劇場公開日 2018年7月28日

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沖縄スパイ戦史のレビュー・感想・評価

全23件中、1~20件目を表示

4.0色々、考えさせられたドキュメント

2024年6月26日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

CSで録画視聴。
沖縄戦のドキュメントは色々見たが、今回の
テーマは知らない事だらけ。
まさか、陸軍中野学校の出身者が絡んでいたとは驚いた。
作品は色々、考えさせられた。改めて戦争の怖さ、恐ろしさを痛感。

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ナベウーロンティー

5.0歴史は繰り返す。自衛隊が特殊な訳では無い。軍隊とはそう言ったものなのだ。

2023年6月20日
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鑑賞方法:VOD
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When I am 75♥️

5.0三上映画の存在意義

2023年6月18日
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本土にいたらわからない沖縄の現状、過去を正しく伝える。もうすぐ真実を語ることのできる方々がこの世からいなくなってしまいます。私たちは今のうちに彼らの言葉をしっかりと受け継ぎ、二度と過ちを繰り返さないよう楔を打たねばなりません。

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快晴

3.5戦争マラリア

2022年7月31日
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本土戦ではまったく同じことが起きたかというとそうとも言えないようにも思う。八重山と本島も同じともいえない。それぞれに同属意識、差別意識が異なる。恒心の保てない状況で浮かび上がる人間社会の狂気がそこにはある。ウクライナ戦争でも見られる本当の意味での国体の崩壊。山下虎雄(偽名)に成り下がる。本土決戦では、別の暗部を浮かび上がらせていたのかも知れない。
最後の方の識者の起用からも政治的主張は明らかであるが、多くの証言、特に弱者であった少年兵や八重山のものを記したのは意義深い。

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Kj

3.5現地の立場を考える

2020年10月21日
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鑑賞方法:VOD

第二次世界大戦末期の沖縄を軸に、あまり本土(分かりやすく沖縄以外を本土と記載します)では知る余地が無い平均年齢16歳の少年兵による「護郷隊」や山下虎雄のマラリア事件、本土の軍人による虐殺事件等を語るドキュメンタリー。

「戦争の話であり、当時と同じ若い人達に観せるべき」と考えている人もいる様だが、何言ってんだかと反論したくなる。そこがテーマじゃなかろうに。
年齢層など関係無い。
皆が対象で特に本土に居る人間が知るべき話であり、今後の世界も考慮出来る話であるのだ。

また、右○だの左○だの考えずに観て頂きたい。
そのままの過去の事件として。

召集令状により稼ぎ手を奪われた女や子供達。
利用される人々。
当時の彼ら彼女らが日本軍に利用されて行く姿は純粋であり、現代にて淡々と語る姿には嘘が無い。

現地が語ら無ければ、実感が出来ない事はあるよね。
最近だと「福島原発のトリチウム水をどうするか?」とか。
「実際に東京電力のエリアである関東から海に流せばいいじゃないか?」等の案。関東圏どれくらいの人が関心ある?
深刻なのだよ。福島の現地から観れば。

同じ様に別件で沖縄は真面目に考えている。
今の沖縄は中国などの脅威などにより、日本の第一防衛線的役割を担わなければならなくなっている。
どうすれば良いのか。
沖縄スパイ戦史の二の舞にならない様にするには?と。

ウチらの土地が遠いからなどの理由にて、ソッポを向いていてはいかんと思った映画だった。

現地の立場を考える。
香港だってそう、クリミアだってそう、カシミア地区もそう、ウイグル自治区だってそう。
過去と今あるべき状況を知らなくては。

勉強になる映画です。

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巫女雷男

5.0知らなすぎることを痛感

2020年9月4日
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鑑賞方法:映画館

沖縄で繰り広げられた戦争、学校で教えてもらったのは歴史での授業。
年表の文字と教科書内のいくつかの活字で。
それだけでこの事実に触れることが終わる日本人は多いであろう。
僕もその一人。

