ウトヤ島、7月22日のレビュー・感想・評価
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たしかに悲劇、だが映画としては…
ノルウェーのウトヤ島で起きた乱射事件をもとにした物語。実際に銃を乱射した時間をほぼリアルタイムで見せる。しかもワンカット。
こんな事件があったことすら知らなかった。犯人たちはなんでこんなことをしたのか?なんにも知らされない(どんな犯人像かもわからない)まま、ただただ主人公たちが逃げていく。たしかに臨場感はすごいし、理由もなく殺される恐怖を味わった。
ただ、ワンカット撮影のため画面の揺れが激しすぎる。どんな状況かが本当にわかりづらかった。また、ただただ逃げるという話なのでドラマ性はあまりない。そういう意味で映画としての評価はあまり高くならなかった。
意欲的であるとともに社会性がある
一人称視点(POV)の映画といえば
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」で
世界的にも認識され、
「パラノーマルアクティビティ」や
「クローバーフィールド」などが記憶に新しい。
本作においても一人称視点で物語られるストーリーは
恐ろしくリアリティがある。
ただ、それは単なる銃撃による恐怖ではなく、
その恐怖に「自分が自分で無くなる」という恐怖が
作品の背景にあると思った。
自分をコントロール出来なくなる恐怖は
一人称視点の映像と相まって痛いほど感じた。
本作の社会的な政治背景としてはシリアをはじめとした
中東地域での紛争による難民、その背後にある極右的な考えなどがある。
日本には馴染みが薄い感覚だが改めて考えて、
この様な惨劇を繰り返さないためには何が
出来るのだろうか、後悔のない選択をする際に
思い出したい映画であると思った。
ケバブとお風呂
観終わると、どっと疲れが押し寄せるほど緊迫感の連続。泥にまみれ逃げ惑うキャンプ場の若者たち。どこから銃声が響いてくるのか、犯人はどこにいるのか、犯人は何人いるのか、情報が錯綜する中でとにかく逃げるしかなく、運よく携帯を持っていても親に連絡できる程度。警察は一体何をしているのか?救助はいつになったら来るのか?さっぱりわからない状況を同時体験できる作品でした。
主人公は妹エミリヤとともにキャンプに参加しているカヤ。ナンパ目的で参加しているマグナスや母親が庁舎勤務であるオーダ、それにペッテル、カロリーヌたち。銃撃が起こるまではオスロでの爆破事件の詳細もわからず、イスラム系の青年も苦渋の表情だ。
長回しのワンカット映像も効果を奏し、カヤの緊張感と妹への思いなどが伝わってくる。友人たちと合流したり、離れたり、死にも直面し、気が狂ってしまいそうになる。少女の死のシーンなどでは徐々に肌の色が土色に変化していく様子がリアルだった。銃撃が72分続いたこと。そのリアルタイムが異常なまでに同期して、体が硬直してしまいそう・・・二度と見たいとは思わないけど、見る必要がある作品だと思う。
実話を、忠実に再現した映像を通して伝えることの難しさ
本編を見ていく中で、正直間延びしてるなぁとか(ほとんど)銃声だけでテロリストの姿が見えないな、まだ出てこないのかなと思ってしまった。ただ、それは実際にあった72分のテロを忠実に伝えるがために浮き出た部分であると終盤になるにつれてひしひしと感じられた。1度見ただけでは消化しきれなかった感覚が残る。
実話を映画にする際、そのまま忠実に再現するのも手だし、忠実でなくとも恐怖などをカメラワークを工夫して伝えたりと、様々な方法をとることができる。このウトヤ島をはじめとした悲惨な事件を映画を通して伝えるにはどうするのが一番良かったのか、考えさせられる作品だったと個人的には思う。
リアルな緊迫感!
