劇場公開日 2019年7月20日

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「愛もなしに、なぜ産んだ」存在のない子供たち regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0愛もなしに、なぜ産んだ

2020年4月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

怖い

降りかかる過酷な状況にひたすら抗う少年ゼインの逞しさ。
本当の難民少年を主役に抜擢したとあって、試写室の席でふんぞり返って本作を観ている自分が恥ずかしくなるぐらい、バイタリティ溢れる彼の演技(と言っていいのか分からないが)に圧倒される。
ついでに言えば、中盤に登場する赤ん坊ヨナス君も名演技(まぁ演技してないと思うが)。

難民が貧困によって人身売買や強制結婚を強いられる問題は今もなお続く。
強制結婚を扱ったドキュメンタリー映画に『ソニータ』があるが、本作はフィクションではあるものの、ゼインの妹サヘルに待ち受ける悲惨な実態をも浮き彫りにする。
「愛もなしに、なぜ造った」は、ケネス・ブラナー版『フランケンシュタイン』のキャッチコピーだが、本作終盤でゼインが法廷で発する言葉がまさにそれ。

安全に生きられる場が刑務所の中という皮肉。
そして辛い辛いことばかり起こった末に待つ、ラストが救い。

regency