「ゼインの守りたかったもの」存在のない子供たち yukarinさんの映画レビュー(感想・評価)
ゼインの守りたかったもの
観終わったあと、ラストシーンが残像のように残った
劇場を出るときに、壁に映画のシーンのパネルと共に記載されたコメントを読んでいたら、町山さんのコメントが、胸にズシンと来た
きっと、観る前なら、そこまでは響かなかったコメント
ゼインを演じるゼインの、その瞳
ゼインを始め、映画の中の人物と似たような境遇の人たちが演じていると聞いていたけれど、その瞳の力のなさが胸に突き刺さる
誰かが悪いわけではない
訴えられた両親たちもまた抜け出ることの出来ない日々の中にいる人たちでもあるから
まさに負の連鎖のような状況
それでも、ゼインが両親を訴えてでも守ろうとしたものに、胸が詰まった
不思議なことに、希望のかけらもないはずの現状の中、それでも何か微かな明るいものが見えるように感じるのは、ゼインのおかげだろうと思う
その小さな身体で、世界の広さも知らない視点で、全てを諦めたような瞳で、善と悪の違いが存在しないような場所で、妹を、赤ん坊を、必死で守ろうとするその思いやりや優しさのおかげ
心に重く、深く、残る
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