赤ちゃん('68)』に近いテイストだが、“ローズマリー”と云った登場人物ではなく、明確に騙されているのが観客となる救いの無いラスト──トラウマ級と迄は云わないが、後味の悪さはそれなりで、ひたすら闇が深く戸惑った儘、物語は幕を閉じる。ただスラッシャーやスプラッターを好む向きや単純明快なカタルシスを求める層等からは嫌われるかもしれない出来。80/100点。
・冒頭、ザッと説明的なテキストが流れるが、これをうっかり読み流してしまった。ただこの内容を判ってなくても充分、本篇内で取り戻せた。グロ描写やゴアシーンも程々にあるので、耐性の無い方は要注意。
・鳥の首を落とし、自動車事故では首が飛び、クラマックスでも……と首(頭)が重要なアイテムとして扱われている。誇張された登場人物達に登場するアイテムやガジェットはアンバランスであり、他にもどんよりとした不穏な空気感と居心地の悪い不快感はラスト迄付き纏うが、これが本作の大きな魅力の一つと云えよう。この雰囲気とテイストは、R.エガース監督の『ウィッチ('15)』を想起させる。特に畳み掛ける様に異変が起き続けるラスト近くでは、先導する者こそ違え、儀式やそれを見守る全裸の人々の出迎え、人が垂直に浮かび上がり、そこへ導かれる者の心情の変化等の展開や描写は、まるで三年前に製作された彼作をお手本としたかの様に酷似している。
・開始直後からの何を観せられてるのか判らない感~後半、主人公が錯乱・崩壊した後、善の救いが一切皆無と云った展開が佳かった。本作のマクガフィンとして登場する“パイモン”もスパイスとして効いている。
・何よりも“アニー・グラハム”を演じたT.コレットの熱演無くして、本作は成り立たなかったであろう。観客はクライマックスで彼女から突き放され、視点を失った儘、置いてけぼりを喰らってしまう。“スティーブ・グラハム”の燻し銀G.バーン、如何にも頼りなげで抑えた演技のA.ウォルフの“ピーター・グラハム”も佳いが、そこ迄可愛くも無く不気味ではあるが、どこにでもいそうな“チャーリー・グラハム”のM.シャピロの存在感が深く印象に残る。
・序盤、葬儀のシーンで、T.コレットの“アニー・グラハム”がスピーチを行うなう中、棺内の“エレン・テーパー・リー”と“チャーリー・グラハム”のM.シャピロがお別れをする際、その奥でアンクレジットのM.ブロッコービック演じる“微笑みかける男”は種明かしがなされる後半に“信者”として再登場している。
・夫婦役のT.コレット('72年11月1日生まれ)とG.バーン('50年5月12日生まれ)だが、実年齢では22歳の歳の差がある。
・“チャーリー・グラハム”のM.シャピロと“ピーター・グラハム”のA.ウォルフは同じ演劇学校に通っており、クランクイン前からお互いを知っていたらしい。亦、A.ウォルフは“アニー・グラハム”のT.コレットと同じ誕生日(11月1日生まれ)である。
・“ピーター・グラハム”を演じたA.ウォルフによれば、オリジナルカットは優に三時間を超えていたらしく、家族間内の会話シーンを大幅にカットして、現在の尺に収まったのだと云う。
・脚本と監督を手掛けたA.アスターは、T.コレットの“アニー・グラハム”に展示会のスケジュールを確認する電話の声でカメオ出演を果たしている。尚、脚本執筆に当たっては、主要登場人物達の詳細な過去とバックストーリーを設定した後、書き始めたらしい。
・序盤でA.ウォルフの“ピーター・グラハム”が授業を受けているシーンの黒板には"Themes"の下に"□Escaping Fate"とあり、これは『ハロウィン('78)』へのオマージュであり、ほぼ同じ内容が本作の授業内でも論じられている。亦、リメイクされた『ハロウィン('18)』の予告篇と同じ日('18年6月8日)に本作は一般公開された。
・本作が長篇デビューとなったA.アスターは、『コックと泥棒、その妻と愛人('89)』に強い影響を受けたと答えている。亦、本作は『回転('61)』、『ローズマリーの赤ちゃん('68)』、『赤い影('73)』等の古典的ホラー映画の他、『普通の人々('80)』、『アイス・ストーム('87)』、『イン・ザ・ベッドルーム('01)』と云ったファミリー・ドラマにも影響を受けたと云う。
