劇場公開日 2018年6月23日

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「人生も人間も捨てたもんじゃない。」ブリグズビー・ベア テークさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0人生も人間も捨てたもんじゃない。

2018年8月7日
iPhoneアプリから投稿

泣ける

笑える

幸せ

かつてブルーハーツは歌った……。

『見てきた物や聞いた事、今まで覚えた全部、デタラメだったら面白い』

この映画を観て気付かされた事は、人生は想像と選択の連続なのだということ。
明日は何時に起きようか、何を食べようか、どんな服を着ようか、どこに遊びに行こうか、何時に寝ようか……。
もしお金持ちになれたら、もしあの人と付き合えたら、もし映画監督になれるなら……。

『夢を追い続ける事は素敵な事だけど、歳も歳だし現実見ないと』そんな事、この映画を観れば誰にも言う権利はなくなるだろう。何故なら夢を追い続けるという生き方自体が日々自分自身にこれでもかと現実を見せ付けてくるからだ。この種の『現実を見る』というのは、転じて最も大きな現実から目を背ける事を意味する。周りがどんどん就職して結婚していく中で自分だけがいつまでも夢を追い続けるのは孤独なものかもしれない。

確かに孤独は嫌だ。
一人になりたい時はあっても、人間やはり孤独というのは辛いものだ。
だからこそ、孤独にならない方法を見つけなければならない。

どうすれば孤独でなくなるのか?
それは仲間を見つける事だ。
どうすれば仲間を見つけられるのか?
自分自身を解放する事だ。
自分を解放するとはどういう事か?
他者を受け入れるという事だ。

主人公のジェームズは、様々なものを素直に取り入れ、更には素直に自分自身を開示する。そこには莫大なエネルギーがある。
人はエネルギーのある所に集まる。
美人だとか不細工だとか、お金持ちだとか貧乏だとか、頭が良いとか悪いとか、そんなモノ本来は大事ではない。

夢を追い続けた先に新たな現実が待っている。
それが『映画づくり』という要素を持って語られれば、世の作り手達は心を鷲掴みにされること請け合いである。

でも、この映画は何もクリエイター達だけの為の映画ではない。どんな仕事をしている人達にも暖かさと勇気をくれる作品だ。

8月7日現在、間違いなく2018年No. 1の作品である。

テーク