「人間は、結局どんなに頑張っても孤独なのだと思いました。」女と男の観覧車 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
人間は、結局どんなに頑張っても孤独なのだと思いました。
女二人、ジニーとキャロライナは、最後は手に手をとって連れ立って逃げるのかと思いきや・・違ったか。
タメイキ。
観覧車はぐらぐら揺れながら終わりなく回り、人間模様も、残酷に 果て知れず回る。
エンディングで、一段と強いオレンジの西日がジニーの顔を異様に赤く照らします。そして二言三言語った途端、突然にジニーの顔も部屋も暗転。
狂気のケイト・ウィンスレットはヒッチコック女優のように見えます。
あれは
観覧車のゴンドラが部屋の前に差し掛かったのですね。凄味のある演出でジニーの壊れた瞬間がわかる。
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水泳監視員のジャスティン・ティンバーレークが吟遊詩人となって物語をリード。
活弁の解説者になったり、芝居に加わったり。
舞台や演出もそういうわけでシェイクスピアのように古風なのですが
夫ハンプティと娘を加えての主要人物の三人は、これがお芝居とは思えないほどのなりきりの演技です。
たいていの役者は、長回しの長台詞だと、どこかにボロが出たり素に戻りそうになったり、練習が完了していないやっつけ仕事の“しっぽ”が顔や声に出てしまうものだけど、
この三人はなんか、その人たちの生活をまんま見ているようで、上手さに度肝を抜かれました。
ウッディ・アレンは、
自身が吟遊詩人。人の幸不幸に立ち入らず、覚めた目でストーリーを采配する。
人の幸せを願っていない監督かもしれないけれど、自分の作った映画の登場人物の生きざま、特にハンプティとジニー夫妻の人生の取っ組み合いに、逆に監督が批評されて、登場人物から反撃されているのではないだろうか。
それほど俳優たちの生の演技が立ち上がってきていて、凄かった。