自衛隊は、国はいざとなったら国民を最優先で守ってくれる。
今も震災などあると先頭に立って救助・支援活動をしているじゃないか。
そう思っている日本人は多いであろう。僕もその一人。

認識を変えなければならないことが多く語られる。
知らなかった事実、悲しい事実が語られる。
誰かの主張で語られるわけではない。
歴史を明らかにすることで、その歴史が、過去の事実が語るのだ。

信じがたい事実の連続で心が締め付けられる。

繰り返さないためにどうしたらいいか?
戦争や魔女狩りのような愚かなことをするのも人間なら
過去に学び考え最善を尽くせるのも人間である。
後者でありたい。
そのためには事実を知らなけレバならない。
どうか、この映画がより多くの方に届くことを願う。

本作の終盤、過去を知る方々が口々に同じ言葉を話します。
その言葉はシンプルですが、ずっしりと心に染み込み残り続けます。

必見。

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バリカタ

5.0軍隊は国民を守らない

2020年8月8日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 「鉄血勤皇隊」や「防衛隊」についてはよく知られているが、沖縄本島北部で組織されていた秘匿部隊「護郷隊」については知られていない。陸軍中野学校で鍛えられた将校が中心となり、地元の10代半ばの少年を中心にしたゲリラ部隊、スパイ部隊なのだ。三上、大矢両監督が生存者や遺族の方たちに直接インタビューして、その実態が見えてくる。

 約1000人からなる「護郷隊」は村上中尉、岩波中尉が組織し、迫りくる米軍の情報を入手したり、食糧庫を爆破するなどの任務を負っていた。中には、わざと捕虜になりガソリンに火をつけたり爆破したりする兵士もいたそうだ。現在のアフリカでも少年が銃を持つ光景や、イスラム過激派の自爆テロなんかを想像すればわかりやすい。慰霊碑の前では護郷隊の歌を歌ったりするが、内容は天皇に身を捧げるというものだ・・・

 二つ目のテーマとして、八重山諸島におけるマラリア事件。波照間島に一人の山下虎雄という教師がやってくるが、実は教員を指導する軍人だった。沖縄戦が間近になったとき、住民1400人教が西表島へと強制的に移住させられ、劣悪な環境の中でマラリアに感染。500人ほどが亡くなった話だ。山下というのも偽名。日本刀を隠し持っていた等、まるでミステリーのような実話には身震いしてしまうほど。

 そして三つ目は敗残兵となった兵が住民に協力を要請して「国士隊」を組織させたという話。これは現在においても口をつぐんでいる人が加害者・被害者ともにいることで、全貌まで解明できない難しさがあるが、とにかく戦争協力、住民相互の監視、スパイ容疑の者を射殺・虐殺、日本軍の非道さを思い知らされる内容でした。死んだ人間は全て敵に殺されたという戦死扱い。捕虜になったり、英語を話せたりしただけで友軍に殺されたそうだ。およそ100人。

 日本軍は軍機保護法を根拠に、そうした日本人殺しもできる時代だった。負傷して足枷になる兵だって銃殺され、一般人さえも犠牲になる。軍は国民を守るのではなく、基地を守り、敵を倒すこと、国体護持することが基本。今の自衛隊はどうなのか?という突っ込んだところまで監督は描くのですが、結論付けてはいない。特定秘密保護法が成立してしまったため、そうなる可能性が高いということだけはハッキリしていた。もちろん有事になった際なのだが・・・

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kossy

3.5軍拡への静かなる警鐘

2020年8月8日
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闇黒史の生き証人たちが語るリアルな軍隊像を見て、同じ過ちを繰り返さないよう、1人でも多くの日本人が知るべき内容がこの作品には詰まってます。

