ウトヤ島、7月22日のレビュー・感想・評価
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悔いなき選択を
かくして、物語は
妹エミリアの安否を確認して幕は降りた。
誰よりも、そのことを願った姉カヤの姿を除いて…
実態の分からない不安と恐怖、
焦燥と混乱がもたらす状況において
ヒトはどんな思考に陥り行動に移してしまうのか…
本作『ウトヤ島、7月22日』は
客観ではなく《主観》である撮影表現によって
鑑賞者を「あの日のウトヤ島」へと誘い
姉カヤと共に“擬似体験”を通じて事件の悲惨さ、
被害者の無念さを伝え風化させず、
世界各地で起こる大小様々な無差別テロへの
注意喚起と無意味さを訴えた
【ドキュメント“タッチ”】の作品。
作品の最後に、
「この作品はフィクションであり
ドキュメンタリーではない」
…と、監督が明記してありますが
本編ワンカットで撮影されたフィルムには
緊迫感と臨場感が写し込まれ
間違いなく【ドキュメンタリー】の作風に仕上がっている。
ドキュメントがもたらした
偶然腕に止まった《蚊》ですらもが
作品の意図を汲み取ったかのような迫真性と
事件に対するメッセージ性の強さを提示していた!
現実に、ヒトは未曾有の事件や災害に見舞われたとき
実際どう考え、行動したらいいのか?
そんなことを思いながら、わたしは観賞していました。
そこに留まるべきか? 移動すべきか?
ヒトに手を差し伸べるべきか? 見捨てるべきか…?
決して明確な〈答え〉があるわけでもないし
〈結果〉は誰にも分からない…
その時は、せめて “ 悔いのない選択 ” を
勇気をもってしようと、わたしは思っています。
この世界が、地続きでひとつなぎの星である以上
自分達に関係ない事件はない…
その中で、ちっぽけな自分ができうる
最大限のことを、わたしはしたい。
偽善でも詭弁でも欺瞞でも
受け取ってもらっても構わない…
体感する映像
リアル?けれど緊迫感が続かない
「爆竹の音?」から始まる恐怖の臨場感、緊迫感は凄まじかった。何もわからないまま小屋に逃げ込み、聞こえてくる銃声に慄く。あの瞬間は私も本当に怖くなった。
その後も緊迫感は続く。皆が混乱してあれやこれやと言い争う姿はパニックそのもの。そして極めつけは「警官が撃っていた」だ。
逃げ回る友人たちや死にゆく子供の描写は正直エグかった。終盤で主人公が狙われて大きな銃声が鳴り響くシーンでは緊張が一気に張り詰めた。
しかし、そんなシーンばかりではない。なんというか、冗長なシーンも多かった気がする。
たとえば死にゆく子供とのやり取り。リアルではあるのかもしれないが、やりとりが長かったり敵や友人たちが都合のいい登場の仕方をするのが気になった。
そして岸壁に隠れたあと。ドラマを作るための前振り、端的に言えば死亡フラグを作ることに精を出していたのはどうにかならなかったのか。
リアルな作り込みは中盤までで、終盤は悲惨さを強めるための演出(悪く言えばプロパガンダ)が目につく作品であった、というのが正直な感想。
ただ、後世に残すべき良作であることは間違いないと思う。
臨場感なし、演技も稚拙
史実の再現を期待していただけに、最初から最後までただ逃げるだけ、銃声が響くだけで、途中のひねりも最後のオチもなく、何を見せたいのかがわからずじまいの単調な映画でした。
フィクションと謳っているが、フィクションならそもそも作る必要性が見いだせないし、作るならフィクションらしく凄惨な殺戮場面とか、犯人と対峙する場面とかがないと映画にならない。
ノンフィクション映画だとしてもそういう場面がないと退屈でしかない。銃声だけが鳴り響く展開に、どれだけ銃弾持ってるんだよ、最後もいくら恐怖で極限状態にあるとはいえ、着ている服だけで自分の妹の顔を間違えるかよと喜劇に思えてくるほど。
テロに対する警鐘以外、残念ながら何も残りませんでした。
☆☆☆★★ かなり観ていて苦痛が伴う映画。 一応エンドクレジット後...
☆☆☆★★
かなり観ていて苦痛が伴う映画。
一応エンドクレジット後に、監督のメッセージで「これはドキュメンタリーではない」との字幕が入る。
…のだが、映画自体は《ドキュメンタリー風》を装って撮影されているのは明らか。
ゆえに。『カメラを止めるな!』での、冒頭37分間の様なワンシーンワンカットが延々と続く。
技術的な挑戦…として、映画全編をワンシーンワンカットで撮るのはアリだとは思う。
古くはヒッチコックが『ロープ』で試みた様に。挑戦する事での技術的な向上が生まれ、結果として分かって来る事も有るのだから。
フイルムの時代と違って、今ではデジタル撮影の時代。過去では困難な事も、現在なら直ぐに実行出来る。
…ただ!
