劇場公開日 2019年7月20日

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「傑作」存在のない子供たち Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0傑作

2023年9月26日
iPhoneアプリから投稿

ゼインの生活を知ってしまった以上、誰もがもうこの映画を観る前の自分に戻ることはできないだろう。

「愛」なんて入る余地がない過酷な状況の中、彼は小さき者を愛し守った。ゼインの愛と機知と勇気こそが、我々人類の光(神)だ。

カラマーゾフの兄弟のイワンの、矛盾を突いた名言を思い出す。“幼い受難者のいわれなき血を必要としている神など、絶対に容認するわけにはいかない”
“永遠の調和のためにこの幼児たちの苦しみが必要だというのなら、自分はそんなに高価な犠牲を払ってまでして入場しなければならない社会の入場券など突っ返したい”

虐待するだけで心のない両親へのきっぱりとした訴えは、そのまま、矛盾が爆発しながら放置する人類全体への訴えとして私は聞いていた。

Raspberry