天国でまた会おうのレビュー・感想・評価
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【新感覚】戦争映画×アイロニー
戦争映画のイメージを覆す、豪華絢爛な世界観。
富と名声を身にまとった権力者を狙う主人公の詐欺計画、というメインライン。
戦没者の上に立ち、戦争で稼ぐ“戦争成金”への風刺が作品全体で効いてる。
戦争成金へのアイロニーは、現代的なアプローチとして確立されるかも。
悲しい話だったな。
オープニングから悲しいスタートで。自分ではどうにもならない運命があるんだなー、と。仮面みてるとちょっとしたファンタジー感があったけど結構ダークでした。
ラストは少しひかりがさしたみたいで良かっかな。
ピエール・ルメートルの原作中ではだいぶ大人しい作品。 上手く映像化...
ピエール・ルメートルの原作中ではだいぶ大人しい作品。
上手く映像化してると思いますが、原作同様あまり面白くはないかな。
カミーユ警部三部作の映画化が観たいです。
仮面の力
父親が本音をはばからずに語れたのは、きっと仮面の力があったから。
発作を起こしていつ亡くなるかもわからない身で、死ぬ前に謝れたことは救いであっただろう。
最後にああやって抱きしめ合えたことが、この映画でいちばん感動したシーン。
主人公はもう喋ることはできないけれども、きっとこう言っていた。
「お父さん、ごめんなさい。そして、ありがとう。」
これも仮面があったお陰で、素直になれたのだと思う。
息子として、最後の親孝行ができました。
何も期待せずに見に行った映画だったのに、ものすごく厚みのある素晴らしい物語に出会えました。
よく、事実を映画化したものを好んで見に行っていたのですが、こういう映画もこれから見に行ってみようと思わせてくれる作品でした。
風刺に満ちた極上の仮面劇
原作未読の為、映画を見ての感想のみ。
従来神話やファンタジーが大好きで、比喩、隠喩、象徴、予定調和的構造は大好物。好みにどストライクだった。
風刺や皮肉に満ち溢れ、アルベールの回想という劇中劇の形で語られる物語は、寓話的戯曲的風合いだ。
顔半分を抉られたマスクの男、アーティスティックな数々の仮面、孤児の少女。どこか退廃的で芝居がかったファクターが、不安を煽り心をざわつかせる。
誇張されたキャラクター達が、時に滑稽に繰り広げる詐欺物語の裏には、深く苛烈な戦争への怒りと悲しみが、一貫して流れている。奇怪な仮面の向こうから覗くエドゥアールの眼差しが、痛烈に私達を糾弾し続ける。
銃を突き付けるアルベールに、「銃を下ろせ、戦争は終わったんだ」と言うプラデル中尉の台詞。違う、何も終わってなんかいないんだよ!
次々と切り替わる仮面が、言葉にできないエドゥアールの心情を表し、露になる目だけで、悲しみ、怒り、怨み、愛、千差万別な感情を表現する演技も素晴らしい。
プラデル中尉の、徹底したゲスっぷりも凄い。戦争、不正、不条理な社会への怒りが一層駆り立てられ、因果応報的末路の納得感が増す。
かつてのアルベールをなぞるように、土砂に埋もれていくプラデル。
鳥の面を被ったエドゥアールは、鳥のように両手を広げて宙に舞う。
劇中劇の幕は引かれ、映画冒頭に何気なく示されたパズルのピースが嵌まるように、アルベールの物語も一つの区切りを迎える。
全てが収まる所に収まった終演に、ため息を吐いて感嘆した。
エドゥアールの家族との関係や、プラデルの戦後の立場など、原作未読の私には駆け足で少し解り辛い所もあった。
フランス語が解れば、デッサンの書き文字など、もっと面白い要素があったかもなぁという部分も。
しかし大方大満足。
こういう出会いがあるから、ミニシアター系は侮れない!
邦題が、好きです。
なんといっても主要人物の役者が皆さんセクシーで大変よろしい。 老若の男女を問わず、悪い人もね。 みんな目が美しい。 あと邦題いいですよね、邦題好きです。
失われたことを理解しつつ それでもなおもう一度逢いたいと思う人が誰にでもいるのではないでしょうか。
なにも死別じゃなくとも 別れにはいろんな形があるものです
その人への感情は 時間が経つにつれ変わっていくかもしれません -- 悲しかったり 悔しかったり、歯がゆかったり、謝罪したり 納得したり… また寂しかったりと
彼らの日々はふたりのためではなく すべては一方のためにあります 友から決して思いをかけられることなく 翻弄されてるとさえみえます。 恩があるゆえの献身と片付けるにはあまりに切ない
歪んだ関係のまま、ふたりはそれぞれに終焉にむかって進んでいきます。
ローラーコースターのような激動が過ぎ エンドロールの後で、残された人物の感情は 時間とともに少しばかり変化もみせながら、まさにこのタイトルどおり ゆっくり優しく押し寄せてくるものなのでしょうか
個人的に、例外的に、少女だけ可愛いとは思わなかったです、造作の良し悪しではなく・いやごめんなさい。 あの子なしで、おっさんふたりで筆談しとけや・とずっと思ってました。。 アレが仏版の純真無垢ってやつですかね。
身体の一部を失うと人は何かで埋めようとする。
親子の愛や友との友愛は何かを失った時にその価値が理解できるものなのだ。
奪う者には決してわからない。
この映画の素晴らしのはそんなことでもない。
丹念に映像を積み上げていく中で音楽を重ねていったことだ。物語はいままで腐るほどに語られてきたことだからね。
馬
原作未読
1918年、第一次大戦から帰還した二人の兵士の詐欺と元上官の成り上がりの話。