「1917」の影響で、ワンカットというワードが気になってwowowにて鑑賞。
2011年ノルウェーの連続テロ事件、ウトヤ島での事件発生から終息までの72分間がワンカット。凄いリアル感。実際にその場にいるような緊張感。これは本当に恐ろしい。
大勢の学生が逃げ惑い、銃声が響き、どれだけ細かい綿密な計算のもと撮影されたのか、それにも驚く。
観ていて、そういえばこんな事件あった、と思い出した。政府の移民政策に反発する単独犯らしいが70人近く亡くなっているのに禁固20年って、、、酷い。
ワンカットの妙
上映開始18分に起こる銃声から、すべてが激変する。
音楽一切なし。
勇敢で、主人公らしいバカな行動をするカヤの主観で綴られた今作は、
そこから観ている側も同じストレスを感じるように作られている。
途中、うっすらと見える狂気に寒気を覚える。
そして最後に思わず「あっ!」と声を上げてしまう。
これがリアルではないかと錯覚するような演出、
しかし事実に基づいた作品であることは間違いなく、
日本もぬるま湯に浸かってぬくぬくとしていると、
いつかこんなことが起こっても不思議ではない。
何故なら、
この事件が起きたこの島こそが、
世界一安全と言われていたのだから。
実話を題材にしているので星4つ 途中、海沿いの崖下で男といっしょに...
実話を題材にしているので星4つ
途中、海沿いの崖下で男といっしょにいる時間帯がちょっとだらけてしまった。
面白そうと見ると残念かも
題材はいいと思う。
まず ハラハラ感はありません。
前半の森で身を隠す場面正直身が隠れてない。
それに身を隠してる場面が やけ長すぎる
所々人が逃げていくのが雑。
色々と感じた所はありますが
とにかくつまらない作品でした。
リアリティを決定づける何かが不足している気がしてならない
カヤに同行する目線のため、犯人が全く映らず。ただ周りの悲鳴と銃声だけが聞こえてきて、撃たれるんじゃないか…という中を逃げながら、離れてしまった妹を探すという、見えない相手から逃げることと、手持ちカメラの映像という点からも『ブレアウィッチ・プロジェクト』や『トロールハンター』の様なホラー映画的な演出も感じさせられる。
実際に起きた悲惨なテロ事件であり、当時を体験した生存者からの取材によってストーリーは構築されているが、主人公自体はフィクション。生存者への配慮からなのか誰がモデルで誰がフィクションなのかが全くわからず、実話ベースによくありがちなモデルとなった〇〇は現在、〇〇で生活している…という様なクレジットがない。
この曖昧な部分が生存者や被害者はこの様な状態だったのかということに、いまいち説得力が欠けてしまって、リアリティを決定づける何かが不足している気がしてならない。
生存者の証言は映像に取り入れることはできなかったのだろうか…
悔いなき選択を
かくして、物語は
妹エミリアの安否を確認して幕は降りた。
誰よりも、そのことを願った姉カヤの姿を除いて…
実態の分からない不安と恐怖、
焦燥と混乱がもたらす状況において
ヒトはどんな思考に陥り行動に移してしまうのか…
本作『ウトヤ島、7月22日』は
客観ではなく《主観》である撮影表現によって
鑑賞者を「あの日のウトヤ島」へと誘い
姉カヤと共に“擬似体験”を通じて事件の悲惨さ、
被害者の無念さを伝え風化させず、
世界各地で起こる大小様々な無差別テロへの
注意喚起と無意味さを訴えた
【ドキュメント“タッチ”】の作品。
作品の最後に、
「この作品はフィクションであり
ドキュメンタリーではない」
…と、監督が明記してありますが
本編ワンカットで撮影されたフィルムには
緊迫感と臨場感が写し込まれ
間違いなく【ドキュメンタリー】の作風に仕上がっている。
ドキュメントがもたらした
偶然腕に止まった《蚊》ですらもが
作品の意図を汲み取ったかのような迫真性と
事件に対するメッセージ性の強さを提示していた!
現実に、ヒトは未曾有の事件や災害に見舞われたとき
実際どう考え、行動したらいいのか?
そんなことを思いながら、わたしは観賞していました。
そこに留まるべきか? 移動すべきか?
ヒトに手を差し伸べるべきか? 見捨てるべきか…?
