「この世でもっともピュアな怒り」存在のない子供たち Jiroさんの映画レビュー(感想・評価)
この世でもっともピュアな怒り
STORY
レバノンを舞台に、隣国との内戦による影響による治安や経済状況、貧困などのあおりを食らう一家。
子供はたくさんいるが誕生日も分からず、出生届もないため戸籍上存在していない。
当然学校にもいったことはなく、主人公ゼインは推定12歳にして家族のために一日中身を粉にして働く。
そして平然と行われる人身売買。
11歳の妹を大家へ嫁に出されることに反発して家をでることになるゼイン。
家を失ったゼインは、乳幼児を連れた不法移民のラヒルと出会い、シッターとして赤ん坊のヨナスの面倒をみることに。
兄弟同然の仲となるゼインとヨナスだが、今度はラヒルが拿捕されてしまい、子供二人きりで生きていなければならないことに。
・・・
作中、ゼインを取り巻く現実は常に残酷で強力。
・親は子供を労働力としてしか見ていない
・IDがないため正規の労働やほか諸々ができない
・お金はない
・闇市では常に弱者を食い物にするような人間であふれている
この状況下でゼインは兄弟を守るために戦い、赤ん坊のヨナスを守るために戦う。
正義を生きていくゼイン。
聞けばキャスティングのほとんどは現地スカウトらしいのだが、中でもゼイン役のゼインくんの演技は図抜けて素晴らしく、生き抜くという人間の本質的な力強さと、理不尽な世の中への悲哀を見事なまでに表現したと思う。
両親を自分を産んだ罪で訴えるというゼイン
この世の地獄ともいうべき状況が生み出したギャップへの皮肉たっぷりな強烈なアンサーは、素晴らしいインパクトだしものすごく悲しい
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