「変化を受け入れ成長する子を描く傑作」まく子 rodori86さんの映画レビュー(感想・評価)
変化を受け入れ成長する子を描く傑作
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原作は未読です。
子どものままでいたい、大人にはなりたくない、という思いは誰もが抱いたことがあるのではないでしょうか。
本作は、そんな自らや周りの変化を嫌がる少年サトシの成長を見事な演出で描いています。
何かが変化をする、ということは、それがいずれは終わりを迎えるということを意味します。それを受けいれるのが嫌なサトシでしたが、「落ちるからきれい」という変化を知らなかった梢の言葉をきっかけに少しずつ「変化」というものを前向きに捉え始めます。
変化する、終わることを受け入れ、初めは拒んだお神輿の破壊を最終的にはサトシ自身に決断させることで、彼の成長を描くのは、見事としかいえません。
また印象的だったのがおにぎりのシーン。ダメな大人だと思っていた父親が、「温かいご飯で作ったおにぎりは美味い」や「手を冷やして感覚を麻痺させればにぎりやすい」と知恵経験で作ったおにぎりは確かに美味しい。これもサトシが大人になることへの抵抗を無くすきっかけの1つだと思います。「美味しい」とセリフではなく、湯気と食べ方だけでの描き方もとても粋というか、見事です。
このように、本作は少年の成長過程を見事に描いた傑作で、間違いなくオススメです。
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