決して明確な〈答え〉があるわけでもないし
〈結果〉は誰にも分からない…
その時は、せめて “ 悔いのない選択 ” を
勇気をもってしようと、わたしは思っています。
この世界が、地続きでひとつなぎの星である以上
自分達に関係ない事件はない…
その中で、ちっぽけな自分ができうる
最大限のことを、わたしはしたい。
偽善でも詭弁でも欺瞞でも
受け取ってもらっても構わない…
体感する映像
「世界一安全だから何も心配いらない」と言われたウトヤ島を襲ったテロの悲劇。犯人の姿が見えず銃声と逃げ惑う人々との光景がだけで恐怖を煽る。想像を絶する緊迫感と臨場感で事件を体感することが出来る映像となっている。
2019-106
リアル?けれど緊迫感が続かない
「爆竹の音?」から始まる恐怖の臨場感、緊迫感は凄まじかった。何もわからないまま小屋に逃げ込み、聞こえてくる銃声に慄く。あの瞬間は私も本当に怖くなった。
その後も緊迫感は続く。皆が混乱してあれやこれやと言い争う姿はパニックそのもの。そして極めつけは「警官が撃っていた」だ。
逃げ回る友人たちや死にゆく子供の描写は正直エグかった。終盤で主人公が狙われて大きな銃声が鳴り響くシーンでは緊張が一気に張り詰めた。
しかし、そんなシーンばかりではない。なんというか、冗長なシーンも多かった気がする。
たとえば死にゆく子供とのやり取り。リアルではあるのかもしれないが、やりとりが長かったり敵や友人たちが都合のいい登場の仕方をするのが気になった。
そして岸壁に隠れたあと。ドラマを作るための前振り、端的に言えば死亡フラグを作ることに精を出していたのはどうにかならなかったのか。
リアルな作り込みは中盤までで、終盤は悲惨さを強めるための演出(悪く言えばプロパガンダ)が目につく作品であった、というのが正直な感想。
ただ、後世に残すべき良作であることは間違いないと思う。
臨場感なし、演技も稚拙
史実の再現を期待していただけに、最初から最後までただ逃げるだけ、銃声が響くだけで、途中のひねりも最後のオチもなく、何を見せたいのかがわからずじまいの単調な映画でした。
フィクションと謳っているが、フィクションならそもそも作る必要性が見いだせないし、作るならフィクションらしく凄惨な殺戮場面とか、犯人と対峙する場面とかがないと映画にならない。
ノンフィクション映画だとしてもそういう場面がないと退屈でしかない。銃声だけが鳴り響く展開に、どれだけ銃弾持ってるんだよ、最後もいくら恐怖で極限状態にあるとはいえ、着ている服だけで自分の妹の顔を間違えるかよと喜劇に思えてくるほど。
テロに対する警鐘以外、残念ながら何も残りませんでした。
☆☆☆★★ かなり観ていて苦痛が伴う映画。 一応エンドクレジット後...
☆☆☆★★
かなり観ていて苦痛が伴う映画。
一応エンドクレジット後に、監督のメッセージで「これはドキュメンタリーではない」との字幕が入る。
…のだが、映画自体は《ドキュメンタリー風》を装って撮影されているのは明らか。
ゆえに。『カメラを止めるな!』での、冒頭37分間の様なワンシーンワンカットが延々と続く。
技術的な挑戦…として、映画全編をワンシーンワンカットで撮るのはアリだとは思う。
古くはヒッチコックが『ロープ』で試みた様に。挑戦する事での技術的な向上が生まれ、結果として分かって来る事も有るのだから。
フイルムの時代と違って、今ではデジタル撮影の時代。過去では困難な事も、現在なら直ぐに実行出来る。
…ただ!
