止められるか、俺たちをのレビュー・感想・評価
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若松監督作品を知らない自分でも楽しめた
白石監督作品はサニーを鑑賞したのですが、エグい場面でさえもワクワク感が勝ってとても楽しめました。そんな白石監督が新しい作品を公開すると聞き見に行きました。私の行った劇場では超満員で立ち見で見る人もいました。
年代が60年代から70年代を描いているのでその時の情景などはテレビや本でしか得た知識しかないので、そこはイメージで見ました。助監督という役職は監督のサポートというイメージしかなかったのですが、意外とやることが多いなと今作を見て思いました。若松監督が制作したピンク映画を導入するのは時代感の区別があっていいなと思ったのですが、まさか白石監督が撮影したもの(正しくは若松監督)もあったのであんなに乳首ドーンと出していいのかなと思いました。(斬新で面白かったのですが、Rとかが付いてなかったので)
映画の劇中で若松監督や足立さん達が言っていた今の映画は甘ったれているというセリフなんですが、若松監督が今の映画界を見たらどう思うのかなとふと考えさせられました。最近の映画はどうしてもアニメや漫画の実写が多く、しかも再現しきれてない作品が多いなと思います。早速若松監督作品を借りて見たのですが、こんなに面白いのか!と驚かされました。昔の映画も面白いなぁ(●︎´-` ●︎)
すごく省略するのですが、門脇麦さんが演じるめぐみさんが自殺するシーンは明確に映されていない分、叙情的な感じが伝わってきて辛かったです。妊娠もしていたのでどうするのかなと思った矢先の自殺は衝撃でした。
映画というものの在り方を教えられました。今後ともこの時代を元にした映画はあまり作られないんじゃないかなと思いました。そんな中この素晴らしい作品が観れて本当に良かったです。ありがとうございました。
映画の力を教えてくれたレジェンド
事実が基になっているため、一つの物語として起承転結に乏しいのは仕方がない。だが、決してインテリでない若松監督がオリジナリティに怒りと憎しみと自身の思いを込めて、映画をこの世に残した姿は、一生自分の胸に残り続けるだろう。
時には売れるためだけの映画を作る。時には世間に対する怒りを込めた映画を作る。若松プロは映画に助けられ、映画に殺され、映画に生きる。単純明解でない人生が描かれている。パンフレットで井浦さんが語っているが、『こんな人たちでも作れるなら俺にも出来る』と(失礼かもしれないが)不思議な勇気をもらえたのも事実だ。
門脇麦山本浩二・毎熊克哉・藤原季節・満島真之介といった絶妙な布陣が、若松プロは の無二の空気を醸し出していたように思えた。
めぐみが『何千何万という言葉じゃ伝わらない思いが映画のワンカットに写ってしまう。映画ってすごい。』と言っていたように、かつての誰にも止めようのない若松プロが永遠に刻まれた映画だった。
映画に理屈はいらない、映らないから
台詞一つ一つがキャラクター毎に隔てられていて意味を持つ言葉が観客に響いてくる。
脚本の井上淳一さんを座組みで入れる意味、そして若松孝二を見るひとみの視座、全てが愛に溢れていて、感動した。
最初の現代の新宿を映し出して、その中をひとみとオバケが歩き若松プロに入っていく下りなんか最高でした。
天才の下で助監督をして来て、それは自分には届かないものだと感じた白石監督でしかこの映画(気持ち)は描けなかったんだと思う。
そして、見事にその天才たちでは絶対に撮れない映画を撮ったと思う。
これを若松プロ再始動でやることの意味、絶対に映画界はほっといて欲しくない、女子高生ばかりが映画ではない。
初日舞台挨拶で観ました!
とにかく若松監督を演じた井浦新さんの魅力が凄まじかった!
