「説法はさておき、そこそこ愉しめるSF活劇アニメ」宇宙の法 黎明編 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
説法はさておき、そこそこ愉しめるSF活劇アニメ
大学生のレイは、仲間4人とともに、侵略者レプタリアンから地球を守っていた。
ある日、仲間のひとりタイラは、逃げていくレプタリアンを追っていくうちに、心中に破壊衝動が沸いてしまう。
邪悪な宇宙人ダハールは、そんなタイラを悪の道へと誘い、彼を悪の化身ブラックナイトに変えてしまう。
そして、ダハールは地球の歴史を変えるため、ブラックナイトをレプタリアン共々、3億年前の地球に送り込む・・・
といったところからはじまる物語で、その後、レイは仲間の宇宙人の力を借りて、3億年前の地球に戻り、タイラを救おうとする・・・と展開する。
3年前に作られたアニメ『UFO学園の秘密』の続編で、レイと仲間の宇宙人の関係などは前作を観ていないとわからないところもあるけれど、本作だけ観てもわかるようにつくられているあたりは好ましい。
前作ではおざなりだったストーリーも、友情物語を基軸に、過去改変のSF趣向、異人種(ドラゴン型宇宙人)との交流など、一般的に面白いと思われる要素が詰め込まれていて愉しめるようになっています。
その中でも魅力的なのは、ドラゴン型宇宙人の女性リーダー・ザムザで、吹替えを千眼美子が担当しています。
通常は人間型なのだけれど、怒り心頭、昂奮するとドラゴンに変身するあたり、ちょっと西洋の伝奇ものの雰囲気ですね。
とはいえ、最終的には、宇宙神アルファなるものが登場して説法するという展開になるあたりが、製作団体の製作団体たるところ。
説法もそれほど長くないので、テレビシリーズの『宇宙大作戦(スター・トレック)』の絶対神が登場するエピソードの類似品、と思えば、許容範囲かしらん。
ただ、襲ってくる相手を「緊箍児(きんこじ)」(孫悟空の頭についている輪っか)みたいはなビームで縛っちゃうのは、どうかしらん。
ここは、相手の力がまるで及ばず、身体を通り過ぎるとか、通り過ぎた破壊光線で同士討ちになっちゃうとかの、無抵抗主義のほうがよかったようにも思います。
ということで、特に不快な描写もなく、説法はさておき、そこそこ愉しめるSF活劇アニメでした。