停戦間際、疑惑の偵察指示を出す上官の行動が切っ掛けで戦闘が勃発。
死にかけた主人公とそれを助けて被弾し助け返され死んだことになった男が記念碑作製ビジネスで詐欺を企てる。
参戦前からその時に繋がるそれぞれの仕事や家族の因縁をみせていく展開でつまらなくはないのだけれどちょっと透かした感じが自分には合わず。
陰鬱なのか、哀しいのか、痛快なのか…上っ面をなぞっているだけに感じてしまった。
フランス映画ならではの素敵な作品
切なくも、優しさやウィットに富んだ作品だ。
戦争や戦後の混乱の中で語られるちょっとしたサスペンス仕立てのストーリーで、絶望や友情、怒りやユーモア、家族を含めた人々の愛情が所狭しと描かれる。
アルベールの視点で語られるが、特定の人物だけに観る側の心情が偏らず、それぞれの心の動きを観察しながら、映画全体を通して、戦争の悲しさや、人の優しさが映し出される。
映画を観終わっ後、父親の後悔と愛情や、エドゥアールはなぜ?とか、アルベールに幸せを祈る気持ちとか、余韻も楽しめる素敵な作品だと思う。
【美しくも恐ろしい仮面の奥に秘められた想い】
第一次世界大戦中、上官の卑劣な行為により死にかけた男と助けようとして深い傷を負った若き男の戦犯側に対するエスプリを効かせた復讐譚。
若き男が被る様々な仮面の凄まじい美しさ(と恐ろしさ)。そして、その瞳の哀し気な輝きに魅入られる。
劇中出てくる「戦争を始めた罪、戦争を止めなかった罪、戦争を愛した罪、戦争を利用した罪」という言葉の重さ。
どこか、ジャン=ピエール・ジュネを想起させる美術、画が印象的な強烈なフランス発反戦映画である。
これぞフランスの悲劇。
ずっと観たかった映画の一つ。
ようやく観れて大満足です。
この映画は、フランスの第一次大戦で負傷した兵士の物語。
戦争で生き残った彼が、戦後どんな人生を歩むのか?
家族への嫌悪、友達への熱い友情などなど、見所満載!
でもでもやっぱり、この映画はラストがかなり印象的でした。
彼の衝撃の行動は、小説を読んだ時からも驚いていましたが、映像化してもやっぱりびっくりでした!
でも、彼はなぜ…?
原作でも謎だった部分だけに、その謎が解消されるのではないかと期待していたのですが…。
やはり、その謎は解消されることなく。
私の頭はモヤモヤした気持ちでいっぱい。
しばらくあのラストに頭を悩まれることになりそう。
まあ、謎の部分は仕方ないとしてこの映画の構成や映像はとにかく美しかった!
まず、血みどろの戦いに苦しむ青年たちの苦悩とと相対して、主人公のエドゥアールが作り出す芸術品との対比が美しい!
彼が作り出す仮面の色鮮やかさに、魅了されまくりでした。
やはり、いくら美しい仮面といえど、文章だけではその美しさは伝わらないもの…。
映像化してこそ、その美しさがより際立って映りました。
また、まるで絵本を見ているかのような可愛らしい雰囲気と相反して、ドロドロとした血みどろの不気味な世界。
その真逆な世界観が、ミスマッチしているのが面白かったです。
原作者のピエールルメートルさんは大好きなミステリー作家の1人。
彼の描くミステリーがここまで、面白く映像化されているとは思いませんでした。
『この女アレックス』と同様に、緻密に計算されたクオリティの高い構成。
一人一人のキャラが立っているから、より物語を面白おかしく見ることができました。
原作と違う部分が多々ありますが、やはりそこは映像化するに当たり、盛り上がるような展開にしたのだと思っています。
ただ、あのラストの展開が、もう少し理解できればよかった…。
やはりここは想像力を豊かにするしかないのでしょうか?
答えの見えない最後も時には面白いかもしれませんが…。
誰か解説してほしいです。
海外ミステリーが大好きな人、絵本ぽい世界観が好きな人、フランス映画の皮肉な笑いが好きな人にオススメ(笑)
ミステリーを楽しみつつ、人間同士の卑屈な世界を堪能してみてください。
名もなき被害者たちの悲しさが胸に迫る
第一次世界大戦の終了間際に、顔に重傷を負ってしまった青年が、戦後、パリで企てた前代未聞の詐欺についての物語
主人公の青年エドゥアールは、戦争で顔に重傷を負ってしまったため、そのほとんどが仮面を被った姿で登場する
そんなエドゥアールは、戦争で命を落とした「名前のない犠牲者たち」を象徴している
そこでエドゥアールは「戦没者を慰霊すること」を装った詐欺をするのだが、その行為そのものが、犠牲者たちの思いを代弁している
日頃、戦争にも、犠牲者にも無関心なくせに「犠牲者を悼むため」というと、溢れるほどに金が集まるのだが、それは、金持ちの偽善と見栄でしかない
そして、本来なら、戦争を計画した者や、ゴーサインを出した者が罰せられるべきなのに、彼らはケガをするどころか、誰よりも贅沢な暮らしをして生きている
この映画は、そんな戦争の欺瞞や理不尽への皮肉であふれている
戦争で体の一部を失われた人間が苦しい生活を強いられ、逆に酷いことをした人間が贅沢な暮らしをしているのはなぜなのか
そして、この映画の素晴らしいところは、そんな眉間にしわを寄せたくなるような話を、とても美しく華麗に、観客に苦痛を与えず、寓話的に描いているところにある
表面的な美しさの裏側には、苦しみが内包され、悪事を行なった人間には、やがて天罰がくだる
戦争とは、人を殺す以外に何の目的があるのか
美しい映像と共に、その理不尽さについて、考えさせられた作品だった
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