・当初のシナリオでは、雪山が舞台となる予定であったが、スケジュールの都合で折り合いがつかず、5月~6月の撮影となってしまった。ただクランクイン後はスムーズに進み、ユタ州のパークシティに在る"Utah Film Studios"をメインに僅か32日間の撮影で済んだ。
・鑑賞日:2018年11月24日(日)
とにかくよく出来てる。
伏線を分かりやすく、きちんと不気味に散らばらせて、それをきちんと回収していくから、常軌を逸した話なのにも関わらず、見る側が迷子になることもなく、かつ、ある程度筋を予想できる。でもほんとにそんな話なの?という好奇心にぐいぐい引っ張られての、ラスト。物語の怖さよりも、ラストにカタルシスすら感じてしまう自分自身に恐怖する映画に感じた。なにより、よく出来た映画特有の、ジャンルを超えた「良さ」みたいなのがあって、絵的な美しさ、俳優陣の熱演、印象的な音楽、それらをもう1回味わいたくなる映画やった。
「ミニチュア製作」=「映画製作」と考えると…
一般受けは絶対しないでしょうが一部に熱狂的なファンを生みカルト映画化しそうな一作だと思います。
自分には内容を理解するのが難しい映画だったので自分の思考整理の為にもここで内容を文書にまとめてみたいと思います。(長文且つがっつりネタバレします)
今回、この映画の感想を章ごとに分けて記述します。
◾️この話の中での目的と主人公
まず、この映画の話の目的と主人公を挙げます。この話の目的は悪魔の召喚です。
次に主人公ですが母親のアニーと考えるのが普通だと思いますが、ストーリーを理解しやすくする為に祖母エレンを中心に考えてみたいと思います。
◾️ストーリー
エレンは家族に秘密で悪魔を崇拝しているカルト教団の教祖をしています。彼女は呪術を用いて地獄の王パイモンを召喚しようとしています。その為に生贄として自らの夫を差し出し、パイモンの魂を自分の息子の肉体に憑依させました。しかし上手くいかず息子も亡くしてしまいます。
エレンは唯一の肉親となった娘・アニーと険悪な仲になりますが娘が生んだ二人の子供、自分の孫にあたる長男ピーターと長女チャーリーを次の生贄に定めました。
孫娘のチャーリーの肉体にパイモンの魂を憑依させることに成功したエレン。劇中で生きていた時のチャーリーの魂は地獄の王・パイモンです。
しかしパイモンが完全になるには男の肉体が必要でした。その為にはピーターを生贄にする必要があります。
しかしパイモンの魂をピーターの肉体に載せ替える計画が完了する前にエレンの寿命が尽きました。ここから映画がスタートします。先の計画を引き継いだのはエレンの右腕となって長年共に悪魔崇拝をしていたジョーンでした。
手始めにチャーリーに呪いを掛け殺し、チャーリーの肉体からパイモンの魂を解放します。次に娘を喪失し不安定になったアニーの心の隙を突き、肉親しかできない魂召喚の儀式をやらせせます。劇中でアニーが召喚した魂は地獄の王パイモンでした。
アニー達の周りで怪奇現象が巻き起こるなか、生贄として夫のスティーブが捧げられ、アニー自身もその過程で自己を喪失します。ラスト、ピーターは殺されその肉体にペイモンの魂が宿った所で映画は終わります。
ストーリーを自分なりにまとめてみました。間違いや訂正箇所があれば是非教えて欲しいです。
◾️疑問
鑑賞後に感じた疑問を列挙します。
1.ヘレディタリー(継承)されているのは何か?
2.なぜアニーはミニチュア(箱家)を作っているのか?
3.そもそもこの映画は何を伝えたいのか、テーマは何なのか。何をやろうとしているのか?
◾️疑問への考察
1.ヘレディタリー(継承)されているのは何か?
まず真っ先に思い浮かぶのは悪魔王パイモンの魂です。これが妹のチャーリーから兄ピーターに継承されています。それ以外にもこの映画の中では、パイモン召喚計画がエレンから友人のジェーンに継承されています。そして親子の衝突もエレン・アニー親子からアニー・ピーター親子に継承されています。
2.なぜアニーはミニチュア(箱家)を作っているのか?
