「是非20代の若者に観てほしい!」判決、ふたつの希望 ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)
是非20代の若者に観てほしい!
こんなにも、心がゆさぶれるとは思いもしませんでした。
想像以上に深く考えさせられた、素晴らしい映画です。
パンフレットには、どんでん返し連続の裁判映画と書かれていましたが、これはただの裁判ではありませんでした。
人と人の尊厳を訴える、人種を超えた社会派なヒューマンドラマです。
きっかけは些細な口論が始まりでした。
雨樋を勝手に工事したことにより、家の主人から暴言を吐かれてしまった事件。
工事の男は激昂されたことにより、つい感情的になって、汚い言葉で男を罵ってしまいます。
それが許せなかった男は、謝れと彼に訴えますが、工事した男には全く謝る気がありません…。
謝れば許してやると訴える男と、頑なに謝らない男。
なぜこんなにも2人は「謝る」ことに固執したのでしょう…。
そこには、紛争、宗教、政治など、複雑で繊細な問題が深く絡んでいました。
難民であるが故の苦労、そして暴かれることのなかった男の人生。
互いの深く辛い過去が法廷で暴かれる時、彼らの「謝罪」という名の本当の意味が見えてきます。
「ただ、謝罪だけが欲しかった」というキャッチフレーズは、この映画を見終わった後でないと良さが分からないかもしれません。
しかし、映画を見終わった後に、この言葉の深い意味を感じ取れれば、この言葉がドンピシャにこの映画にハマっていることがよく分かると思います。
歴史の悲劇には、たくさんの難民が苦しめられているのだと理解すると同時に、何の罪もない人がいかに謝罪という言葉を求めているかを、この映画で知ることができました。
ナチスドイツの加害者とユダヤ人の被害者の問題も同じ事だと思います。
未だに謝りの言葉一つ無いということが、どれだけ相手を苦しめているのか…。
戦争は終わったのかもしれませんが、個人の記憶や想いは全く終わっていないのが現実…。
そのことを忘れないために、もう一度考えてもらうために、この映画は作られたのかもしれません。
自分たちが犯した罪を自覚することができれば、自然と謝罪の言葉は出てくるもの。
そして、被害者はその言葉を今でもずっと待っているのだと考えさせられました。
この映画のもう一つ良かった部分は、最後に喧嘩両成敗とならなかったこと。
裁判という公的な場だからこそ、互いの訴えを吟味し、裁判官が判決を下した部分は感動しました。
こういう映画は、これから先の時代、もっともっと世に輩出してほしいものです!
深い深い考えに苛まれる、体の奥の方がジーンと熱くなる映画を久しぶりに鑑賞したように思います…。
素晴らしい!
感動(o^^o)