ウトヤ島、7月22日のレビュー・感想・評価
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混沌に放り込まれる72分間
事実を調べて踏まえつつのフィクション。撮り方の特殊性だからなのか、メインとなる女性のキャラクターが、混乱しているとしても何か今一つ…。ラストは良いのですけれどねぇ。
但し、展開や殺戮者の見せ方は下手なホラーも唸るものでした。家でまったりだと味わえない緊張感があるので、是非とも映画館で体感して頂きたい作品でした。
真実とフィクションの間で
51. 72分間ワンカット。入念な準備があったに違いない。演技者はかなり追い込まれた状態だろう。余分なものを削ぎ落とし、何が起こっているのか殆どわからないという状況を追体験できる
爆発音、そして銃声音
2011年7月22日、ノルウェーの首都オスロとオスロから40km離れたウトヤ島
での連続テロ事件の事実を基にしている、フィクション映画です。
ノルウェーの首都のオスロ政府庁舎を爆破したことで、8人が死亡しました。
ウトヤ島での乱射したことで、69人が死亡しました。
テロ事件の動機は、移民政策への反対です。
ウトヤ島では、労働党青年部の恒例のサマーキャンプが行われていました。
労働党は、移民に対して寛容な政策を掲げていたので、狙われたということです。
ウトヤ島から対岸までは、500mの距離があります。
日本に例えるなら、首相官邸と江ノ島で起きたテロ事件という感じです。
犯人は、ほとんど、映っていません。
犯人が人を射殺するシーンもありません。
爆発音、そして銃声音で、恐怖を伝えるという映画です。
映倫区分は,[G]なので誰でも鑑賞できます。
この事件に興味のない人が鑑賞しても、意味はないと思います。
私は、この事件に興味があったので、鑑賞しました。
ウトヤ島での乱射事件を体験できるような映画の作り方は良いです。
お勧めできる映画ではないのですが、ヨーロッパの背景を理解したいと思う人
だけにお勧めします。
犯人の極右思想を持つキリスト教原理主義者のアンネシュ・ブレイビク
(当時32歳)は、爆弾の原材料である爆薬と化学肥料を購入するために、
鉱山会社と農場を購入しています。
犯人は、ウトヤ島で使用した拳銃と自動式ライフル銃と大量の弾丸を合法的に
入手しています。
犯人は、この連続テロを用意周到に計画し、準備しています。
まず、ノルウェーの首都のオスロ政府庁舎を爆破し、警察関係者を陽動し、初動
を遅らせたと感じました。
次に、ウトヤ島に渡り、警察官の制服を着て、爆破テロの捜査を口実に、人を
従わせ、次々と射殺しました。
犯人は、警察に電話し、投降し、逮捕されました。
中東、アフリカでの戦争で難民が生まれ、ヨーロッパで移民として生きています。
ヨーロッパで、この難民や移民を巡り、対立が起きています。
英国が、EUから分離するのも難民の流入を防ぐことが目的です。
今後、日本は、外国人労働者を増やすようです。
特定の技能や経験を必要としない単純労働は、外国人労働者のおかげで、
仕事は奪われ、賃金が下がり、不満に思う日本人は増えると思います。
専門的・技術的分野において活躍する熟練労働者は、高い賃金を得て、
不満に思う日本人は増えると思います。
外国人労働者は、日本での労働に不満を持つ人は増えると思います。
行き場のない不満を持つ労働者は、バイトテロ等を起こしても不思議は
ありません。
労働者は、賃金を支払えば何も言わずに働く機械ではありません。
パンフレットには、ウトヤ島の地図があり、解説はありませんが、
カヤ達がいた場所は、何となくわかります。
犯人が上陸したであろう桟橋からは、最も離れた場所です。
【ノルウェーで起きた連続テロ事件を描いた苛烈な映画が問いかける重いテーマを考える。単独で77人の若い命を奪った唾棄すべき犯人が刑務所で”もっと面白いゲームソフト”を要求した事実にも戦慄する。】
ノルウェーといえば、社会保障の充実度で世界でも冠たる国であるのは、周知の事実。では、何故福祉が充実しているかは、原油輸出国であることと、国民の所得の50%以上が政府に徴収されているのも周知の事実。
その「理想的」と言われる国家で実際に起こった事実を淡々と描いている。
