「法律で人の心を裁けるか?」判決、ふたつの希望 ホワイトベアさんの映画レビュー(感想・評価)
法律で人の心を裁けるか?
レバノンのパレスチナ民族差別問題を扱った作品。私たち日本人にとって遠い国なので然程馴染みの無いテーマですが、作品では、とても緊張感に溢れた裁判での弁論応酬の形で、同国の悲惨な歴史体験とその原因となる政治・民族問題を順々に解き明かしてくれていて理解が深まったように思います。実に些細な諍いが裁判に、そして国を二分しかねない抗争に発展してしまう様は、この問題の根深さと扱いの難しさを感じさせてしまいます。しかも虐げられた人たちが今度は虐げる側に回ってしまうこの悪循環。しかしそんな中にあっても、問題の解決を諦めずに頑張っている人たちがいることもこの作品は教えてくれたように思います。本作の邦題のようにこの作品の先に本当に「希望」が見える(見えた)のかどうか私には良く分かりませんが、少なくともこの作品は、私たちにとっても他人ごとではないであろうこの種の問題について考えるヒントをくれたような気がします。
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