「青春の残酷さと切なさ。赤裸々に紡ぐ群像劇。」青の帰り道 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)
青春の残酷さと切なさ。赤裸々に紡ぐ群像劇。
【賛否両論チェック】
賛:若者達が直面する苦悩や葛藤が如実に描かれ、その姿が痛々しくて哀しい。主題歌も見事にマッチしていて、魅力を引き立たせている。
否:DVや自殺未遂等、人によっては観せられたくないような描写も多々ある。
高校卒業を機に上京する者と、地元に残る者。その誰もが夢を追い、将来に希望を持っていたはずなのに、気がつけば夢と現実の違いに思い悩み、疲れ切ってしまう。カナを始めとする7人の若者達が直面する、様々な苦悩と葛藤が赤裸々に描かれ、青春というものの持つ残酷さや切なさが、ひしひしと伝わってきます。
そしてこの作品のもう1つの魅力が、主題歌であり挿入歌としても登場する、amazarashiさんの「たられば」です。自分の半生を振り返り、ないものねだりの想像をしてしまうその歌詞が、人生にもがくカナやタツオ達の姿と巧みに重なって、何ともいえない味わい深さを際立たせているようです。
DVや自殺未遂といった重たい描写も出てくるので、軽い気持ちでは観られませんが、生きていくことの辛さや、それ故の仲間の温かさを感じさせてくれるような、そんな作品かも知れません。
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