「☆☆☆★★★ 簡単に。 日本題名の副題に【継承】と付くだけあって、...」ヘレディタリー 継承 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★★ 簡単に。 日本題名の副題に【継承】と付くだけあって、...
☆☆☆★★★
簡単に。
日本題名の副題に【継承】と付くだけあって、最後の展開は読めてしまうかも。
…とは言え。そんな事はどうでも良くなるくらいに魅入ってしまった。
ひょっとしたら、漏れ伝わって来る評判の悪さの多さに。ハードルを下げたのが功を奏したのか?とも思えるのだが。いやいや!なかなかどうして。《イヤミス》とゆう言葉が有るのだから、《イヤホラ》だって有っても良いと、おじさんは思うのだった(^ ^)
ホラー映画を観に来たのに、画面横からドカ〜ン!音楽ギュ〜ン!悲鳴がギヤ〜!が無いんだから(・ω・`)
…って不満の人がおそらく多かったんでしょうね。
おじさん、あの手の手法にはうんざりしていたので。寧ろ思い通りに怖がらせてはくれないホラー映画が有っても良いんじゃないの…と。
この作品の様に、真綿で首をジワジワっと締めて来るホラーは大歓迎なんですよね〜( ˘ω˘ )
ところで、主人公で平凡な主婦のトニ・コレットですが。彼女は箱庭世界の創造主でも有る。
そして、この作品で大事な事は。彼女の母親が亡くなった後からスタートしている。
彼女の母親が生前にどんな人だったのか?作品が進んで行くに従って、徐々に明らかになって行くのだけれど。そんな亡くなった母親もまた【或る人達から】《神》と崇められた存在だった。
エンドクレジットでの♫青春の光と影♫を聞けば、はっきりと分かるのだけれど。亡くなった母親は、60年代に流行したヒッピー文化が産み落とした怪物の1人だった。
あの当時に、数多く存在した新興宗教の波。
社会の絶望的状況に救いを求めた人達を煽動した悪魔の囁き。
だからこそこの作品は、2人の神による運命の闘いで有るとも言えるのだろうか?
映画のちょうど折り返し辺りから。トニ・コレットは突然の様に、喚き散らしたり泣き叫んだり…と、観ている観客の気持ちを逆撫でし始める。
正直に言うと、アメリカ映画によくあるこの様な場面が大嫌いなんですが。 それはひとえに、日本人のDNAに擦り込まれた慎ましさの精神ゆえだと思う。
反対にアメリカ社会では、自分の意見をはっきりと口にするを良し…とする文化が根付いている。
私自身がこの辺りで、作品に対する興味を失いかけた事実から言って。この作品に低評価をした人の多くは、おそらくこの辺りから気持ちが離れ始めたのではないでしょうか?
しかしこの辺りから、この作品の本質が炙り出されて来るのですが…。
とにかく、この作品の成功の立役者は、主人公を演じるトニ・コレットの演技力に他ならない。
映画では描かれてはいないが。その背景には、亡くなった母親との確執が深く関わっている。
おそらく母親からは、次の【継承者】として色々な事柄が有った…であろう?とゆうのが、作品の端々から漂って来る。
終盤でトニ・コレットは、或る意味では言ってはいけない言葉を遂に口にする。
「産みたく無かった!」
…と、彼女は長男であるピーターに言う。
だが、彼女は結局チャーリーを【生贄】として母親に捧げてしまったのだった。
結果、チャーリーは男になれ!とお祖母さんから言われ続けて来た。それを心の奥底から反省し、生きて来た苦しみ。
それをトニ・コレットは、素晴らしい演技力で演じきっていた。
そしてもう1つ、この作品の優れている点は。説明的な台詞等を極力排し、出来るだけカメラの動きだけで、現在の状況等を観客に伝えようとする。その演出こそが、この作品での1番の見所だと思います。
2018年12月4日 TOHOシネマズ流山おおたかの森/スクリーン7