人の命がこんなにも軽くていいはずがない。

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ちゆう

5.0護郷隊

2020年8月4日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

先の沖縄戦で日本軍は地元の子供たちを集め、「護郷隊」を千人規模で編成、アメリカ軍と戦わせた。
指揮したのはすべて陸軍中野学校の卒業生で、スパイ教育を行った。
彼らは各島に配属され、村民たちを操った。
アメリカ軍に殺され、日本軍に殺され、沖縄人同士で殺し合うなど、想像を絶する事態となった。
沖縄の人たちの本土に対する思いが切ない。

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いやよセブン

5.0【この作品を長年の取材を経て、世に送り出した三上智恵監督と配給会社東風に心から敬意を表意したい。】

2019年7月27日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

 多くの沖縄戦体験者の方々へのインタビューを交え、当時の沖縄の状況を生々しく描き出した稀有なドキュメンタリー映画。

 ほんの少し前の沖縄の人々の苛烈な体験、幼き少年ゲリラ兵達の姿を観て、涙した。

 陸軍中野学校の若き二人の将校に率いられた齢15歳前後の子供たちが”少年ゲリラ兵”として経験した苛烈過ぎる数々の出来事。目を背けたくなるような、彼らの”姿”

 そして、一人の将校が、戦後が激しい罵声を浴びせられながらも亡くなる直前まで、彼らの墓参を続けた事実も見る側に伝えられる。

 何より恐ろしいのは、当時沖縄八重山列島の多くの人々をマラリアに罹患させる無茶な指示をした人物の電話インタビューである。(人物の固有名詞が出る。)
 彼の人物は明るい声で”仕方なかったのですよ・・”と現在、内地で宣うのである。

 沖縄戦体験者の方の「基地のあるところから戦争はやってくる」という言葉の重さが、現政権の中枢にいる方々に少しでも届く事を強く強く望む。

 現在の為政者は言う・・。
 -沖縄のために、基地は必要です・・。-

<2018年8月13日 毎年夏になると強烈な反戦映画を掛けてくれる、反権力の気風高い都市のミニシアター、京都シネマにて鑑賞>

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NOBU

4.0舞台挨拶で評価アップ

2019年2月9日
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この監督、ちゃんとした方だなと感心しました。
「私が撮った映画で悲しい思いをされる方がいる」
ドキュメンタリーを撮ることの功罪に向き合う真摯な姿を見ました。

これは沖縄の話ではなく、また昔の話ではないということを、わかりやすく説明してくれる映画です。
なのでとても説得力があります。

沖縄のおじいおばあ。
話さないことの方が、心が穏やかでいられるはず。
なのに語ってくれました。
衝撃的な話ばかりです。
「伝えることが生き残った者の義務だから」
ならば、それを引き継ぐのが我々の役目だな。

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ハクタカ

5.0We should know

2018年11月7日
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鑑賞方法:試写会

I had understood why we don't have to have army, since I had watched this movie. It's a Okinawa war movie but it tell me I have to protect the ninth article of the Japanese Construction.
I think you should watch it and think.

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みき

3.0みんな観る機会があるといいですね

2018年9月17日
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鑑賞方法:映画館

まじめなドキュメンタリー映画。沖縄戦の際に実際に行われた「小中高生を兵隊としたスパイ戦」を関係者の証言で描いていく映画。

重くなりがちな題材を、最後まで見られるのは、ナレーションが明るい声で淡々と進むためだと思う。映画には、声も大切だなあと感じる。
これはまじめな映画なので、みなに見る機会があるといいなと思う。
こういうことのよしあしを、後世の人も考えられるように、伝えるべきは事実であり、意見や感想ではないと思う。そして事実を伝えるために、映画というのはいい手段だなと思う。意見がなければ映画は作れないので、もちろん映画には意見が入ってくるわけだが、事実の部分と、意見や感想の部分を分けてみること、意見や感想については必ずしも映画に従うのではなく、自分で考えることが必要なんだな。

