劇場公開日 2020年3月6日

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「鳥籠に閉じ込められた小さな青い鳥」ジュディ 虹の彼方に Evaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0鳥籠に閉じ込められた小さな青い鳥

2020年2月25日
iPhoneアプリから投稿

GAGA 青山シアター様のオンライン試写会にて鑑賞させて頂きました。

レネーゼルウィガーの演技は 、まるで触れたら花びらが崩れ落ちてしまう薔薇のように繊細 。
しかし 、ジュディの歌い方やマイクを持つシルエット、黒い闇のように深い瞳など細部に渡り伝わってくる力強さに鳥肌が止まらない 。

クイーンの「ボヘミン・ラプソディ」のような歴史を辿る内容ではなく 、彼女の最期を目前にした日々を描く本作の内容は 、ネタバレなどを怖がらず事前に彼女の人生を知っておくべきだろう 。

ジュディが子役時代から痩せ薬として飲まされていたのは今では覚醒剤として扱われているほど 、強力なものだった 。
薬を飲み 、仕事をし 、眠れないがために睡眠薬を飲まされる 。
その負のループに掛かってしまったジュディ・ガーランドはまさに『ハリウッドに殺された』そう言える 。

映画のラストシーンが終わっても 、彼女への涙が止まることはなく どうしようもない喪失感に苛まれる 。
しかし 、フレディ・マーキュリーと同様にジュディ・ガーランド彼女のパフォーマンスを目の前にすることができる映画ならではの魔法を 、ぜひ劇場で体験してほしい 。

苦しみばかりが目に入ってしまうかもしれない 。
しかし 、精神的にも肉体的にも想像を絶するほどの状況に最高のパフォーマンスをし続けた彼女の偉大さを描いている 。

鳥籠に閉じ込められた小さな青い鳥は 、羽を自由に伸ばすことさえ禁じられ その美しくも儚い歌声を1人で奏で続けた 。

華やかで色鮮やかなショーの世界 、
1人で過ごすブルーの世界
彼女の本当の世界はどこなのだろう 。

彼女を忘れることなど 、この世界にはできない 。

Eva