劇場公開日 2019年7月20日

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「命あるものの怒り」存在のない子供たち コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0命あるものの怒り

2019年7月22日
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鑑賞方法:映画館

物語として、フィクションとしてだからこそ昇華された迫力があった。

貧困や人種差別、宗教対立、戦争や移民の問題で、出生届すら出されておらず、「存在しないことになっている」ため、基本的な人権が与えられず、教育、愛までも受けることができない子どもたちがゴロゴロいる。
映画の舞台となったレバノンだけでなく、今の「中東の現実」を映し出していた。

主人公の少年の怒りは、自分の両親だけでなく、子どもに救いの手を差し伸べることのない、国、世界、社会そのものへ向いている。
レバノンだけでなく、世界中で国籍も戸籍もない子どもたちがいることを、映画から強く訴えていた。

それを体現した、子役(ゼイン役)のゼイン・アル=ハッジの演技がすごい。
ゼイン自身がシリア難民の子で、自身の体験と役柄に重なる部分が多かったからからなのかもしれない。
裁判シーンも、本物の裁判官に演じてもらったそうだ。

是枝監督かよ!って言いたくなる感じの作りではあったが、奴隷や臓器目的の人身売買組織まで出てくるあたり、日本の比でないレベルで闇の深さが半端なかったです。

傑作のひとつとして、おすすめ。

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コージィ日本犬