この映画は2時間だが、1時間ずつの2本、護郷隊とマラリア疎開+相互監視の2本にしたら、中高生なども見やすくなるように思う。事実は、こうやって伝わるべきだし、残るべきだと思う。

さて、「戦争になった際に、軍は、国体護持を優先して民を守らなかったというよりも国民を利用した」という事実は、しっかり記憶にとどめておくべきだということだ。
いっぽう、「だから自衛隊も(軍隊だから)だめだ」というこの映画の意見には私は違和感をもつ。私としては、「国民を守るのが自衛隊であり、国体護持>国民 だった旧日本軍とは違うのではないかと思いたい。
また、「基地を作ったらそこが攻められる場所になるんだ」という意見に対しては、「そうだな」と同感だ。基地の場所に住む人は、そのリスクを知って住むべきだし、住んでいた場所に突然基地が来るというのはよくないことだと思う。一方、基地は必要なものだと考えるので、このことについてはよく考えないといけないんだな、とあらためて考えた。
今日のところはここまでしか考えられませんでした。

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CB

4.5戦争に向きあう

2018年8月30日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

自らの、又は国の、郷土の英雄物語として向きあうのか。
自分も人も人間の尊厳を壊された暴力として向きあうのか?
その暴力の根源はどこからきたのか?
戦争は何を守り、何を守らなかったのか?

軍隊は暴力を使える。恐れからはじまる暴力で何が守れるのだろう?

隣人同士が敵味方になるような地獄を垣間見た気分だった。映画に出て語っている人たちが70年かかってこの地獄を乗り越えて、または包み込んで生きてきた道のりの尊さを思った。

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Momoko

4.0過去ではない今のわたしやあなたが映し出されてる映画でもある

2018年8月18日
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鑑賞方法:映画館

この映画「沖縄スパイ戦史」は、観たいというより観ておかなければなというプラマイゼロの気持ちで劇場へ向かった。
初日に満員御礼で入場すらできなかったシネマテークへいざ。

戦後70年以上経ってようやく明かされる、それくらい忘れ去り思い出したくもない忌まわしい過去。
いや、当時から極秘だった部分は遺族や住民ですら知らない闇の過去があり、生存者の中で関わった者が亡くなってようやく話せるようになったというぎりぎりのタイミングが今なのだろう。
それを追った二人の女性監督の鋭い眼差しというか、陸軍中野学校と沖縄戦をテーマに生きることへの本質に迫ったドキュメンタリー映画なのだ。

沖縄は上陸戦で激戦の中、本土は空襲と原爆で焦土となり敗戦。
それでも激戦地だった沖縄南部は牛島中将の自決するまで戦い、それが表の戦争として知られるようになった。
しかし、沖縄北部では裏の沖縄戦として知られることなくそれ以後もゲリラ戦がくり広げられていたのだ。
それが地元住民の少年を利用した戦いだったという、かなりショッキングな事実。
陸軍中野学校出身の若い青年将校が、さらに若いまだじゅうごろくの地元の少年を極秘で訓練して組織した護郷隊と呼ばれる秘密戦(ゲリラ戦スパイ戦)の特務機関があったことが、ようやくこの映画で知らされることになった。
未だに戦争はまだ終わってないことがよくわかる。
日本兵が沖縄住民を殺した話はきいたことがあるが、同じ住民同士が疑心暗鬼となり、密告して殺し合ったような話は知らなかった。

だから、この映画で伝えたかったひとつに、無かった歴史として一人虚しく死んだり殺されたり生き残ってもがき苦しんだ無名の魂たちのことを、こうして映画に記録し、たくさんのひとに観てもらうことが弔いにもなるし、報われる魂があるのではないかと思った。
そしてもうひとつには、それが遠い沖縄の遠い過去の他人事ではなく、その体質がまったく変わらず今につづいている日本の現状として、自分たちの問題でもあることを強く認識させる映画だった。

