クレアのカメラのレビュー・感想・評価
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たとえ舞台がカンヌでも、カメラに映るのは唯一無二のホン・サンス世界
奇才ホン・サンスのフットワークの軽さと、平凡な日常をヒョイと飛び越える職人技を見せつけられた思いがする。そもそも映画祭期間中、カンヌで名女優イザベル・ユペールまで引っ張り出して、これほど適度に力の抜けた「世にも奇妙な物語」的なプロットにまとめ上げるのだから、もう誰もこの人には敵わない。ユペールもユペールで、大女優ぶったところが全くなく、こういう役をサラリと演じきるところに凄さがある。
「撮るとその人の人生を変えてしまう」というカメラの存在は、何よりもカメラ(写真、映画に限らず)の力を知るホン・サンスならではの着眼点。彼は自らの視座で作品ごとに俳優(というより、女優)を様々なキャラクターへ変貌させてきた張本人でもある。その意味でホン・サンスは劇中の監督のようでもあり、はたまたカメラを構えるユペールのようでもあり。ともあれ観ているとジワジワ惹きこまれ、異界の魅力から抜けられなくなる一作だ。
【”物事を変える唯一の方法。”今作はホン・サンス監督が2016年のカンヌ国際映画祭開催中に撮影した作品だそうだが、短期間でこのレベルの映画を作る監督の稀有な才能に驚く作品である。】
ー 多作のホン・サンス監督がカンヌ映画祭に参加していたイザベル・ユペールとキム・ミニを主役にして数日で作った作品。
イザベル・ユペールは主演作のポール・ヴァーホーベン監督の「エル ELLE」。キム・ミニはパク・チャヌク監督の「お嬢さん」で、コンペティション部門に参加していた機会を利用して製作されたとの事。-
◆感想
・ホン・サンス監督作品は、比較的短い作品が多いが今作もそうである。だが、その中で韓国の映画監督のソ(チョン・ジニョン)と、マニ(キム・ミニ)と彼女の上司のヤンへ(チャン・ミヒ)と、フランス人の教師クレア(イザベル・ユペール)との不思議な人間関係を軸に、面白き物語を作り上げてしまう才能に驚いてしまう。
■映画会社で働くマニは、カンヌ国際映画祭への出張中に上司のヤンへに”貴方は正直ではなくなった”と言われ、突然解雇されてしまう。
帰国日の変更もかなわず、ひとりカンヌに残ることにしたマニは、カメラを手に観光中のクレアと知りあう。
彼女は自分が写真を撮った相手は別人になる、と妙なことを言い出すが、彼女は韓国人映画監督のソと、ヤンへの写真も偶然撮っていく。
・というストーリーが少しコミカルな感じで綴られて行くのである。
<今作はそういったカンヌでの不思議な出会いと別れを不自然さなく描いている。ホン・サンス監督のセンスとストーリーテリングの上手さには驚く作品である。>
コントみたいな会話劇
学芸会かコントみたいな会話劇見せるなんて。
一日に2回、違う韓国人とカンヌで出会って、それを不思議がらないフランス人なんているのかなぁ?
フランス人と韓国人が、長時間、英語で会話するのかなぁ?
三角関係で、嫉妬してしまう様な監督なのかなぁ?
この映画、カンヌである必要性がないのでは?
日本の松竹の古い映画にこんな映画あったような気がする。
下手くそな梱包を何故長回しする必要があるのか?
