「母の偉大さと継がれるべき儀式」洗骨 とえさんの映画レビュー(感想・評価)
母の偉大さと継がれるべき儀式
ゴリ監督らしく、笑えるシーンが満載で、笑って心が温まって、後半は、思わずホロっときてしまうステキな映画だった
そもそも、タイトルにある「洗骨」とは何か?
最初にタイトルを見た時にそう思った
その「洗骨」とは、沖縄の粟国島に今も残る風習で、死後4年が経ったご遺体を洗う儀式のこと
この映画の主人公一家では、お母さんが亡くなってから4年が経ち、「洗骨」のために家族が実家に集まるのだけど、その時には家族がバラバラになってしまっていた
そんな状態で、果たして洗骨ができるのかという話
そのバラバラな家族の様子を観ながら思ったのは、
生きていても、亡くなっていても、家族の中心にいるお母さんの偉大さ
お父さんも、息子も、娘も、お母さんを頼りにして、お母さんを通じて家族とつながっていた
だから、そのお母さんがいなくなってしまうと、家族は急に支えをなくし、バラバラになってしまう
そんなバラバラになってしまった家族にやってきた「洗骨」の儀式
それは、まるで家族がバラバラになってしまったのを見計らったかのようにやってくる
「家族がそんな状態では、お母さんは安心してあの世に行けないよ」と言いたいのではと思ってしまう
正直、これまで法事っていうのは、面倒なものだと思っていた
しかし、この映画を観ながら、亡くなったご先祖さまに対して
「私たちは、あなたがいなくても、仲良くやっているから安心してくださいね」
という姿を見せるための儀式なんじゃないかなと思った
そして、改めて「母の偉大さ」を思う映画だった
私の場合
仕事もプライベートも、うまくいかない時は、いつも愚痴をこぼす相手は母で
父の不調や、兄のプライベートを教えてくれるのは母だ
そんな母がもしもいなくなってしまったら、我が家も、この映画の家族のように
バラバラになるだろうなぁと思った
でも、いなくなってから、その偉大さに気づいても遅いのだ
だから、みんなが元気なうちにコミュニケーションをしておきましょうと
この映画は気づかせてくれる
そしてこの映画では、その「洗骨」がどのように行われるかが描かれている
すごくドキドキしながら見ていたけれど、まるで儀式に参加しているような厳かな気分になった
その「洗骨」の場面を観るだけでも、この映画を観る価値があるんじゃないかと思った
この映画を通じて「洗骨」という儀式を初めて知った
風化させずに残していくべき文化だと思うので、一人でも多くの人に観て欲しいと思った