これを回避するには戦争しない努力をするしかない。
敵国が攻めてくるという恐怖心が、基地を築いて戦力を増強するのであれば、そこが真っ先に狙われる。
辺野古や高江しかり。
住民を守るための基地ではないのだから、真っ先に犠牲となるだけだ。
しかし、八重山や宮古島の自衛隊配備も進んでいる。
沖縄でかつて起きた戦史とまるで同じことがくり返されている。
戦争がはじまればどうなるか、最初は勇ましい日本兵に憧れ喜んで受け入れた住民たちがどのように裏切られ、無惨に変わり果てていったか実によくわかる。
すべては恐怖心からだ。
戦争は敵国への恐怖心で、最初は自衛が目的としてはじまる。
戦局が悪化すると仲間同士を疑いはじめ、疑心暗鬼となって敵味方関係なく殺し合う生き地獄。

過酷な戦争体験者が口を開いた今、その悲痛の叫びに耳を傾け、二度と戦争をしてはいけない、今の日本は危ないといってるその声を、ぬちどぅたからの真の意味を噛みしめたい。

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fuhgetsu

4.5《人間の本質》

2018年8月17日
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☆人類の歴史と.ともにある戦争
沖縄戦も今ある戦争も同じ線上にある。

☆人類は戦争をマニュアル化してきた
恐怖で思考停止にし.あやつり対立させることにより.口封じもする。

これは旧日本軍だけがやった戦争マニュアルではない。
現在も紛争地域で政治で行われている。

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うーほー

4.5気軽には見られない内容ですが、インタビューを中心に、わかりやすく構...

2018年8月15日
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気軽には見られない内容ですが、インタビューを中心に、わかりやすく構成されています。過去の悲劇から、日本の将来を暗示しています。余裕こいて行ったら、まさかの満員で、ギリギリ入れた。

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アマチュア

4.5ますます募る危機感

2018年8月14日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

難しい

 三上智恵監督の作品は、3年前の2015年に「戦場ぬ止み」(いくさばぬとぅどぅみ)を観て以来である。前年の2014年に特定秘密保護法が施行されて、反体制の言論人は危機感を強めていたときである。よくこんな映画が公開できたものだと感心したことを憶えている。特定秘密保護法は、国連や海外メディアをはじめ、世界中から日本の言論と報道の自由についての懸念が表明された。
 ちょうどその頃、山尾志桜里が国会で精神的自由が経済的自由に優先する理由をアベシンゾウに説明を求めたが、総理大臣は憲法の基本概念であるこんな質問にも答えられなかった。「急に聞かれてもわかりませんよ」とニヤついていた顔を、腹立たしく思い出す。
 2017年には組織犯罪処罰法が成立、施行されて、権力による言論弾圧がますますやりやすくなった。山城博治さんが逮捕されたのはその少し前である。

 さて今回の映画は、護郷隊の物語を中心に、かつての日本軍が何をしたのか、そして現代の日本軍が何をしようとしているのかを具体的な証言によって炙り出した作品である。タイトルの中の「スパイ」は多義的に使われていて、陸軍中野学校で訓練された文字通りのスパイ軍人と、軍によって密告や相互の処刑が強要された、民衆の中のスパイがある。また、そうした状況下での「スパイ」という言葉が民衆に与える不安と恐怖は名状しがたい。民衆は善悪の判断よりも自分が生き残ることで精一杯であった。

 理解しがたいことだが、世の中には国家と自分をダブらせて、国家のアイデンディティと同化してしまう人がいる。国とはこういうものでなければならず、国民は国のために尽くさねばならぬ、そして国の発展に寄与し、諸外国と対等以上の優位な関係を築き、国家としての確固たる威信を構築する、それが即ち国体というものであるみたいな、イカれているとしか思えない思想の持ち主がいる。
 そういう人たちにとって国民主権と平和主義、基本的人権を謳う日本国憲法は邪魔で仕方がない。日本は軍備を増強して世界に伍していくのだと、戦後73年たっても本気で信じている人たちなのだ。
 思えば大正デモクラシーからしばらくは、日本は平和であった。軍隊はあるにはあるが、今の自衛隊みたいなもので、庶民には縁遠いものであった。選挙もあったがご近所の先生に投票しておけばよかった。その後近所の先生がいつの間にか帝国主義者の仲間入りをしているとも気づかないうちに。

