ブリグズビー・ベアのレビュー・感想・評価
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反グローバリズムとして読み解いてみる
確かにこの映画でも、タチの悪い人が登場せず、善意に溢れた人たちの中で、誤解や思い込みに基づくすれ違いを解決しながら絆を深めていくという、デジャヴのような構成がみられるわけですが、その背景には何があるのか?
ひとつの解として『グローバル化疲れ』があるような気がします。
この映画に登場する街や住民は、グローバル経済の中で敗者となった場所(現時点でのデトロイトのような)や人たちではなく、たぶんリストラの波も比較的穏やかで、中産階級が暮らしやすいところだと思います。当然ここに住む黒人家庭も貧困に苦しんでるケースや差別的扱いを受けることも少ない。街全体が経済的に安定し治安も良ければ、そこにわざわざ異文化や格差を持ち込み、複雑で煩わしい課題を抱える必要は無い。そのようなグローバリズムに晒されていない経済的背景・価値観で、ある程度画一的なムラ社会の方が、ジェームス君を温かく見守り支える精神的余裕も生まれる。
実母に、世界はもっと広い、というセリフがあったけれど、軽くスルーしたのは、わざわざ世界を相手にしたらコスト競争に追われ、夢を追うどころか、現実的な妥協をせざるを得なくなる、ということへの答えなのではないか。
ジェームス君にとって、わざわざハリウッド(国際社会)で勝負せず、ローカル社会(あの事件と何があったかを身近なこととして知る人たち)でしか通用しない作品を作ることの方がはるかに自己実現出来たうえに幸せだったのですから。
多様性を受け入れ、磨き合うことで生まれる進歩や新たな価値観の創造はもちろん大事なことですが、人間はみんながみんな勝ち残れるわけではないので、国際競争とは無縁のローカルな社会で、ローカルに生きることも選択できる世の中の方が全体的に平穏な気がします。
グローバルな人材になれ、と若い人たちを急き立てるばかりでなく、ローカルなままでも幸せになれる社会を作ろう、ということがもっと叫ばれてもいいんじゃないか、と思います。
脱線しますが、和食だってグローバル化し過ぎるとマグロやウナギの高騰化や品不足に見舞われるし、日本と一部の外国でなければ食べられないというローカルなものの方が良かったかもしれないですね(マグロやウナギがどう思うかはわかりませんが)。
想像の檻
優しい世界
ツッコミは浮かぶけどトータルでは面白くおもった。
マークハミルが自作自演の教育番組を25年も作り続けて誘拐した子を育てたっいうのつかみが最高ってのと、
元の家族に戻されてから、妹の同級生と仲良くなっていくところがすごーく好みだったです。
あ、演劇好きすぎる刑事も忘れちゃいかんね。わらったわー。
でも突っ込みどころはいっぱいある。
カウンセラーの偏見強すぎね?なんか物語を進めるために誇張されたように思って興ざめ、とか
両親に対して、ブリグズビーに固執する息子を、そんなに責めなくてもいいやん、その世界が全てやったんやで?と思ったり(最終的には協力的になるんやけどね)、
誘拐犯の父は、なんで最後まで父みたく振る舞うんかね?とか、
番組に出てた女の人を探すくだりが、がちストーカーやんこっわ!