あのヒッチコックでさえ、映画の全編をワンシーンワンカットで撮る事での意義と共に、その弊害を「映画術」の中で語っていた。
多くの観客は、どうしてもワンシーンワンカットに対して、集中しての鑑賞を余儀なくされる。勿論ワンシーンワンカットの撮影手法は、かなり昔から確立された撮影手法で在り。効果的な使用方法ならば、観客の心を鷲掴みにする事も多い。
ただ【映画全編で】となると、どうしてもハードルが上がる。アート系でマニア向けの作品でこそ…の感じになっている気がしないでもないが(u_u)
以前に公開された『PVCー1 余命85分』を観た時に。サスペンス系の作品での全編ワンシーンワンカットでは少し無理が有る…と思っていただけに、今回も観る前は懐疑的でした。
結果として、観客を当時のその場に引き摺り込むもうとする意図を強く感じた事から、『…余命85分』ほどの無理矢理感は無かったものの。本来、映画とゆうジャンルは。撮影したシーンを編集する事で、リズム感が生まれる芸術だと言うのを改めて実感できる。
↓ 参考映像
Dog Day Afternoon (6/10) Movie CLIP - They're Coming in the Back! (1975) HD https://youtu.be/W-OzWbkk5lE @YouTubeより。
『狼たちの午後』から
それまでののんびりムードが、1発の銃声で一気に緊迫感に溢れるポール・ハーシュの名編集。
肝心の映画本編ですが、予告編を観た限りだとかなりのパニック映画かと思われた。
多くの人がパニックに見舞われる…勿論そうなのですが。これは意外な程にこじんまりとした低予算の作品の様に見える。
一応は、ポスターに映る彼女の目線に寄り添うカメラ。彼女を通して、この惨事を追体験して行く。
それだけに、誰が?何故?何の為に?…が判らず。大勢の人が、終始画面上で右往左往しているだけ…と、言えなくもない。
そして、大勢のエキストラ…と思いきや。精々50人程度だったのじゃなかろうか。予算面での関係からか?その辺りの涙ぐましい努力は、かなり見て取れる。
映画を強引に3っに分解すると…。
1 彼女は仲間と共に行動し隠れるのだが、一体何が起こっているのか?判らず議論…となる。
2 彼女は(或る理由から)単独で行動を起こす。
3 事件が起こる前に出逢った男と出逢う。そしてエンディングへ。
…と、言ったところ。
観客にその時、その場に居た《当事者の眼》の感覚を味あわせる為…とは言え。いずれの際にも、延々と続くワンカット場面には緊張感よりも【助長感】が勝ってしまっているのが、観ていて辛い。エンディングの結末も、ある程度は予想出来てしまうのも…。
『カメラを止めるな!』にせよ、『ブレアウィッチ・プロジェクト』にしろ。普段どんなにカメラ酔いがする映画と言われても大丈夫なのですが、この作品での崖下を逃げる場面でのカメラ酔いはキツかった(。-_-。)
兎に角、作品全体が。観客に対してストレスを与える様な撮影を目指して撮られているのも在り。その積み重ねからか?観客側に段々とストレスの度合いが高まって行くのが、その原因の様な気がします。
体調の悪い時に観ると、かなりキツいでしょうから注意された方が良いかと思います。
2019年3月13日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1
引きずり込まれる極限状態。息もつけぬ圧巻のワンカット。
【賛否両論チェック】
賛:ワンカットの魅力を最大限に生かした演出で、混乱を極めた事件の緊迫感が、ひしひしと伝わってくる。また、犯人がほとんど映らず、ヒロインの視点でストーリーが進んでいくため、彼女を通して事件の凄惨さにも圧倒されてしまう。
否:BGM等の演出がなく、ノンストップで淡々と進むので、人によっては少し退屈に感じてしまうかも。グロシーンもあり。
この作品の特徴といえば、何といってもヒロインの視点で、72分間に渡りワンカットで物語が進んでいくことですが、その演出効果たるや目をみはるものがあります。突然のことで島中がパニックになり、何が正しい情報なのかも分からず逃げ惑うしかなかった被害者達の姿や、さっきまで息をしていたケガ人が、目の前で徐々に冷たくなってしまう様子といった、非常に衝撃的で生々しい事件の詳細が、ノンストップで描かれていくのに圧倒されてしまいます。
その一方で、犯人の描写はほとんどなく、要所要所でひたひたと迫り来る不気味な影や足音で、本当に犯人なのかも確認出来ないままに、巧みに表現されているのも印象的です。
BGMもなく、ひたすら淡々と事件を追っていく内容なので、人によっては少し退屈かも知れませんが、現実に起きた凄惨すぎる事件の全貌を、是非その目でお確かめ下さい。
この疑似体験は俺にとって価値があっただろうか