 平成最後の夏も、かつての戦争前夜のように平和である。日本がこれから戦争をする国になると思っている人は少ないだろう。ただ、危惧している人はたくさんいる。そういう人は、ご近所の先生に投票することがどんな結果を招くかを説く。しかし民衆は誰も聞く耳を持たない。
 ドストエフスキーは「悪霊」の中で「人々はパンのために喜んで自由を投げ出す。人生は不安であり、恐怖である。いま人が生を愛するのは不安と恐怖を愛するからである」と喝破した。その真実はキリストの昔から今まで、ちっとも変わっていない。日本はもちろん、人類は今後も破滅に向かって一直線に突き進み、絶滅の道をたどるだろう。
 霊長目ヒト科ヒト属ヒトに代わる種が、次の地球を生きるのだろう。それは決して悪いことではないが、人類にとっては悲観すべき未来である。

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耶馬英彦

5.0スパイの本質と信頼

2018年8月14日
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「疑心暗鬼」。
これは全てを不幸にしますね。
相互に監視させて、
相互に不審を生じさせて、
みんなスパイに見えるようにする。

「信頼」というものが
大切なものだと改めて思い直した。

会社にもまた、軍のような論理がある。
みんな嫌々でも、イジメに参加したり、
人をやめるように追いやったり、
陰口を叩いたり、批判したり。

一般論として。
生産的な批判なら良いと思うけど、
大抵は、“まとも”な批判は寧ろ煙たがられ。
社内政治的な目的、誰かの出世のための、
ハメるための批判の方が重宝がられる?

そんなバイアスのなかで、
思い出したくない記憶、
そんな過去に手を染めてしまう。
空気。
忖度。
恐れ、妄想。

どれもこれも、不幸しか生まない。

何を守るのか?何のために?
国体、軍隊、勝利?今なら、会社のため?
住民のためでなく、国民のためでなく。
その論理も無視できない。

そしてそれは、走り出したら止まらない、
暴走列車なようなものか?

全体主義?
「全体」は「部分の集合」であるはずなのに。
「部分の幸せ」の積み上げになっていない。

「不幸な部分」の総和の先に何がある?
何のための「全体」?
「使い捨て」の「部分」の先に、
理想の「全体」なんてものはある?

いや、「全体」はフィクションで、
ホントは「権力者」のため?

本来なら、権力は、個々の者が持つものを
誰かに委譲し(投票のように)
結果として、権力者がそれを授かり、
正しく運用することで、全体が幸せになる。
そんなシナリオじゃなかったか?
(会社なら、株式に似てる?)

なかには善意に基づいた罪づくりも。
隊長らの戦後の苦しみがそれを物語ってる。

でも、“現に誰も幸せになってない”
そんな実態に気づいたなら、
軌道修正が必要だ。

僕も、今日から。
思えばバカばっかやり過ぎたなぁ。(独り言)

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bomb1978

4.0太平洋戦争末期の沖縄では米軍の侵攻により多くの人が亡くなったが、こ...

2018年8月4日
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鑑賞方法:映画館

太平洋戦争末期の沖縄では米軍の侵攻により多くの人が亡くなったが、この映画は日本軍による虐殺の事実を明らかにする。護郷隊、戦争マラリア、スパイ狩り。地元民を利用し尽くして後は軍部の論理で殺される人々の理不尽。軍は国民を守らない。守るのは国体のみ。軍の本質に迫って現代も同じと告発するとても怖いドキュメンタリーだが、決して忘れてはならない、視るべき作品だ。

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hisashin