とか色々ん?って思いました(忘れたけど)。
でも、物語を希求する気持ちはわかるの。わたしにも虚構がどうしても必要だから。
あと、作ったものを晒す怖さね。
あの震え。みてもらいたいし、いいと思って作ったし、頑張った。でも怖い、受け入れられなかったらどうしよう、怖い。
あの気持ちが切実に伝わった。
きっとこの映画を作った人たちの、震えなんだろうなって思った。
うん、荒さも感じたけどよかったよ。お疲れ様、がんばったねって気持ちでした。まぁ偉そうだこと。
温かい世界
特殊な立場の主人公だけど、理解されようとされなかろうと「僕はこれが好き!」と純粋に思い突っ走る姿がなんともコミカルで可愛い。
隔離された生活から広い世界に引き込まれた戸惑いもそこそこに、ブリグズビー・ベアにかける情熱の熱さに感心しつつ、ジェームスの25年間の世界には本当にこれだけしか無かったことを実感する。
優しい世界にほっこりして目頭が熱くなること数回、しかしその度にモヤモヤした感情が浮かんでしまった。
ズレた言動も可愛くおかしい主人公と、そのままの彼を受け止め包み込む周りの人間たちは良いし好きなんだけど、何だか違和感が拭えない。
誘拐だからと罪を罪として憎き悪きと頭ごなしに決めつける気は全くないけれど、「古い両親」の取った行動が到底理解できない。
愛情があったのは分かるし、バレないために隔離したいのも教育を受けさせるために工夫していたのも分かる。
真っ当な倫理観で正義を振りかざす訳でも正しい正しくないの判断ができる訳でもないのに、ただただ「気持ち悪いな」と思ってしまった。
例えば「古い両親」がどんな気持ちで育ててきたか、とかブリグズビー・ベアを作った経緯、その事情を知れればまた何か違ってくるかもしれないけど。
せっかくの機会もジェームスは特に興味がなく、映画作りの方が大事なようで…そのシーンにおけるジェームスとテッドのギャップはかなり面白かった。
とはいえ、好きなものに情熱をかけ自主映画を作るチームのドラマとしては良かったと思う。
検索するときの言葉遣いや手作り感溢れる撮影にグッとくる。
やり始めたら人一倍こだわりの強い元演劇部の刑事さんがとても好き。役者だなあ…
完成作もなんだか感慨深く観れた。
周りが本当に良い人ばかりで良かった。ジェームスが幸せであることが一番で、彼が向き合いたどり着いた答えを皆んなで楽しみ共有しているのがよく伝わってきた。
逆に良い人ばかりすぎて、生温くご都合主義的に見えてしまったのかな…
笑いも癒しも多くて良いのに、この映画を心から楽しめずハマれずモヤモヤしてしまった自分に一番ショックかも。
腫れ物に触るように!?
レビューの点数よすぎ?個人的には
今流行り?の登場人物いい人だらけの薄味な映画で、悪くはないけど、もっと先に見るべきものはある、と思いました。
これはハートウォーミングな作品ではなくコメディですよね?誘拐監禁ってもっと悲惨な現実があるはずだし、見てる最中ずっとこれでいいのか??と自問しながら見てました。ラストもホッとした反面これでいいの?って思ってしまいました。これは彼の夢だったんじゃないかな?
繰り返しになりますが他に見るものがない時に見るくらいのライトな作品だと思います。個人的に。
このアプリでPROと称する人たちは映画会社の柵などで何一つ辛い評価が出来ない人達ですね。この作品に限らずですが。クソなのに辛い評価が出来ないアイドル起用作品の批評はやらないのです。さすがPRO!
ルークが諸悪の根源?
映画を作るのが楽しい!それをみんなに観せるのがおもしろい!
ビジネスコンテンツ、仕事、労働としての映画作り?
ビジネスとしての映画も大事だけど、色んな事を忘れてない?
ちょっと原点回帰しようぜーという作品・・・なのかもしれない(苦笑)。
どんな映画にする?
そもそも、なぜ!こんな事になった?
その張本人をリスペクトしつつ暗黒面を粉砕しよう!
張本人のひとり、ルークスカイウォーカーをキャスティングだー(苦笑)。
こんなシナリオだ。
素朴な映画作りを通して、暗黒面(ミラクルヒットで儲かった事から派生した悪癖)と訣別する・・・ベイダー卿とルークのように。
映画作りを阻止するのはCIAのクレア・デインズ(『HOMELAND』)。
設定は決まった!
一部、モノラル1チャンネル!
に泣きそうになったーーー
m(__)m
フォースを感じました...
人生も人間も捨てたもんじゃない。
かつてブルーハーツは歌った……。
『見てきた物や聞いた事、今まで覚えた全部、デタラメだったら面白い』
この映画を観て気付かされた事は、人生は想像と選択の連続なのだということ。
明日は何時に起きようか、何を食べようか、どんな服を着ようか、どこに遊びに行こうか、何時に寝ようか……。
もしお金持ちになれたら、もしあの人と付き合えたら、もし映画監督になれるなら……。
『夢を追い続ける事は素敵な事だけど、歳も歳だし現実見ないと』そんな事、この映画を観れば誰にも言う権利はなくなるだろう。何故なら夢を追い続けるという生き方自体が日々自分自身にこれでもかと現実を見せ付けてくるからだ。この種の『現実を見る』というのは、転じて最も大きな現実から目を背ける事を意味する。周りがどんどん就職して結婚していく中で自分だけがいつまでも夢を追い続けるのは孤独なものかもしれない。
確かに孤独は嫌だ。
一人になりたい時はあっても、人間やはり孤独というのは辛いものだ。
だからこそ、孤独にならない方法を見つけなければならない。
どうすれば孤独でなくなるのか?