箱庭療法というものがあり、以下のように記述されています。
「箱庭療法は、セラピストが見守る中、クライエントが自発的に、砂の入った箱の中にミニチュア玩具を置き、また砂自体を使って、自由に何かを表現したり、遊ぶことを通して行う心理療法です。
(中略)
この療法では、砂やミニチュア玩具のイメージを活用してアイデアを広げ、上手下手ではなく、具体的な現実生活に近い表現から抽象的な非現実的な表現まで可能です。よって、言葉にならない葛藤、イメージを表現しやすいのです。
また、意識していることだけでなく、気がついていなかった自分の心身の状態や動きが直接的に感じられ、自分の心の中との対話・対決へと通じ、自己理解と人格的変容が促されます。
子どもから高齢者まで、自己啓発の目的から神経症、心身症、パーソナリティ障害などにみられる心理的課題まで、幅広く用いられていますが、実施については、クライエントとセラピストと相談しながら進めます。」(一般社団法人 日本臨床心理士会ホームページより抜粋)
以上のようにアニーのミニチュア製作は自分が気がついていなかった心の葛藤を客観的に理解するために製作している向きがあると思われます。その理由は彼女が作っているミニチュアは彼女の心の喜怒哀楽が大きく揺れ動いた一瞬の出来事を止め画にして残している作業に思われるからです。
また写真に残せない一瞬の出来事を冷凍保存や真空パックしているのかなと思われます。
つまりアニーが作っているミニチュアは彼女の心の中なのです。
そして私はミニチュア製作はこの映画の製作そのもののメタファーになっていると思うのです。
3.そもそもこの映画は何を伝えたいのか、テーマは何なのか。
この映画を見た後、凄く困惑しました。理由は何を伝えたいのか分からなかったからです。
この映画は以下の2つのラインがあります。
・悪魔召喚の計画
・妹の死に由来する母と息子の葛藤と衝突
この二つ、まるで別個の話だと思うのです。
悪魔を召喚するだけなら親子の衝突はいらないし、親子の衝突には悪魔召喚は関係ない。
私がこの映画から感じたことは家族の喪失に理由付けをしようとしているのではないか、ということです。
町山智浩さんがラジオでこの映画を紹介されていた際、監督がこの映画を作ったキッカケは自身の体験が元でそれについては語りたくないと言ったと仰っていました。
おそらくなのですが監督自身が自分由来の出来事で兄弟を失い、それをキッカケとして自分の親との関係が悪化した過去があったのではないかと思うのです。
そして何とか兄弟の死に意味付けをするためにある種強引に悪魔召喚を付け加えたように映るのです。
つまりこの映画の目的は監督にとっての箱庭療法=ミニチュア製作=この映画製作なのではないかなと。
だからテーマや伝えたいことが分からない、というか無く、自分の心を治療するための映画だと思うのです。
映画の冒頭でミニチュアの中から家族が登場し、ラスト、ピーターの肉体を得たパイモンが直立する小屋がミニチュアのように撮られている。つまり監督の心の中を描写してるんだよって暗喩なのかなと思います。
◾️総評
映画は心のアトラクションだと思っています。遊園地のジェットコースターは人為的に体を揺さぶりますが、映画は人為的に人の喜怒哀楽を動かします。
MARVEL見たときには爽快感、ラブストーリーを見たときには感動、等映画を見た後は何かしらの感情の動きがあります。
この映画を見た後の感情は最悪でした。何というか人のリストカット跡を見させられているという感じ。
まだ息子側の視点だから描けたのかもしれませんが親が子供を無くす痛みがどれほど辛いものか。なぜお金を払ってこれを見させられなければならないのか。
そもそもチャーリーやピーターの魂はどこへ行ってしまったのか。子供の体を器としか描写しない俗悪さ。(そうしないと監督が心を保てなかったのかもしれませんが)
下北沢の小劇場なら有りだと思いますが、ちょっと一般公開する映画でやる内容では無いのかなと感じています。
ホラー映画の皮を被った診療療法映像を一般公開するかね、という印象です。
映像表現は凄い良かったです、ミニチュアからのセット移行や一瞬で昼夜が切り替わるカット、そしてデビッドリンチに通ずる不条理な画の綺麗さがあり素晴らしかったです。(重低音もリンチっぽかった)
あと何となく感じたのはホラー映画の呪怨では幽霊の伽倻子と俊雄が実体としてバンバン出てきますが、幽霊を実体として出していないだけであの家の中には魂が蠢いているんだろうなと。
そして最後に!