この監督の映画、五本くらい見たが、男目線で全く共感できない。
このフランス人の俳優そんなに有名な俳優だったんだ。僕が見る限り、普通に見えた。つまり、大女優を普通に撮ると言うことは、演出が駄目と言うことになる。大女優であれば、人件費の無駄。そのへんのフランス人使えば、良かったと僕なら思う。
韓国人の化粧って、少し前の日本のキャバクラの女性の化粧で、なんか時代遅れ。日本の女性がそれを真似するのが僕は嫌だなぁ。
もう一言言えば、アメリカで人気のアイドルグループって日本のジャニー○のパクリだと僕は思う。
解雇の謎・・
実際のカンヌ映画祭の合間を縫って撮ったと言う離れ業のような短編です。ですからストーリー自体はシンプルで、映画会社に勤めるヒロインの突然の解雇から始まって復職までのエピソード。
解雇の正当な理由も告げられないので観客は謎に惹かれて見入りますし、カフェの店先に横たわる犬を撫でるシーンはハリウッドの脚本入門にあるSave the Catの法則同様、ヒロインの優しい心根が伝わります、この辺は海外で学んだホン・サンス監督の正統派ぶりを感じます。
劇中のソ監督の不倫が発端というプロットはホン監督と主演のキム・ミニさんの実際の関係をいじっているような自虐ネタですね。
アメリカ留学時代に同い年のチョン夫人と結婚した監督が22歳も年下のキムさんと出来てしまって離婚騒動中と知ると白けます、もっともホン監督は私の映画は未青年には不向き、ある程度年を経ないと理解できないとインタビューで言っていますからとんだ確信犯、劇中でホットパンツ姿の彼女を説教するセリフはまるで父親のような所有欲丸出しでした。
ヒロインへの思い入れを淡々と描く名手といえば岩井美学と称される岩井俊二監督が思い浮かびますがホン監督も同類なのかもしれませんね。
やっぱりホン・サンス
イザベル・ユペールの存在が、異物でありつつも空気みたいになくてはならなくなっていたので、やっぱりホン・サンスの感性は独特だなあと、今更ながら納得しました。ホン・サンスが段々好きになる。
作品と作家その人の実人生は関係ないという至極まっとうな意見がこの世...
作品と作家その人の実人生は関係ないという至極まっとうな意見がこの世にはありますがホン・サンス作品にだけ関して言えば例外だろう。キム・ミニとの不倫騒動を経て5段階ほど突き抜けた感のあるホン・サンスに創作の女神は祝福をするかのごとく彼に再び才能を授けた。やっていること起こっていることは過去の作品から一見アップデートの程を見ることはないが“キム・ミニ”その存在が映画に厚みや立体感、そして躍動感を与え、彼らと共犯関係になればなるほど映画の深みへとハマる。驚くことにこの“2人”の作品においては“イザベル・ユペール”すらも風景なのだ。。了
ある意味奇跡の映画
カンヌ国際映画祭に、コンペディション部門出品作の主演女優として参加していたキム・ミニとイザベル・ユペール。そのふたりの女優が滞在している数日の間にこんだけの映画撮ってしまうホン・サンス...。
単調な映画だが、その内実の感情がドロドロしてて面白い。異質な存在のイザベル・ユペールがすごくいい。掴み所がなくて、その割にすぐ人の懐に入っちゃう感じとか。最初の監督との出会いの微妙な空気とか。彼女がいないとただの三角関係映画になってしまうところを巧妙に回避している。しかし、ホン・サンス映画の男は皆弱いというか最低というかなんとやら...。
ホン・サンスズームは最後まで変だと思ったが、出てくると「ああホン・サンス...」と思えるようになったのであれは持ち味かもな、と。
イザベル・ユペール!
イザベル・ユペールがやっぱり凄いの。出てきた瞬間に映画の空気がガラッと変わる。
「もう他の役者さんと格が違うわ」と思って観てるんだけど、だんだん落ち着いてきて、他の役者さんの良さも出てくる。
途中出てくるキム・ミニの写真がうまくてね。プロが撮るとチェキで撮っても良い写真になるんだあと思うよ。
イザベル・ユペールは詩を書いて、写真を撮ってて、キム・ミニは歌を作ってる。僕もなにか創らなきゃと思ったね。
映画監督が不倫して言い訳してるストーリー展開は相変わらずだけど、慣れてきて面白かったよ。
女に嫌われる女
ホン・サンスの4作品とも見たけど、この役が1番嫌い(笑)元々あざとい役がほとんどだけどこれは如実だった(笑).
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特に社長に理不尽にクビにされたとクレアに愚痴るシーンが、社長が監督と付き合ってること知らないにしろ、被害者ヅラするなよと思ってしまった(笑)1回ぐらいよく考えてみたら?.
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そして社長が付き合ってたって知った後のそういうことですかってちょっとニヤついてるのも腹たったわ〜(笑)何回も思ってるけど、キムミニみたいな女とは絶対仲良くなれない!!これ女性の方なら分かりますよね??(笑).
