「あぁどうにもできない…/ポルファボール連発」誰もがそれを知っている だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
あぁどうにもできない…/ポルファボール連発
ファルハディ監督ですから、スッキリする話は書きません。
善悪の判断が簡単な話も書きません。はじめの問題が解決しないまま、各人が混乱して勝手な事をし始め、事はだんだん別の問題を浮かび上がらせるでしょう。
別離、セールスマンと見ましたが、そういう作風です。
その作家性が大物役者夫婦を主演に迎えたことで、若干マイルドに見やすくなりました。その事をどう評価するかで、立ち位置は変わるでしょう。わたしは見やすくなっててありがたかった派です。
舞台になった国の世相風刺も割と効いてます。
この映画で言えば、ラウラの姉の夫フェルナンドの出稼ぎ労働者(大体が外国人?)への差別心、ラウラの結婚する妹の夫がカタルーニャ人で、スペイン人からのカタルーニャ人への差別とその逆(妹の夫の家族は結婚式に乗り気でなさそうだった)、あたりがそれかと。さらっとちらっと何度も出てくるので、あぁ勉強になりますって思いました。
ラウラの夫役の人は、どっかで見た渋いイケボイスおじ様やなーとおもってたら、人生スイッチに出てた人らしいです。どの話の人か忘れましたが。
ラウラのムスメの父親が実はパコってゆうオチは何となくわかりました。つか、わかりやすくするための夫婦起用ですよね。たぶん。
誘拐犯が誰かについては、全然予想できませんでした。
一応無粋にネタバレしておくと、ラウラの姉の娘(ラウラの姪)の夫(あるいは夫予定の彼氏)でした。ラウラの姪も共犯者といってよいでしょう。姪の夫もどきの相棒?は、どっかに出てました?パコの妻の働く更生施設の子?わかりませんでした。
パコは哀れですよ。ラウラの家の家族には使用人の息子がうちの土地を二束三文で買ってえらそうに!みたいな目で見られ、知らんかったのに娘がいた事を聞かされて、葡萄畑裏されて、金取られて(30万€でしたっけ?3600万とか、4000万くらい?)、妻にも捨てられ(多分)。
面白かったっちゃー面白かったです。
セリフ、ポルファボールに頼りすぎですね。
あ、結婚式の歌、あの日にかえりたい系の未練ソングと違いました?あれでよかったんかな、新郎新婦は。それとも映画のオチへのフリであの歌詞だったんでしょうかね。