ブリグズビー・ベアのレビュー・感想・評価
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『好き』という気持ちの暴走
はっきり言って見る人を選ぶ映画だ。いいと思えるところも多くあったが、個人的にはストーリーがのみこめなかった。
主人公は20年以上も誘拐された青年で、本当の両親は犯人の2人を憎んで当然。しかも彼1人に見せるためだけの番組を制作していた。残念なことに誘拐した2人がなぜこの番組を作っていたのかが明かされない。彼への贖罪か、残された良心か、映像作品への情熱か。動機も分からなければ、状況が状況なだけに洗脳と言われてもやむを得ない。
主人公が誘拐した2人に面会して本心を聞く前に映画制作を始めても、とても違和感がありのみこめない。我が子を誘拐された両親が嫌悪感を示すのは人として当たり前の反応だ。刑事は彼のためになればと思い、苦肉の策として手を貸したのだろう。だが妹や世間がそれを受け入れるのが早すぎて不自然に感じた。拒否反応が出る人がいてもいいはずで、むしろ最後まで拒否する人が出てくれた方がリアリティがあって納得できたと思う。スーパーで『誘拐キッド』とかほざいてたやつはどういう神経してるんだ?隣に母親いるんですけど…。
作り手はおそらく『技術が高くなくても、歪な経緯で作られたとしても面白いものは面白いし、好きという気持ちは否定できない』と伝えたかったのだと思う。それには賛同するが、作品全体のバランスがどうにもリアリティに欠けていたように思える。決して悪い映画ではないのだが…。
I was your father.
「ハンソロ」を降板した(降ろされた)フィル・ロード&クリス・ミラーの制作でマーク・ハミルが父親(ダークサイド)として出てる映画が「ハンソロ」と同じ時期に封切られた事は、今年の映画的事件とみても良いのではないでしょうか?
特殊な状況に置かれた人物を描いているようで、大オチは“子供時代の宝物との決別で大人になる”という「インサイドヘッド」と同じテーマを扱っているから多くの人の心に響くのでしょう。
前半の不穏な笑いづらい雰囲気も映画づくりが始まると声を出して笑えるようになってくる。モノづくりの楽しさも万人に共通する楽しさ。
痒いところに手が届く気持ちのいい演出。
==追記==
後日、「ハンソロ」を観ました。
フィル・ロードとクリス・ミラーにはこのサイズ感の話の方が持ち味を出せたんだろうな。と思った。
最高に素晴らしかった
何よりよかったのが、誘拐犯の両親と、実の両親、どちらにも悪い感情を抱いていなくて、それは誘拐犯の両親の教育がよかったからに違いない。そしてそこには『グリズグビー・ベア』が伝えるメッセージが素晴らしかったのだろう。
オレ自身血縁のない子どもを育てていて、どこか誘拐犯のようなズルをしている感じや、ロールプレイをしているような感覚がある。そして今の立場を失うことが無いよう懸命に親の振りをしている感覚もある。親として世間に認めてもらえないと不審者として扱われるのではないかという恐怖心もある。そんなオレに対して、この素晴らしい教育は見事な成功例であった。
欲を言えばもうちょっと撮影の困難さを見たかった。お友達がナイスガイだった。妹がとても美人でかわいらしいのに、野暮ったいめがねをしているところがよかった。ウェイトレスをしていた彼女がしれっと作品に参加しているところも最高だった。
(追記)
イラストを描くように見返したらやっぱり最高だった。ジェームスが素直に育ってはいるものの、やっぱり変な育てられ方なためちょっと変で、でも決して曲がってはいないというような感じが見事。妹が「お兄ちゃん意地悪してごめんね」と謝る場面がすごく好き。ダイナーで働くアリエルを訪ねる場面もよかった。刑務所の場面もずっこける感じが最高だ。
ポジティブ
たまたま時間と場所が都合良くて観たのだけど、本当に観れてよかった。公開されたばかりだし、話題になってるのをあんまり目にしてないけど、本当に良作。口コミでヒットするといいですね。
私はあのポスターのビジュアルと数件のレビューをみて、いい映画な予感しかしなくて、見にいきましたが、泣き笑いしながら、あったかくて切なくてポジティブな空気に包まれ、涙を拭きながらあったかい気持ちで席を立ちました。エンドロール字が小さくて何も見えなかったけど、その時間、シートに身をうずめて、余韻に浸りました。御都合主義もご愛嬌なのがコメディのいいところ。是枝監督の万引家族も素晴らしかったけど、本作品はまた別の角度から素晴らしい。
一緒に誘拐されてたらきっと楽しかったって妹に言うブラックな台詞も、いろんな事情がありながらも人が人と心を通わせてく瞬間が美しく切り取られているように見えて泣けた。ほかにも、クスッと笑いながらも涙も出ちゃう名シーンがいっぱいだった。
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