厳しいし理不尽なんだけれども、どこか愛を感じられる。そういえば「虎狼の血」の大上もそんなキャラクターだった。今の時代には中々いないちゃんと叱ってくれる大人。あちらは東映任侠映画のリブートだが、こちらは若松プロのリブート、どちらも白石監督の手によりどこか共通点を感じてしまった。
本作は、門脇麦さん演じるめぐみを通して若松プロダクションの日常を垣間見るような作品。私は平成生まれなのですが、あの時代の雰囲気をなんとなく感じとれた。もっと観ていたい。あっという間の2時間だった。
スピルバーグのジュラシックパークではT・レックスが迫ってくるという恐怖をコップの水の波紋に集約してみせるという演出をしており、これはT・レックスが来るという誰も想像できない恐怖を身近なものに置き換えているとスピルバーグは言っていたようです。
本作ではこのスピルバーグのコップ手法にこじつけてみると、めぐみの死が迫っているという恐怖(客のみが知っている)ことが、めぐみが持つ酒の小瓶が少しずつ減っていきラストで飲み干すという演出で表現されていたように思う。
あれは若松監督にもらった酒だ。若松監督から助監督達への一種のバトンのような酒に集約されたのがよかった。
"止められるか、俺たちを"というタイトルは今日から劇場で再始動する若松プロダクションに関わる人達自身の意思表明のような印象を作品を観て思いました。どうかこのまま止まらずに、エネルギッシュな目の覚めるような映画を作り続けて欲しいと思います。もちろん応援させていただきます!
アイロニカル
☆湯布院中央公民館にて
若松組青春群像に若松監督とメインのめぐみさんのストーリー 若松組全体からめぐみさんにズームしていく流れは分かり易い パンフレットの座談会でも語られていましたがタイトルのことは私も気になりました 言いたいことは解るのですけど内容と比べると どこか噛み合わない部分を感じてしまって···
「止められるか、俺たちを」という言葉は若松監督のお気に入りで映画にしたかったタイトルだそうです
なのに何故 私がしっくりこなかったかというと その割には二人も若松組を辞め しかも肝心なめぐみさんは自殺(か事故かは不明)
説得力が弱くなるのは仕方ありません タイトルの鮮烈さにモーレツな勢いを期待していただけに止まってるじゃん自ら…とツッコミをいれたくなってしまったのは無理もなく逆にこれは皮肉なのかもと思った次第です
昭和の悶々とした燻った感 ビルの上から放尿する場面は痛快 アナログ感いっぱいの反骨精神 若松プロの映画が 「ここではないどこか」を探していたように昭和もまだ過渡期でした
映画の中では何をしてもいいんだという若松監督 巻き舌のニャロメ調 こんな感じの人って映画の中にしかいないよなと思っていたら実在していたお方なのだから逆に驚く
湯布院映画祭シンポジウムでの井浦さんのお話によると「心を見せてみろ」が監督の口癖であったそうでそれは今でも井浦さんの心に在るそうです
役を作ってまたいったん壊してそこから見えてくる 役を演じるには頭ではなくピュアな心が必要みたいです
監督はあちらの世界で井浦さんの演じた自分に目を細めていらっしゃることでしょう どうかな?バカヤローとかいってダメだしされてるかな(笑)
人は板挟み状態になると身動きがとれなくなって死を選んでしまうことがある めぐみさんの死は お腹の子と心中する道を選んだのではないかと思いました 堕ろすことも出来なくてやりたい映画も女だからって頓挫できない どちらも大事 この時代いったん休んでまた復帰なんて都合のいい時代はまだ訪れてなく昨今なら選択肢があったはずと悔やまれます
めぐみさんのセリフ「若松孝二にヤイバを突き付けないと···」これ意図したことなのか結果なのか 映画よりもリアルなヤイバを突き付けたことになったと思います
作中に三島由紀夫自殺の話題 その時の若松監督は死んだら何もできないのにな…と話しました めぐみさんにも同じ言葉を果たしてかけたのでしょうか…
めぐみさんの苦悩は痛いほど伝わりました 時代に殺されたようなものです
細い針で刺されたような痛みが胸に残りました 男にはなれなかった女性 止まっても生きていていいんだよと伝えたかったです
そしてここまで書いてみて やっぱりタイトルはアイロニー 皮肉ってことで私の中では落ち着くのでした
追記 2018 9/7
この作品 若松プロ「再始動の第一作」と知りました
「止められるか、俺たちを」は映画の中だけではなくそこから飛び出し
今、この時に響もす雄叫びだったのですね
若松監督とめぐみさんや通り過ぎてきた仲間の想いを乗せて ひとつになり続いていく
遅くなりましたが このことに気がついた今日ブワーッと鳥肌が立ちました
想いはつづく 何度でも
やっとタイトルの本当の意味を受けとれた気がしています(勝手な解釈)
再始動 おめでとうございます!
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