それは仲間を見つける事だ。
どうすれば仲間を見つけられるのか?
自分自身を解放する事だ。
自分を解放するとはどういう事か?
他者を受け入れるという事だ。
主人公のジェームズは、様々なものを素直に取り入れ、更には素直に自分自身を開示する。そこには莫大なエネルギーがある。
人はエネルギーのある所に集まる。
美人だとか不細工だとか、お金持ちだとか貧乏だとか、頭が良いとか悪いとか、そんなモノ本来は大事ではない。
夢を追い続けた先に新たな現実が待っている。
それが『映画づくり』という要素を持って語られれば、世の作り手達は心を鷲掴みにされること請け合いである。
でも、この映画は何もクリエイター達だけの為の映画ではない。どんな仕事をしている人達にも暖かさと勇気をくれる作品だ。
8月7日現在、間違いなく2018年No. 1の作品である。
愛に溢れた熊
好きが溢れた素敵な映画でした。
宇多丸さんのラジオでタイトル名と素敵な作品と言う評をざっくり聴いて、良さそうな映画と認識。
ブリグズビーベアって言いにくいな?の印象から
あらすじ読んでキテレツな設定にワクワク。
時間ができたので極力情報を遮断してようやく観賞。
結論、前向きな素敵な映画でした。
強制的に俗世間から離されて、異常な愛情を注がれて育った青年が、驚くほどピュアに好きを貫くことで
周囲の理解を得て、大きく前に進む物語。
それぞれの立場を考えたら、恨み辛みしかなさそうな内容を極めてコメディにまとめて、登場人物すべてが優しい素敵な映画でした。
2時間弱のコンパクトな作りも◎。
前向きな良作だが、あまりに露出が少なくて認知の低かった ジョン・ファヴローのシェフを思い出した。
触るのは1日2回迄
ライムスター宇多丸氏の映画評で観に行く動機になったのだが、実はそれまでこの作品の存在自体知らなかったのだ。それはひとえにこのタイトルの読みづらさ。“グリズリーベア”とゴチャゴチャになってしまい、多分記憶からゴミ箱へ棄ててしまったのであろう。
そして、観終わった後の評価の180度の転換は久しぶりに味わった作品である。アメリカ映画の良心がギッチリ詰まった内容で、心温まるという表現しか当てはまらない作品だ。
最後のジェダイでのルークスカイウォーカーの台詞は、今作品の台詞の方が良かったのではないかと思う素敵な金言である。『信じるべきは予言より家族だ』、『忘れるなよ、強くあれ』等々。マーク・ハミルは確かに今作品では輝いていた。
コンセプトとしたら『浦島太郎』の話なのだろうか。戻ってみたら何もかも変わっていた、いや、元々過ごしていた世界が虚構で、帰ってきた世界が本当。それはジム・キャリーの『トゥルーマン・ショー』を彷彿させる。勿論自覚と無自覚は違うのだが・・・
ディテールの部分の甘さや少々のご都合主義は、あくまでもハートフルコメディとしての作りなので余りそこをクローズアップはしない。それ以上の偏愛を落とし込んでいるところが今作品の正にチャーミングなところだ。主役の男の魅力がどんどん周りを引寄せ、味方にいなっていく。だれもが腫れ物を触るような態度を現わしているのに、それでもガンガンと前のめりに自分の信じた道を突き進む姿はそれだけで清々しい思いになるのである。それはおぞましいこととはいえ、あのテレビシリーズを一人の人間の為だけに作った男への畏敬の念さえ感じ取ったのかも知れない。だからこそ、その世界観を成就させることの方が、彼の成長を促す唯一の方法であることを悟ったのである。それは、ラストの映画上映後の幻のブリグズビービアが、腕時計型装置に手を掛け消えていったように、主人公の一つの達成を表現したハートウォームな演出で全てを語っている。
大変素晴らしい作品なのだが、とにかく宣伝が余りにも少なすぎて、世に広めることが出来なかったのが非常に残念だ。
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