「イエス・キリストに滅びを預言された街」存在のない子供たち bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
イエス・キリストに滅びを預言された街
原題はギリシャ語の Capernaum。イエス・キリストの宣教活動で、最も重要な街であったにも関わらず、人々が悔い改める事は無かった街の名前。ゆえにキリストから「ハデスに落とされる」との預言を受けた街の名前が、この映画の原題です。「ハデス」とは「死者が行く場所」。
悔い改めよ。まずは、その負け犬根性を捨てよ。
だと思うんですよね、主題は。「子供の養育問題と貧困問題」はキャッチーなので、今の日本では。だからこの邦題なんでしょうけど。名作の意図を、完全に踏み外していると思う。
昨年のダントツの傑作(俺的には)「判決-二つの希望」の原題は「侮辱」でした。そもそも、建国の在り方に始まり、レバノンの抱える問題の全ては諸外国からもたらされており、「その侮辱的な状況に甘んじて国内でいがみ合っている」のが今のレバノン。皆が手を取り合う必要は無いが、各々が、それを乗り越えて行かねばならない。
これが「判決」の主題だったけど、日本では全くと言っていいほど伝わっていない。それを考えると「存在の無い子供達」はマシな方だと思いつつ。でもね、存在が無いのは子供達だけじゃなくて、その親達からしてなんだけど。
まずは「悔い改めて滅びの運命を自らの手で変えよ」。で「乗り越えよ」。この映画と「判決」は繋がってるよなぁ、って思いました。レバノンからの傑作、まだまだ出て来ると思います。
希望のあるラストカットだけで涙腺決壊したけど、判決ほどじゃ無かったのは、救いの範囲が狭すぎるからかなぁ。今も、宗教的に幼女婚を許容している国が幾つあるのかと考えると、本当に胸が痛い。
bloodさん、濃厚でした。圧倒されました。泣きました。
ハデスという単語が脳裏に残りながらの鑑賞となりましたが、イスラム教の方が多くて、すっかり忘れてしまいました。
歴史的にも紛争の多い地域ですから、やっぱりキリスト教からすれば運命的なものがあったのかもしれませんね・・・
kossyさんへ
その通りです!ギリシャ神話の冥界の神の名前が語源。映画は、この「滅びの街」と言う原題を頭に入れて観ると、映像表現や人物描写に合点が行くと思います。俺、鑑賞前に予習しましたw