2重螺旋の恋人のレビュー・感想・評価
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オゾンの緊張感あるエロス+クローネンバーグ風味
真逆な性格の一卵性双生児の医者に一人の女性、という設定がまずクローネンバーグの「戦慄の絆」を思わせるが、内臓をモチーフにしたようなグロテスクなオブジェや、悪夢のようなエロティックシーンなど、話が進むほどにクローネンバーグ風味を増していくことに驚かされた。
ただし、オゾン監督らしい女性の実存に迫るかのような硬質で即物的なセックス描写、謎をあえて残すスタイリッシュなサスペンスの演出は健在。オゾンのスタイルにクローネンバーグのテイストが予想外の化学反応を見せる。
現実と夢と幻覚の境界をあいまいにする編集手法は、格別に珍しいものではないが、このテーマには見事にハマった。
原題「L'amant double」、英題「Double Lover」に対し、邦題は雰囲気があり工夫したなとは思う(作中に印象的な2重螺旋の階段のショットもある)が、DNAを容易に想起させる点でややミスリードか。
真夏の夜の怪談。 他人のスマホ(引き出し)を覗いてはいけません。
フランソワ・オゾン。
つまらない映画も作ります。
毎年一作品、発表をし続ける多作作家としては、「次作のアイデア」を常にハンティングしていて、いつも世間の見落としていた隙間世界を、彼は拾おうとしているのだと思う。
本作、ちまたの双子たちのブーイングと強い拒絶を受けるだろうし、ここまで失礼な脚本を書けるところを見れば、オゾン自身はどうせ双子ではないだろうことが良く判るな。
けれど、もう存在しない誰かの霊魂とか、肉腫として胎内に残った誰かの意識とか、
それらが、いま生きている僕たちの生に 何らかの引力を及ぼしていることは、もしかしたら、それは有ることなのかも知れない。
怪談がお好きならどうぞ。
はらわた、エコーMRI、鉗子、ディルド、血液。
フランス映画よりもアメリカ・ハリウッド映画の方がしっくり来る方にオススメしますよ。
美術館の展示室も、無機質てスタイリッシュな白黒世界から、肉塊の回転造作物へと展示替えしてましたから。
人間の精神の2面性までもう少し迫真するかと思ったのですが、ポールとルイと、ちゃんと二人いた双子の「単なる兄弟喧嘩」の確執。+こじらせ女子との絡みで終わったわけで。
ちと残念。
Wikipediaによれば
R18+
「本作は、独特で過激なヨーロッパのくせを交えながら、古典的なエロティック映画のファンを興奮させる変態的な快楽を提供している」
との批評家のコメントがアップされていて、
しばし笑ってしまいました。
やっぱりオゾンは最高、裏切らない
オゾンは現実と虚構と妄想を混ぜて翻弄してくるってわかってたから翻弄されないように観てたのに、見事に翻弄されてしまった!わかってても翻弄されちゃう。
オゾン映画のいいところは、ありがちな「観客を騙してやるぞ!」的なビックリ展開ではなく、ストーリーの捻りと演出の妙で自然に翻弄してくるかんじ、これが最高。
猫が要所要所でメタファーとして上手く使われていたのもよかった。最後のブローチとかね。美術館の展示品の使い方も上手い!邦題の二重螺旋はDNAのことなんやろうな。
そしてオゾン映画は基本エロチックやけど、今回その真骨頂というかんじやった。でも興奮するエロさではなく、痛々しいかんじのエロさ。これはマリーヌヴァクトの得意なやつね。
初見と2回目以降で見方が全く変わりそうなので、忘れた頃にまた観たい。
オゾン流双子の調理法
あれ?クロエのお母さんの襟元に付けてるブローチって、ルイがプレゼン...
【フランソワ・オゾン監督とマリーヌ・ヴァクトが紡ぎだす、秀逸なエロティックミステリー】
印象的なフライヤーを手に取った瞬間、即鑑賞を決めた作品。
双子だが、全く性格の違う精神分析医ポールとルイ(善性溢れる人物と邪悪な人物:ジェレミー・レニエ)という設定と徐々に邪悪な人物に引き付けられるクロエ(マリーヌ・ヴァクト)の関係性が非常に面白い。
クロエの現実と妄想が入り乱れる世界も最後まで引き付けられる。
クロエが働く美術館の現代美術の展示物が徐々に邪悪なものに変わっていくシーンなど、少し「ノクターナル・アニマルズ」を想起してしまい、フランソワ・オゾン監督と、トム・フォード監督の描く世界観が似ているなあと感じた作品。(ちょっと古いが、「ナイン・ハーフ」の非現実的世界観にも通じるものがある)
クロエの性格形成の背景もチラリと描かれるが、見る側に様々な解釈を委ねる作品でもある。
<2018年8月11日 劇場にて鑑賞>
奇才感
エグい
二重螺旋でもトグロ巻でも一緒だろ、これ
最近のオゾンなんかムラがありすぎる。
面白いのだが残るものが少なかった
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