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そんなキムミニだけど、短パンを履いてたら監督に男をたぶらかすような格好するなって言われてるシーンは同情した。着たい服を着てるだけなのにちょっと露出が多いだけで誘ってるとか、そっちが勝手にやらしい目で見てるだけだからね。
人との出会いで起きる化学反応
69分のとても短い作品だったけど
面白かったなぁ
映画会社で働いているマニ(キム・ミニ)は、カンヌ映画祭に出張中に会社をクビになってしまう
帰国の飛行機まですることがなくなってしまったマニは、カンヌを観光
その間にフランス人のクレア(イザベル・ユペール)と知り合い、友達になる
異国の地で知り合った人と親しくなる彼らを見ていると
人と人との出会いには、化学反応があるなぁと思った
その化学反応にも、良い結果と悪い結果がある
マニと映画監督と社長の3人の出会いは、悪質な毒ガスが出て、周りに悪影響を及ぼしちゃうような悪い化学反応
そこへ、クレアを投入すると
「私が写真を撮ると人生が変わるわよ」
の言葉の通り、彼らの人生が変わり始める
マニと社長にとって、クレアとの出会いは、良い化学反応だったけれど
映画監督にとって、クレアとの出会いは悪い結果をもたらすことになる
そんな彼らから見えてくるのは
女性たちのたくましさである
出張先でいきなりクビになるなんて、ちょっと立ち直れないと思うけど
マニはどんどん外に出て、フランス人と友達になり、前を向いて生活をしている
社長もまた、たとえ男に捨てられても、あっという間に吹っ切って、仕事に邁進する
ところが、優柔不断なダメ男の映画監督は、クレアと出会う前以上に未練タラタラに生きていくことになる
そこで思うのは、確かに人との出会いは人生に化学反応をもたらすけれど、本人が前向きか、後ろ向きかで、化学反応の結果も変わってくるということ
クレアとの出会いは、
前向きに生きていこうとする彼女たちに
前向きな反応をもたらしたけれど
いつも、過去に未練がある映画監督には、後ろ向きな反応が出てしまったのだ
このキム・ミニとホン・サンス監督の4連作には、毎回、監督の分身となる優柔不断なダメ男が出てくる
それに対してキム・ミニは、いつもイキイキと輝き、最後に希望を感じさせる終わり方をしてきた
毎回、そこに二人の関係性が投影されていて面白い
そして、毎回「しっかりしろ、ホン・サンス!!」と思うのだ(笑)
それに加えて今回は、イザベル・ユペールというスペシャルゲストが嬉しかった
なるほど、確かに彼女は「人の人生を変える」パワーを感じさせる人である
そのユペールと並んでいても、何の遜色もなく、友達役が自然なキム・ミニもすごいなと思った
人との出会いも大切だけど、自分自身が前を向いて生きることも大切だなぁと、しみじみ感じた作品だった
☆☆☆★★ 簡単に 《酒と映画と浮気と別れ》毎度お馴染み、ホン・サ...
☆☆☆★★
簡単に
《酒と映画と浮気と別れ》毎度お馴染み、ホン・サンスとキム・ミニの世界。
毎週1本、計4本の短期集中上映。
その中では今回の作品が。70分弱とゆう短さも有ってか、1番見易いかも知れない。
反面で、イザペル・ユペールが共演しているものの。内容的にはややアッサリとしており、少し物足りなく感じる人が多いと思える。
いつもの様に長廻しを多用。その際に存在を主張するカメラだが。今回はやや控えめで、過去の作品と比べたらそれ程気にはならないか。
キム・ミニのホットパンツが可愛い(*^ω^*)
そしてそれに対して嫉妬心を露わにする男の心の卑しさ・小ささ。
これすなわち心理なり(。-_-。)
2018年7月18日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1
映画会社勤務のマニはカンヌ映画祭に参加している最中に突然上司から解...
映画会社勤務のマニはカンヌ映画祭に参加している最中に突然上司から解雇を言い渡される。格安チケットでの出張だったのでフライト変更もままならずしょうがなく海岸をブラブラしていたところをフランス人のクレアに声をかけられて意気投合。クレアは音楽教師で詩人で写真撮影が趣味のおばさん。クレアは自分がシャッターを切ると映っている人が別人になると信じている変わった人でマニやマニの上司、マニと付き合っていた映画監督達の写真を撮ってみせるが・・・。
それぞれの主演作『お嬢さん』と『ELLE エル』のプロモーションでカンヌに来ていたキム・ミニとイザベル・ユペールとたった数日で撮ったというだけあって、ギリギリ映画の範疇に入る素朴にも程がある作品。適当なズームや計算も何もなさげなカットが逆に2人の魅力をぐっと引き立てていてものすごくキュートな映画になっています。イザベル・ユペールのリラックスし切った演技も素晴らしいですが、キム・ミニの美しさも印象的。彼女の作品は『泣く男』しか観ていませんでしたが、昔の松嶋菜々子を思わせる繊細な佇まいに胸が痛くなりました。
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