「12歳のゼインが、カッコいい」存在のない子供たち jackalさんの映画レビュー(感想・評価)
12歳のゼインが、カッコいい
「僕を生んだ罪!」。
12歳の原告ゼインは法廷で訴える。
ベイルートの貧民街で、妹を、親がわずかなお金で売り渡してしまい、妹は弄ばれた挙句病死する。ゼインは激怒しその男のところに行き、ナイフで刺してしまう。
この世に生を受け、社会人へ最初の一歩を導くはずの親が軽蔑と憎悪の対象なのだ。
ゼインは家を飛び出し街をさまよう。バスに乗る。大人に言葉をかける。頼みごとをする。身構え、はったりやウソもつきながらさまざまな大人に出遭い、いろいろ経験する。
それらの大人たちに悪意や狡猾さだけ感じるのではなく、ゼインの目には大人たちの哀しさややさしさも映る。
場面がすすんでいくうちに、私はゼインが本当の生きる力をもったカッコイイ「大人」になっていく姿に感動していた。
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