「子どもを作るな」存在のない子供たち Miyuさんの映画レビュー(感想・評価)
子どもを作るな
息が詰まりました。どこからどう見ても地獄、登場人物全員が地獄のような境遇に立たされていて、この状況を呑気にメロンソーダを飲みながら見ていることがもうしんどくて、全然息ができませんでした。
戸籍がないことから始まって、親からの愛情がない、住む家がない、食べ物がない、飲み水がない、頼れる大人がいない、安全な場所がない、あるのは絶望だけ?こんなことが同じ地球上で起きていると思うと、自分がちっぽけなことで悩んでぼーっと生きていることがもはや恥ずかしくて、見ていて辛かった。
正直私はこの映画で誰が悪い、とか分からなくて、子どもを作ることが正しいと信じて劣悪な環境でも子どもを作り続けるゼインの両親、ただただ息子を守りたかったラヒル、大人たちはみんな自分勝手で子供達を傷つけるけど、こんな最低な国で(劇中のセリフにありました)ただ生きるのに必死だったのだと思うと誰も責める気になれない。アスプロは流石にサイテーだけど。
ゼイン演じる子役の、眼がとても印象的。子供とは思えない、何もかもに絶望してしまった表情。自分勝手な大人、環境に呑まれても自分自身だけでなく大切な妹や弟のことを守ろうとする姿に思わず涙も出ました。給水タンクをあけて放った「最低な国だな。水もないのかよ。」というセリフが印象的。
今ここ日本で穏やかに映画を見て美味しいご飯を食べて仲間と過ごし暖かいベッドで眠れていること、こんな当たり前の日常に感謝しようと思えました。
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