あのヒッチコックでさえ、映画の全編をワンシーンワンカットで撮る事での意義と共に、その弊害を「映画術」の中で語っていた。
多くの観客は、どうしてもワンシーンワンカットに対して、集中しての鑑賞を余儀なくされる。勿論ワンシーンワンカットの撮影手法は、かなり昔から確立された撮影手法で在り。効果的な使用方法ならば、観客の心を鷲掴みにする事も多い。
ただ【映画全編で】となると、どうしてもハードルが上がる。アート系でマニア向けの作品でこそ…の感じになっている気がしないでもないが(u_u)
以前に公開された『PVCー1 余命85分』を観た時に。サスペンス系の作品での全編ワンシーンワンカットでは少し無理が有る…と思っていただけに、今回も観る前は懐疑的でした。
結果として、観客を当時のその場に引き摺り込むもうとする意図を強く感じた事から、『…余命85分』ほどの無理矢理感は無かったものの。本来、映画とゆうジャンルは。撮影したシーンを編集する事で、リズム感が生まれる芸術だと言うのを改めて実感できる。
↓ 参考映像
Dog Day Afternoon (6/10) Movie CLIP - They're Coming in the Back! (1975) HD https://youtu.be/W-OzWbkk5lE @YouTubeより。
『狼たちの午後』から
それまでののんびりムードが、1発の銃声で一気に緊迫感に溢れるポール・ハーシュの名編集。
肝心の映画本編ですが、予告編を観た限りだとかなりのパニック映画かと思われた。
多くの人がパニックに見舞われる…勿論そうなのですが。これは意外な程にこじんまりとした低予算の作品の様に見える。
一応は、ポスターに映る彼女の目線に寄り添うカメラ。彼女を通して、この惨事を追体験して行く。
それだけに、誰が?何故?何の為に?…が判らず。大勢の人が、終始画面上で右往左往しているだけ…と、言えなくもない。
そして、大勢のエキストラ…と思いきや。精々50人程度だったのじゃなかろうか。予算面での関係からか?その辺りの涙ぐましい努力は、かなり見て取れる。
映画を強引に3っに分解すると…。
1 彼女は仲間と共に行動し隠れるのだが、一体何が起こっているのか?判らず議論…となる。
2 彼女は(或る理由から)単独で行動を起こす。
3 事件が起こる前に出逢った男と出逢う。そしてエンディングへ。
…と、言ったところ。
観客にその時、その場に居た《当事者の眼》の感覚を味あわせる為…とは言え。いずれの際にも、延々と続くワンカット場面には緊張感よりも【助長感】が勝ってしまっているのが、観ていて辛い。エンディングの結末も、ある程度は予想出来てしまうのも…。
『カメラを止めるな!』にせよ、『ブレアウィッチ・プロジェクト』にしろ。普段どんなにカメラ酔いがする映画と言われても大丈夫なのですが、この作品での崖下を逃げる場面でのカメラ酔いはキツかった(。-_-。)
兎に角、作品全体が。観客に対してストレスを与える様な撮影を目指して撮られているのも在り。その積み重ねからか?観客側に段々とストレスの度合いが高まって行くのが、その原因の様な気がします。
体調の悪い時に観ると、かなりキツいでしょうから注意された方が良いかと思います。
2019年3月13日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1
引きずり込まれる極限状態。息もつけぬ圧巻のワンカット。
【賛否両論チェック】
賛:ワンカットの魅力を最大限に生かした演出で、混乱を極めた事件の緊迫感が、ひしひしと伝わってくる。また、犯人がほとんど映らず、ヒロインの視点でストーリーが進んでいくため、彼女を通して事件の凄惨さにも圧倒されてしまう。
否:BGM等の演出がなく、ノンストップで淡々と進むので、人によっては少し退屈に感じてしまうかも。グロシーンもあり。
この作品の特徴といえば、何といってもヒロインの視点で、72分間に渡りワンカットで物語が進んでいくことですが、その演出効果たるや目をみはるものがあります。突然のことで島中がパニックになり、何が正しい情報なのかも分からず逃げ惑うしかなかった被害者達の姿や、さっきまで息をしていたケガ人が、目の前で徐々に冷たくなってしまう様子といった、非常に衝撃的で生々しい事件の詳細が、ノンストップで描かれていくのに圧倒されてしまいます。
その一方で、犯人の描写はほとんどなく、要所要所でひたひたと迫り来る不気味な影や足音で、本当に犯人なのかも確認出来ないままに、巧みに表現されているのも印象的です。
BGMもなく、ひたすら淡々と事件を追っていく内容なので、人によっては少し退屈かも知れませんが、現実に起きた凄惨すぎる事件の全貌を、是非その目でお確かめ下さい。
この疑似体験は俺にとって価値があっただろうか
ベルギーで実際に起きたテロを題材に、登場人物はフィクションとして撮った話。実際の事件の時間である72分間をワンカットで撮った映画。
他人の体験を疑似体験できることは、映画のひとつの価値と、これまで何度か書いてきた。
しかし今回の疑似体験は、果たして価値と言えるのだろうか?
複数のテロリストに襲われたキャンプ場で、72分間、生きた心地がしないまま、逃げ惑い、友人達の死を目の当たりにする、という体験。
知らねばいけない気もするし、だからこその72分間ワンカットなのだろう。
しかし、果たしてその体験が俺にとって価値だったかは、今もって疑問だ。
とはいえ、皆さまにも、一見はお勧めします。
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