腹に響く重い銃声がウトヤ島で延々と続く。何が起こっているのかも分からずに、逃げ惑う若者達。
残虐な映像はほぼ出てこないが、観ていて苦しくなるほどの切迫した怖さが延々と続く。
一人の狂信的な人間がこのような大量殺人を行った事実すら知らなかった。
が、このような映画を自国で制作した制作陣の想いをしっかりと受け止める必用がある。
<現代の世界に広まっている思想・状況を自分なりにきちんと考え、何らかの行動をすることが、この事件で犠牲になった若者達の死を無駄にしないことだと映画を観終わった後、重い気持ちを抱きながら思った作品でもある。>
<2019年3月8日 劇場にて鑑賞>
残る後味の悪さ
観終わっあとの、この後味の悪さはなんだろうか。
実際にあった事件だからだろうか。
銃声の中で繰り広げられる、冷静さを欠いた若者たちの行動に対してだろうか。もう喋るなとか、思いつきで行動するなとか、スマホの電源は切れとか。
でも、一番の理由は、一体何に救いを求めたら良いのか分からないこと…、そういう無力感のような…ものだと思う。
この事件のことはよく覚えている。
ノルウェーではEU同様、死刑がないので、場合によっては、この犯人にも保釈があり得るのだと、テレビが報じていた。
また、日本のメディアが、死刑がないことについて、遺族に尋ねると、そういう制度を受け入れているからと、冷静に答えていたことも印象的だった。
日本にもオウムのテロがあったので、取材のつもりなんだろうが、かなりKYだなと思ってたような気がする。
映画の最後のテロップに、極右思想が…とか、分断が…といった世界の現状を危惧する文言が流れるが、では?という問いが頭の中を巡り、回答を導き出せないことに苛立ちを感じざるを得ない。
美徳のように語られる「多様性を受け入れる」という考え方を、受け入れられない人がいること。
そうした人は、社会の片隅に押しやられることが多いこと。
無理矢理に美徳を押し付けると、反動はきっと大きい可能性があること。
そして、過激化することも少なくないこと。
では、どうすれば受け入れられるのか、社会は充分に自問自答していたのか、或いは、しているのか…ということを、改めて考えさせられる。
そして、答えなんてないだろうと言われているような、言い方は悪いにしても、後味の良くない作品だった。
こわい…
ベースが事実だし最近の事件過ぎてリアル感がありすぎる。テロの恐怖といきなり巻き込まれる理不尽さがひしひし伝わってくる。緊迫感はセリフと銃撃音だけ。ただそれだけで伝わってくるこの恐怖。ギュッとつまった時間でした。
恐怖滲み、臨場感あふれる72分間
ウトヤ島での銃乱射事件が収束に至るまでの72分間をノーカット撮影。 姿見えない犯人、逃げまどう人々、鳴り止まぬ銃声…。 映し出される惨劇に、観客も72分間息張り詰め、ただ重厚な時が過ぎるのを待つ… パニック状態の人間心理の多様性を見事に描き分け、一層リアル。
72分間のテロを見つめる凄惨なドラマ
『7月22日』と同じく、2011年7月22日のオスロの政府庁舎とウトヤ島で開催された労働党青年部のサマーキャンプで起こった無差別テロの描いた作品ですが、テロ後の生存者が抱える葛藤を見つめる実録ドラマである『7月~』に対して、本作はウトヤ島のテロそのものを見つめるフィクション。
キャンプに参加したカヤとエミリエ。将来は政治家になりたいという夢を持つ姉カヤはまだまだ遊びたい盛りの妹エミリエと些細なことで口論してしまう。エミリエをテントに残してカヤは友人達とオスロで起こったという爆発事故について話し込んでいるところに響く悲鳴と銃声。一旦は身を潜めたカヤ達は徐々に近づいてくる銃声に怯えて森の中に逃げるが離れ離れになったエミリエが気掛かりなカヤは一人テントへと引き返す。
驚いたのは、72分間続いたと言われる無差別テロの様子をワンカメラ、ワンカットの実寸大で描いていること。カメラはずっと傍らでカヤとカヤの周りで起こっていることをずっと見つめているだけ。エミリエを探して地獄絵図を駆け抜けるカヤが終盤にふと口ずさむ歌に涙が溢れ、突然訪れる結末。『7月~』も力強い作品でしたが、こちらはそれとは全く印象の異なる凄惨なドラマ、どちらも必見です。
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