この映画もさることながら、この作品を絶賛した方々へも自分は怒りを感じています。
映画を見まくっていて、もう普通の刺激に慣れてしまって新しい刺激を欲している人にはこういう一見ホラー映画のように見える監督の内面描写映画という凄く歪な作品に食い付いてしまうのかなと思うのです。
月に何十本も映画を見るフリークならそういう刺激が嬉しいのかもしれませんが一般の方は違います。
普通の人の2時間って大きいと思うのです。毎日仕事して、子供を育て、炊事洗濯掃除などの雑務を行ない、他の人と付き合ったりした上でさらに余った時間をようやく映画に回せる。そうした貴重な時間をこのような映画で潰してしまうのは非常に勿体ないし、公の場で映画を評論したり勧めたりする方は一般人の二時間の重さを痛感した方が良い。
偏差値70の子が使う難しすぎて参考にならない参考書やMARVELような唐揚げとフライドポテトで胃もたれしてしまった映画フリークがホヤやあん肝で呑むような玄人向けの映画だと思う。かなり歪な作品です。
あんな人達が大勢いるとヤバい
祖母を頂点とした家族関係のグラハム家で
祖母エレンが亡くなると残された夫婦アニーとスティーヴン、高校生ピーター、持病にアレルギーをもつチャーリーに起こる不幸な連鎖が気持ち悪い。
祖母が亡くなった時から妻のアニーが不調になり、グループケアみたいなのに参加している。
高校生のピーターは早くもヤクを嗜んでいるバカ野郎で、発達障害のありそうなチャーリーも見た目から可愛らしいとはとても言えず、物語冒頭から鬱になりそうな展開。
居るのか居ないのか?わからない祖母の影やチャーリーの舌打ち、元々なのか解らないアニーの幻覚妄想などは精神科患者を見るようだったが、こういった患者様の言い分を映像化したらこの作品になるのではないかと思う。
狂った様や自傷行為、弛緩した表情などそのものだ。
家庭内で唯一普通である夫スティーヴンがとにかく可哀想だ。
ラストはカルト集団の登場で、悪魔ペイモンが息子ピーターに宿ったような表現があるがチャーリーが宿ったとも取れる舌打ちのクセ等、理解は出来るが諸々の説明は圧倒的に不足しており想像力の喚起はされるもののそれで物語が補完される訳でも怖くなる訳でもなかった。
映画の作り方、見せ方は自由だからこの作品は、不快感や混乱、狂信など異常な目的によって家族の崩壊を描いたとするなら十分な作品
恐怖や衝撃や不快さは継承したが…
2018年はハリウッド・ホラーの当たり年。
『クワイエット・プレイス』が大ヒットし(正確にはホラーじゃないが)、『ハロウィン』の新作や『サスペリア』のリメイク版も大いに話題を呼んだ。
中でも特に絶賛されたのが、本作。
“2018年最恐のホラー”“21世紀最高のホラー”などの声、声、声…。
期待と恐怖に身構えて見てみたら…、
う~ん…残念ながら、自分的には今一つだった。
映画は最初の数分間が命。
特にホラー映画の場合、最初の数分間で見る者を恐怖の世界で引き込めるか。
その点、『クワイエット・プレイス』は秀逸だった。
が、本作は…。
開幕のミニチュアハウス、淡々と行われる葬式の模様、何処か冷めてぎこちない家族の姿…。
改めて見直すと意味深で伏線もある重要な冒頭なのだろうが、なかなか入り込む事が出来ず、それどころか少々退屈に感じてしまい、結局それが最後まで引き摺ってしまった。
家長である祖母の死後、奇っ怪な出来事に見舞われるグラハム家。遂には末娘をある悲劇が襲う。
悲しみに囚われた母は…。
全くつまらないという訳ではなかった。
静かな中の恐怖演出はなかなかのもの。
アトリエに浮かび上がる亡き祖母の姿。
窓ガラスに激突する鳥。
何より末娘を襲った悲劇はあまりにもショッキング…。
末娘の癖である口を鳴らす音。本当に不快であり、悲劇後幾度もドキリとさせられる。
序盤はロースタートだったが、中盤からじわじわ盛り上がってきた。
“何か”に呪われているかのような家系。
ある女性に誘われ、母が開いてしまった禁断の扉。
祖母が遺した“何か”。
遂に明かされる衝撃のラスト…。
最高潮に達した恐怖は凄みすら感じた。
悲しみと狂気に陥っていくトニ・コレットの怪演はキャリアベスト級。
罪悪感に苦しめられ、ある標的にされる長男、圧倒的な異様さとこの上ない不気味さを放つ末娘、演者の恐怖演技は圧巻。
とてもデビュー作とは思えない新鋭アリ・アスターの全編緩む事の無い恐怖と不穏の卓越した演出とオリジナリティー溢れる脚本は、並々ならぬ才能ではない。
それらは素晴らしい。
あのラストシーンも気に入った。
だけどどうしても全体的に分かり難く…。
家族を襲う忌まわしい原因は何かの因果めいたものではなく、あるカルト的なもので、いつぞや見た『ウィッチ』のクライマックスのように衝撃と凄みを感じさせるに充分だったが、唐突な印象も…。
後味悪い作品は嫌いじゃないが(寧ろ、好きな方)、そういうんじゃなくて、何と言うかこう、パッとしないと言うかすっきりしないと言うか消化不良と言うか…。
この何とも言えぬ不快さは、これはこれで成功と言えるのかもしれないが…。
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