軽い男じゃないのよ

　もう少しなにか捻りがあるのかと思ってみたら、なんてことのない、見た目だけの男女逆転でした。
　男の立場が低くなったからこその男女差別があったら、もっと深みのある映画になってたかもしれません。
　ただ、屈強な男性が弱い立場として描かれているのは新鮮で面白いので、見てて飽きないです。

　終わり方が少し消化不良かな……もとの世界のダミアンは果たしてどこのダミアンなのか知りたい

　主人公の男が頭を打って目覚めたら、別の世界線にいた。記憶はある。しかし自分だけ価値観が違うのだ。価値観だけじゃない。実際、物質的に力も男女逆転している世界なのだ。
　そんな世界で主人公は恋愛する。
　そしてラスト、衝撃的な事が起こるのだった。
　それが夢オチじゃないのよ。

日本では男女入れ替わりのドラマはよくあるけど、これはフランスの男女の社会的立場入れ替わりの世界観ドラマ。
男性優位の現代への批判的な内容と思われ、女たらしの男性が逆の立場に置かれることで、相手の気持ちを学んでいくみたいな内容なんだが、なんかこの多様性の時代にあまり馴染まない気がした。どちらの世界にしても男性、女性がステレオタイプに描かれていて、あまり深みがない。しかもフランスで？男女の格差はまだ重要な問題だが、もう少しひねりがあるとよいなと思った。男らしさ、女らしさって子どもの頃からなんとなく身につけてしまうが、一体どこから来てるんだろう。

必見。
物語での役割の性差を徹底的にメタ化して現実社会を斬る。
物語が映画があったから逆に現実がこうなったと撮った人と見た人を断罪する。
映画は即ち恋愛映画だから現存する全ての映画を吹っ飛ばす破壊力。
本作後の映画は社会はどうなるだろう？