テロリズムが悪
何故極右組織が台頭するのか、誰も答えない
とてもよかった
『丑三つの村』のすごいのが見られるとワクワクして見に行ったら、犯人はほとんど姿を見せず、ほぼ怯えて逃げ隠れしている主人公だけだった。映画館の音響がいいので、銃声が遠くなったり近くなったりするのが本当に自分も現場にいるような臨場感がすごかった。
海の温度が10度なのに、靴を脱いで海に入っていてあんな足場が砂でもないところだし、靴はいてくれよ~と願ってしまい、履いてくれた時は嬉しかった。
背中を撃たれて絶命する女の子がかわいそうすぎる。主人公がつぶやくように歌う『トゥルーカラーズ』が切なくて、エンドロールでシンディ・ローパーの元歌掛けて欲しかった。
考えさせられる
72分間の恐怖を追体験
2011年ノルウェーのウトヤ島で起きたテロ事件を映画化
こんな事件があったなんて知らなかったので、最初から最後まで衝撃的だった
その上、72分間ワンカットという映像の緊迫感が、より、恐怖を際立たせていた
その時、ウトヤ島では、10代から20代の若い子たちがキャンプをしていて、未来への希望溢れる彼らがテロの犠牲者になってしまう
そのテロリストは、政府の移民政策に反対して、テロ事件を起こしたのだという
そういう事実の中で、この映画は、その場にいた一人の女性カヤの視点で描かれている
そのカヤとは、実在した人物ではなく、事件後のいろいろな人の話を総合してできたキャラクターということだった
そのカヤの行動から判断すると、その時、彼らは何が起きているのか理解できず
犯人が何人、どこにいるのかもわからないまま、小さな島を逃げ回り、運が悪いと被弾してしまう
それが、どれだけ恐ろしいことだったか
なんで、何の罪もない彼らが、そんな目に遭わなければならないのか
犯人のエゴに満ちた身勝手な主張の犠牲者になるのが、未来輝く罪のない若者たちだったということに、納得のいかないまま、映画を観終わってしまった
そして、観終わってゾッとしたのは
私たち日本人も、ヨーロッパに移住すれば移民となり
彼らの憎悪の対象になるということ
ということは、私たちたちも、いつ、どこで、被害者になるかわからないということであり、
この映画で起きていることは、決して「対岸の火事」ではなく
そういう、いつ犠牲者になるかわからないという視点で、この映画を観るべきだし、考えるべきだと思った
この時、ウトヤ島で何が起きたのか
興味のある人は、ぜひ、観て欲しい作品
緊迫
当たり前だと思います。
「移民政策に反対する極右勢力による過激な思想が拡がりつつある。」
とありましたが、当然の流れだと思います。
残念ですが、この事件は自業自得ではないでしょうか。
追記:
もちろん、犯人を全面的に肯定はできませんが、
こういった気持ちの人が国民の半数くらいはいるかとは思います。
・テロの会話は避けたいイスラム系男子
・ケバブが食べたいと言うトルコ系男子
・お母さんがオスロ市役所に勤めているアフリカ系女子
→爆弾テロには無頓着で気にも留めない。
・犯人は32歳のノルウェー人
愛国心に人種は関係ないと言いたいトコロですが、
結局しっかりした愛国心をもっているのはノルウェー人のカヤでしたね。
この複雑な気持ちを国民に持たせないようにして欲しいです。
お薦めです。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm30971478
フィクション
鑑賞者がこの事件を追体験するかのような1カット。 カメラが登場人物...
誰も、死にたくなかったよね
人間は もう終わりだ
夢は 埋め立て地に棄てろ
平和なんて 一人のバカがぶっ壊す
俺は 暴力が怖くて 眠れねぇ
真心ブラザース
「人間はもう終わりだ」
ゲームならともかく、自分と考えが違うという理由で、私の生涯が、見ず知らずのマンハンターの具材にされたら、たまったものではありません。でも、それがテロの本質。やっぱり怖くて眠れません。
真実は、ひとつに非ずとのメッセージがありましたが、テロの萌芽は、世界中にあるとのこと。私達は真実を見ているのでしょうか。移民問題と、ナショナリズムの問題、他人事ですかね?。
エンタメ映画としては、疑問符があるでしょうが、安い戦争映画より、ヘンにリアリティあり。(倒れていた女の子の名前が、今だに、気になります。)是非、お友だちにも、観せてあげてね。興味本位で観ること自体、人格疑われそうな映画ですけど、それでも、やっぱり…。
自分のことだけで精一杯の私に、ひとりのバカがぶっ壊した、77の生涯に思い馳せることは、到底できません。それでも、やっぱり…。ゲームなら、リセットできるけど…。
誰も、死にたくなかったよね…。
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