「とても辛かった」存在のない子供たち ツネミさんの映画レビュー(感想・評価)
とても辛かった
・出生証明書のないゼイン達、11歳で結婚させられる妹、偽造証明書で暮らすエチオピア移民のシングルマザー、酒浸りで無計画に子供を作っては仕事をしない両親など…誰も余裕がなく苦しい映画だった。
・唯一金を稼ぐ方法が処方箋で買えるけど興奮剤とかなのか、それを砕いて混ぜたジュースを販売するという…とにかく救いのない事ばかり。
・そんな中で救いを感じたのは水道もままならなそうな町で身体を洗いたいとゼインが作業着の大人にホースで水をかけてもらったシーンと市場で瓶のコーラを開けられない?とゼインが町で働いている少女にお願いしたらわかったわと開けてくれたこと。両親もゼインに酷い言葉と暴力ばかりでしんどい中で、そういったシーンはしみてくる。当たり前に思っていたけど、誰かが誰かを助けるシーンは観ていて嬉しくなるんだと初めて感じた。
・弱者が弱者をいたぶる世の中っていうのが現実なのだと痛感して切なくなった。
・ゼインがサハルとヨナスを大人から守ろうとしている姿がとても良かった。
・アスプロが外国へ逃がしてやると金を貰って倉庫に監禁していたけど、なぜ赤ん坊だけ金を払って監禁していたのかが疑問だった。後から何かしようとしていたという事か?
・ラストにゼインが母親から子供ができたという報告に、心がないのかと言っていた。自分もそのようなことを思った。母親がえ?みたいな顔をしていたのが凄く嫌な気持ちになった。こういった事が現実にあまた起きているのかと思うと辛かった。
・裁判で両親が自分たちもっと違う生活をしていたらと言い、今の生活をしているのは被害者だといった事を言っていた。じゃあその中での子供たちは?って思えてならなかった。血のつながりといいつつ物のように扱っているのが辛かった。
・ラストにゼインが証明書の写真だよと撮影している人にいわれニコッとした。それもとても切なかった。
・当たり前としていた事すべてがとてもありがたく感じさせられる映画だった。